日本で古くから親しまれているイソップ童話のなかに『オオカミ少年』というお話が存在します。
こちらのタイトルは英語表記で『The Boy Cried Wolf』といい『cry wolf』は”人騒がせな嘘をつく”という意味です。
この言葉の語源にもなった『オオカミ少年』ですが、嘘をつくようになった小さい子どもにとって、とても大切な教訓がこめられています。
子どもの嘘は、親にとってはできればついてほしくないけれど、成長するうえで欠かせない大事なもの。
だからこそ、絵本を通して”嘘をつき続けるとどうなるのか?”を、楽しく知ってもらいたいですよね。
こちらの記事では『オオカミ少年』のあらすじや結末、おすすめ絵本もご紹介します!
イソップ物語・オオカミ少年の登場人物と名前
『オオカミ少年』の主な登場人物です。
村人たち…村の大事な羊たちを守るため、オオカミが来た知らせを聞くと、仕事途中でも必ず駆けつけてくれる。
それぞれ名前は特に明記されていませんが、上記の登場人物で構成されています。
羊といえば、人々の暮らしを支えてくれる大切な生き物だったので、オオカミがきた!となると村人総出で守らなければなりません。
イソップ物語・オオカミ少年のあらすじ内容
羊飼いの男の子は、話し相手もいない羊の番が退屈でたまりませんでした。
「そうだ、いいことを思いついた!」
男の子は村のほうへ走っていき、大声で叫びました。
「たすけて、オオカミがきた!たいへんだ!」
男の子の声を聞きつけた村人たちは、畑や家の中から大慌てで飛び出し、やってきます。
「オオカミはどこだ!?」
けれど、どこを見渡してもオオカミの姿はありません。
「なんだ、どこにもいないじゃないか」
「なんて嘘をつくんだ!」
イタズラが成功した男の子は、村人たちのようすを見てお腹を抱えて笑っていました。
しばらく経ったある日、退屈で仕方がなかった男の子は再び叫びます。
「大変だ、オオカミだ!オオカミがきたよ!」
男の子の声を聞いた村人たちはまたも大慌てで駆けつけ、それがおかしくて仕方ない男の子はけらけら大笑い。
「なんて大嘘つきなんだ。困ったやつめ」
村人たちは呆れて帰っていきます。
男の子にとっては、退屈しのぎのちょっとしたイタズラのつもりでした。
イソップ物語・オオカミ少年の最後の結末は?
オオカミがきた!……といって村人たちを混乱させるイタズラを楽しんでいた羊飼いの男の子。
またいつものように羊の番をしていると、向こうのほうから何やら黒い影が。
よく見ると、オオカミが羊めがけて走ってきているではありませんか。
「大変だ!今度こそ本当にオオカミがきたよ!みんな、助けて!」
男の子は全速力で走り、村人たちへ知らせますが、誰も話を聞いてくれません。
「はいはい、またいつもの嘘が始まったんでしょ」
男の子は必死で知らせますが、もう誰も信じてくれないのです。
そうこうしているうちに羊たちは全てオオカミに食べられてしまいます。
男の子にはどうすることもできず、ただその場で泣き崩れるのでした。
イソップ物語・オオカミ少年の意味・教訓、伝えたいこととは?
男の子にとってはちょっとしたイタズラのつもりでしたが、何度も嘘をつかれて混乱し、かんかんに怒った村人たち。
そして、今度こそ本当にオオカミが現れたときには誰にも信用してもらえず、大事な羊が食べられてしまうのでした。
このことから『オオカミ少年』には”嘘ばかりついていると、本当のことをいったときに誰も信じてくれなくなる”という大事な教訓がこめられています。
子どもは、怒られたくない!という思いから自分の身を守ろうと突拍子もない嘘をつくこともあります。
嘘をつくことは成長していくうえで大事な部分もありますが、イタズラで誰かを巻き込む嘘となると見過ごせませんよね。
『オオカミ少年』は物語を通して”嘘ばかりついてはいけない”と、小さな子どもにも分かりやすく伝えてくれます。
イソップ物語・オオカミ少年の原作・初版は?国や時代についても解説
イソップ物語は、紀元前6世紀に実在したとされるイソップによってまとめられた寓話集で、今から約2500年以上前に成立しました。
羊飼いの仕事は約5000年ほど前に、イソップの出身地だとされるアナトリア半島で発祥しています。
イソップ童話のなかによく登場する羊は、生活のなかでとても身近な動物だったのではないでしょうか。
羊飼いの仕事は、多くは子どもが担当していたそうなので『オオカミ少年』のお話も羊のお世話をしている子どものようすから着想されたのかもしれませんね。
イソップ物語・オオカミ少年にまつわる都市伝説や疑問について考察
子どもたちに”嘘ばかりついてはいけない”と教えてくれる『オオカミ少年』
先ほどご紹介したものとは違う結末のお話もあるようです。
イソップ物語・オオカミ少年は実は怖い話?!
イソップ童話の『オオカミ少年』の結末は、”オオカミに羊を食べられてしまう”でしたね。
ですが、食べられたのは羊ではなく男の子だとされるものも存在します。
”人を困らせるような嘘をつくと天罰が下る”というような意味で男の子本人が食べられてしまうのかもしれませんが、小さな子どもが読むにはなかなか怖い結末ですね……。
これは原作にはない展開で、どうやら日本独自のもののようです。
羊ではなく男の子が食べられてしまう結末にすることで、嘘をついて人を困らせるのは良くないことだというメッセージをより強めたのではないでしょうか。
それにしても、人騒がせな嘘をついた男の子が村人の誰にも助けてもらえず、オオカミに食べられてしまう……。
そのシーンを想像すると、とても怖いですね。
イソップ物語・オオカミ少年のおすすめ絵本を紹介
イソップ童話のなかでも有名な『オオカミ少年』ですが、ここでおすすめの絵本をご紹介します!
『イソップえほん オオカミがきた』
画像引用:Amazon
絵:ささめや ゆき
出版社:岩崎書店
発行日:2009年10月15日
値段:1200円+税
対象年齢:3歳頃から
『イソップえほん オオカミがきた』のおすすめポイント
縦27センチと持ちやすいサイズで、男の子が叫ぶセリフは文字の大きさが変わるなど、読み聞かせにとても適しています。
場面によって男の子の表情が変わるので状況を掴みやすく、初めて『オオカミ少年』のお話を読んであげるのにおすすめの1冊です。
『イソップどうわ』
画像引用:Amazon
出版社:金の星社
発行日:2017年2月
値段:1300円+税
対象年齢:3歳頃から
『イソップどうわ』のおすすめポイント
イソップ童話が15話収録されており、小さな子どもにも伝わりやすい言葉で全てのお話に教訓が載っています。
大人気の絵本作家、いもとようこのイラストが好きな人も多いのではないでしょうか。
オオカミのイラストは怖さのなかにも可愛らしさがあり、楽しんで読むことができます。
『母と子のおやすみまえの小さな絵本 イソップどうわ』
画像引用:Amazon
監修:渡辺 弥生
出版社:ナツメ社
発行日:2014年12月25日
値段:1200円+税
対象年齢:5歳頃から
『母と子のおやすみまえの小さな絵本 イソップどうわ』のおすすめポイント
合計100話が『大切なことに気付く力』や『問題を解決する力』など、5つの章ごとに収録されています。
こちらの絵本では『思いやりや助け合う心を育てるお話』の章に『オオカミと少年』というタイトルで、物語も2ページと簡潔にまとめられています。
他のお話もサクッと読める長さになっているので、就寝前の読み聞かせにおすすめですよ。
イソップ物語・オオカミ少年のまとめ
いかがでしたか?
『オオカミ少年』のお話は、絵本を通して”嘘ばかりつくとどうなるか”を教えてくれます。
小さな子どもは”良くないこと”と思ってはいるものの、どうしても保身のために嘘をついてしまいがちです。
『オオカミ少年』を読んで、嘘をつくことについて話し合ってみるのも良いですね!
ぜひ、お気に入りの1冊を見つけて楽しんでくださいね。
コメント