赤ずきんというと、赤いずきんを被った女の子と狼が印象的なお話ですね。
誰もが一度は見たことのあるお話ではないでしょうか。
数年前には映画化もされていましたね。
この記事では、赤ずきんの登場人物やあらすじ、原作などをご紹介すると共に、童話の意味を考察していきます。
赤ずきんの舞台にもなっているドイツの町もご紹介していきますよ。
一般的によく知られているお話以外に、後日談が出てくるもの、少し怖いシーンが出てくるものなど……。
書かれている時代や国によって結末もさまざま。
読み聞かせにおすすめの絵本なども紹介していきますので、ぜひ参考にしてみてくださいね。
【赤ずきんの登場人物】童話・赤ずきんの登場人物と名前
赤ずきん(主人公):赤いずきんをかぶった可愛らしい女の子。
お母さん:赤ずきんのお母さん。赤ずきんにおばあさんの家にお見舞いに行くよう頼む。
おばあさん:赤ずきんのおばあちゃん。病気にかかり、元気をなくしている。
狼:おばあさんと赤ずきんを騙して丸飲みしてしまう。
狩人:おばあさんの家の前を通りかかり、狼に食べられてしまったおばあさんと赤ずきんを助けてくれる。
【赤ずきんのストーリー】童話・赤ずきんのあらすじ内容
むかしむかし、あるところに、「赤ずきん」という女の子がいました。
ある日、赤ずきんはお母さんからおばあさんの家にケーキとぶどう酒を持って行くように頼まれます。
お母さんは、赤ずきんに森で寄り道しないように、狼がいても相手にしないように伝えました。
赤ずきんは「わかった」と答えて森の奥にあるおばあさんの家へ向かいました。
森へ入った赤ずきんは狼とばったり出会い、どこに行くのか尋ねられます。
先におばあさんの家に行きたい狼は、赤ずきんに花を摘んでから行くよう提案しました。
赤ずきんはお母さんとの約束を破り、うっかり家の場所を教え、寄り道までしてしまいます。
赤ずきんが花を摘んでいる隙に、狼はおばあさんの家へ向かいました。
家へ入るなりおばあさんの着物を取ると、パクリと丸飲みにしてしまいました。
狼は着物を着てベッドへ潜り込み、赤ずきんが来るのを待ちます。
花を摘み終え、おばあさんの家に着いた赤ずきん。
なんだか様子がおかしい…と思い、赤ずきんはおばあさんに聞いてみました。
「おばあさんのお耳はどうしてそんなに大きいの?」
するとおばあさんに化けた狼は
「お前の声をよく聞くためよ」
と答えます。
「じゃあどうしてそんなにお目目が大きいの?」
と聞くと
「お前の顔をよく見るためだよ」
と答えました。
「それにおばあさんの口、こんなに大きかった?」
と聞くと
「それは、お前をひとくちで食べるためだよ!!」
と言い、赤ずきんに襲いかかり丸飲みにしてしまいました。
満腹になった狼はいびきをかいて寝始めました。
大きないびきだったので、たまたま家の前を通りかかった狩人が、いつもと様子が違うことに気づき、家の中に入ってみると…そこには狼の姿が!
大きなお腹を見て誰かが入っていると思った狩人は、はさみでお腹を切ってみることにしました。
すると中から赤ずきんとおばあさんが出てきたではありませんか。
「こわかったー!」
と言うと二人は抱き合って生きて出られたことを喜びました。
その後、狼が寝ている間に空っぽになったお腹に石をたくさん詰めました。
目を覚ました狼は川へ水を飲みに行きますが、石の重みでバランスを崩し、川へ落ちて溺れてしまいます。
おばあさんは赤ずきんが持ってきたケーキを食べ、ぶどう酒を飲み元気になりました。
赤ずきんは二度と寄り道をしない、言いつけは守ろうと心に決めたのでした。
童話・赤ずきんの最後の結末は?
赤ずきんのお話はグリム童話とペロー童話に収録されており、それぞれで結末が異なります。
グリム童話では、満腹で寝ている狼のお腹を狩人が切り、二人を助け出す。
そして、赤ずきんは言いつけを守らなかったことを反省し、二度と寄り道はしないと心に決めます。
先に紹介したあらすじは、このグリム童話の結末でした。
一方で、ペロー童話ではおばあさんと赤ずきんが狼に食べられたところで話は終わり、狩人は登場しません。
なぜ後から出たグリム童話とは結末が違うのか。
教訓なども合わせて見ていきましょう。
【赤ずきんの教訓】童話・赤ずきんの意味・教訓、伝えたいこととは?
赤ずきんはもともとドイツ語でRotkäppchenと表され、直訳すると「赤い帽子のおちびさん」となります。
そこから日本版のタイトルである「赤ずきん」や「赤ずきんちゃん」が付けられたと言われています。
童話・赤ずきんから学べる教訓にはどんなものがあるでしょうか。
赤ずきんはお母さんから寄り道をしないように、狼に会っても相手にしないように言われていましたね。
しかし、赤ずきんはその言いつけを守らなかった結果、狼に食べられてしまいます。
赤ずきんの体験から、親の言いつけは守る、知らない人(作品内では狼)のことを信用してはいけないということを子どもに伝えることができますね。
また、狼が赤ずきんを騙しおばあさんに化けるシーンでは、人を騙してはいけないということを学ぶことができます。
お話の中で、赤ずきんは狼の提案通り寄り道をしてしまいますが、そもそもこのとき狼の言葉を信用していなければおばあさんは食べられずに済んだかもしれません。
ここでは、“本当に相手を信じていいのか疑うことの必要性”や、“自分で考えることの重要性”を学ぶことができます。
子どもと赤ずきんのお話を読むときには、このような教訓も伝えながら読んでいきたいですね。
【赤ずきんの原作】童話・赤ずきんの原作・初版は?作者、国や時代についても解説
諸説ありますが、『赤ずきん』はもともとフランスに伝わる民話、つまり昔話だったようです。
その原型となった昔話を、フランスの詩人シャルル・ペローが教訓や当時の風俗を取り入れ編集したものが、ペロー童話・赤ずきんとして世に出ました。
作品として最も古いのはこのペロー童話・赤ずきんで、1697年に出版されています。
それから時が経つこと100年。
グリム兄弟が、ペロー童話から内容を足し引きし再編集したものが、グリム童話・赤ずきんです。
その後、日本にグリム童話が主流となって入ってきました。
お話自体はフランスに伝わったものですが、赤ずきんの故郷と呼ばれている町はドイツにあります。
ドイツの中心部にあるメルヘン街道沿いの小さな町、アルスフェルトが属するシュヴァルム地方は、独特の民族衣装が有名な地域です。
シュヴァルム地方の女性が被るコップのような伝統的な赤い帽子は赤ずきんの原型とも言われているんですよ。
【赤ずきんの都市伝説】童話・赤ずきんにまつわる都市伝説や疑問について考察
童話・赤ずきんには、私たちの知るお話の他にさまざまなお話があります。
ここからは童話・赤ずきんの都市伝説や疑問点について見ていきましょう。
①童話・赤ずきんにはその後の物語があった?!
実はグリム童話・赤ずきんには後日談がありました。
赤ずきんは再びおばあさんの家へ行くことになり、その道中でまた別の狼に出会うのです。
なんと狼の出没率の高い森なのでしょうか……。
しかし先日のことがありますから、赤ずきんは狼を相手にはしません。
無事おばあさんの家に着くと、おばあさんに途中狼に会ったことを話します。
狼はまたしても赤ずきんやおばあさんを食べようと目論み、おばあさんの家へ入ろうとしますが、家の中からは返事がなく相手にされません。
赤ずきんとおばあさんはソーセージを煮た湯を風呂桶に張り狼を匂いで誘い込みます。
屋根の上にいた狼はいい匂いにつられ、風呂桶に落ちて溺死してしまいました。
先日の一件から教訓を得た赤ずきんとおばあさんは、無事狼をやっつけたのでした。
というお話です。
子どもに話しても分かりやすい内容になっているので、グリム童話・赤ずきんを読む際には後日談も話してあげるといいですね。
②童話・赤ずきんは実は怖い話?!
日本で一般的に知られているのは可愛らしい女の子が登場し、ハッピーエンドで終わる赤ずきんですが、中には怖いお話もあるんです。
先にご紹介したペロー童話では、赤ずきんとおばあさんが狼に食べられたところで終わってしまい、バッドエンドとなっていましたね。
日本に普及しているグリム童話では、何気なく読みがちですが、食べられた二人を助けるために狩人が寝ている狼のお腹をチョキチョキと切るシーンが出てきます。
改めて考えると恐ろしいですね。
また、それだけではなく、空っぽになった狼のお腹に3人は石を詰め、狼はその後川でバランスを崩し溺死してしまいます。
赤ずきんとおばあさんが無事助かりハッピーエンドと思われるお話も、じっくり読んでみるとなんて残酷なお話なんでしょうか。
童話の中に垣間見える命の尊さ、人の復讐心、生きるか食われるかの駆け引きを作者は表現したかったのかもしれませんね。
③童話・赤ずきんはなぜこのような結末になったのか?
グリム童話・赤ずきんの“狼のお腹に石を詰める”というシーン。
どこかで聞き覚えのある方もおられるのではないでしょうか?
狼のお腹に石を詰めて、狼は井戸に落ちて死んでしまう。
というのは『おおかみと七匹のこやぎ』で出てくるシーンなんです。
『おおかみと七匹のこやぎ』では、ヤギのお母さんが子ヤギを助けるために狼のお腹を裂き、石を詰めて縫い合わせました。
となるので少し内容は異なりますがとても似ていますね。
これは偶然ではなく、グリム兄弟が意図的にやったことだと言われています。
狼に食べられて終わってしまうペロー童話・赤ずきんのお話に『おおかみと七匹のこやぎ』の結末を繋げたのです。
こうしてハッピーエンドで終わる『赤ずきん』ができたんですね。
【赤ずきんの絵本】童話・赤ずきんのおすすめ絵本を紹介
ここからは、童話・赤ずきんのおすすめ絵本を3つご紹介していきます。
おすすめポイントも合わせてご紹介していきますので、ぜひ参考にしてみてくださいね。
『あかずきんちゃん』
出典: Amazon.co.jp
出版社:金の星社
発行日:2007年6月
値段:1,400円+税
対象年齢:幼児から
『あかずきんちゃん』のおすすめポイント
数々の有名な絵本を多く手掛けている有名な絵本作家いもとようこによる赤ずきん。
「いもとようこ世界の名作絵本シリーズ」の第10弾として出版され、お馴染みの優しいタッチで描かれています。
赤ずきんの可愛らしいイメージにぴったりですね。
『ぱたぱたしかけ あかずきん』
出典: Amazon.co.jp
絵:佐古百美
出版社:学研
発行日:2010年11月4日
値段:580円+税
対象年齢:3歳から
『ぱたぱたしかけ あかずきん』のおすすめポイント
世界的にも有名な名作を楽しい仕掛けと、子どもでも読みやすい短い文章でコンパクトにまとめられた絵本です。
一見小さい子どもには難しそうな赤ずきんのお話ですが、仕掛けで遊びながら読むとすらすら読めそうですね。
狼が赤ずきんやおばあさんを食べるシーンが仕掛けになっているところが見どころですよ。
『赤ずきんのほんとうの話』
出典: Amazon.co.jp
訳:上野和子
出版社:大日本絵画
発行日:2008年9月
値段:2,000円+税
『赤ずきんのほんとうの話』のおすすめポイント
赤ずきんのお話といえば、お母さんからおばあさんの家へおつかいを頼まれるところから始まるのが一般的ですね。
ですが今回はそれよりも前のお話を取り上げています。
思いもよらないことが起こる、ユーモア溢れるパロディに注目です。
【赤ずきんのまとめ】意外と知られていない裏話がいっぱい
いかがでしたか?
日本でも古くから馴染みのある『赤ずきん』ですが、中にはあまり知られていないお話も多く出てきましたね。
時代も国も越えて受け継がれる名作『赤ずきん』。
後日談や裏話を見ていると、大人が読んでも興味深いお話がたくさんありました。
一般的なグリム童話だけでなく、ペロー童話や原作も合わせて楽しんでみてくださいね。
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