戦争という人間がおかしたもっともな愚かな行為。
「戦争絵本なんて、まだ子どもに読ませる必要ないよ」
「恐ろしい描写がトラウマになるでしょ?」
そんなお父さんお母さんの声はもっともです。
けれど争いのない世界や平和がどれほど素晴らしいことなのか、誰よりもよく知っているのは子供です。
そして真実を見抜く目をもつのも子供です。
小学校低学年にもなれば、戦争のことを大人に問いかけてくる子もいます。
かつて戦争は日本でも行われていたこと。
いま現在でもどこかの国で行われていること。
そういった悲惨さを伝えていくためにも戦争を知る絵本は大切です。
とはいえ、戦争を扱う絵本は慎重に選びたいですね。
この記事では、子供にも読みやすい戦争の絵本のおすすめを年齢別に全部で15冊紹介しています。
あらすじやおすすめポイントなども合わせて、是非選ぶときの参考にしてみてくださいね。
戦争の絵本おすすめ人気作品【1、2歳向け】
平和というのは生まれてくる命への愛情そのものです。
赤ちゃんは絵本を通して、それをかならず感じ取ります。
『おひさまとおつきさまのけんか』
出典:Amazon.co.jp
作者:せな けいこ
出版社:ポプラ社
発行日:2003年07月
値段:880円+税
対象年齢:幼児から
『おひさまとおつきさまのけんか』のあらすじ
ある日、おつきさまは遅刻をしてしまいました。
おひさまはカンカンに怒っておつきさまを怒鳴りつけます。
そこからケンカが始まって、おひさまとおつきさまの中はどんどん悪くなり……
『おひさまとおつきさまのけんか』のおすすめポイント
おばけ絵本で有名なせなけいこが、子供たちにストレートに戦争を問いかける絵本です。
おひさまとおつきさまがケンカをする姿はとても悲しいですね。
子供たちは争いはいけないことだと、肌で感じます。
『おかあさんのいのり』
出典:Amazon.co.jp
作:武鹿 悦子
絵:江頭 路子
出版社:岩崎書店
発行日:2015年07月31日
値段:1400円+税
対象年齢:幼児から一般
『おかあさんのいのり』のあらすじ
赤ちゃんが生まれてその小さな手を見つめるお母さん。
「その てがどうか 銃など にぎりませんように」
世界中のこどもたちから平和をうばわないで…。
この世界に生きるすべての子供たちに向けた、お母さんの平和への祈りの絵本です。
『おかあさんのいのり』のおすすめポイント
あたたかな詩で語られる言葉は、読み聞かせにも向いています。
赤ちゃんは内容がわからなくても、お母さんの深い愛情はかならず伝わりますよ。
『へいわとせんそう』
出典:Amazon.co.jp
文:たにかわ しゅんたろう
絵:Noritake
出版社:ブロンズ新社
発行日:2019年03月13日
値段:1200円+税
対象年齢:幼児
『へいわとせんそう』のあらすじ
「へいわ」のボク。
「せんそう」のボク。
「へいわ」の父。
「せんそう」の父。
何がちがうの?
何が変わるの?
『へいわとせんそう』のおすすめポイント
小さな子が見てもわかるハッキリとした白黒の絵。
だれが読んでもわかりやすい言葉。
これ以上ないくらいシンプルなのに強く印象に残る一冊です。
戦争の絵本おすすめ人気作品【3、4歳向け】
自分以外のだれかの気持ちが少しずつ分かる頃ですね。
物語のなかの争いになぜ?と感じます。
『キンコンカンせんそう』
出典:Amazon.co.jp
作:ジャンニ・ロダーリ
絵:ペフ
訳:アーサー・ビナード
出版社:講談社
発行日:2010年8月6日
値段:1500円+税
対象年齢: 幼児から
『キンコンカンせんそう』のあらすじ
戦争ばかりしているある国は、とうとう大砲や武器に使う金属がなくなりました。
そこで軍部の大将は国中の時計塔や教会をこわして、「武器の材料にしろ!」と命令を出します。
そして、いままでにないおおきな大砲をつくりましたが……
『キンコンカンせんそう』のおすすめポイント
戦争はなにもかも破壊するのだ、ということが子供にもわかります。
おおきな大砲が「キンコンカン」と鐘を鳴らす場面はホッとするとともに、戦争の愚かさを伝えます。
『ピース・ブック The Peace Book 』
出典:Amazon.co.jp
作者: トッド・パール
訳: 堀尾 輝久
出版社: 童心社
発行日: 2007年07月
値段:1500円+税
対象年齢:3歳から
『ピース・ブック The Peace Book』のあらすじ
へいわってどういうことなんだろう?
「Peace is making new friend へいわって あたらしい ともだちを つくること……」
アメリカで平和教育の教材として使われた絵本です。
『ピース・ブック The Peace Book』のおすすめポイント
毎日の当たり前の生活がとても大切なことなんだ、ということがわかりやすく描かれています。
みんながニコニコしている絵に子供たちもニコニコします。
『なぜ戦争をするのか?六にんの男たち』
出典:Amazonco.jp
作者:デビッド・マッキー
訳:中村 浩三
出版社:偕成社
発行日:1975年09月
値段:1200円+税
対象年齢:3~4歳から
『なぜ戦争をするのか?六にんの男たち』のあらすじ
6人の男たちは平和に暮らせる土地を見つけると、協力して家を建て畑を耕し裕福になりました。
裕福になると自分のものを盗まれるのではないかと心配になり、兵隊をやといます。
6人の男たちは兵隊を使って人の土地を奪い、富と権力を追い求め、とうとう軍隊を持つようになりました。
『なぜ戦争をするのか?六にんの男たち』のおすすめポイント
シンプルで風刺画のようなタッチの絵が内容の深さを浮き彫りにします。
人は欲望を持つと次々おろかなことをしてしまうのだ、ということがわかりやすく、淡々と描かれています。
大人にも読んで欲しい一冊です。
戦争の絵本おすすめ人気作品【5、6歳向け】
戦争がなにかということがわかってくる時期です。
絵本を読んで想像がひろがり、戦争の痛みを感じ取ることが出来るでしょう。
『まちんと』
出典:Amazon.co.jp
作:松谷 みよ子
絵:司 修
出版社:偕成社
発行日:1983年08月
値段:1200円+税
対象年齢:幼児から小学校低学年
『まちんと』のあらすじ
原爆の炎に包まれたあの日。
傷つき横たわる小さな女の子の口にお母さんはトマトを与えます。
女の子は「まちんと まちんと」と言って、もっとトマト欲しがりながら息絶えました。
『まちんと』のおすすめポイント
「まちんと」は「もうちょっと」という意味です。
小さな女の子が回らない舌で、方言の「まちっと」をそうつぶやいたのです。
絵本の画面いっぱいに鮮烈な赤い色で描かれる炎は、原爆の恐ろしさを強く訴えます。
戦争を語り継ぐ民話として、いつまでも心に残る絵本です。
『かわいそうなぞう』
出典:Amazon.co.jp
作:土家 由岐雄
絵:武部 本一郎
出版社:金の星社
発行日:1970年
値段:1600円+税
対象年齢:6~7歳から
『かわいそうなぞう』のあらすじ
戦争のため、上野動物園の動物たちは殺処分されることになります。
毒の入ったエサを食べないゾウたちは、餓死をさせることになりました。
ゾウたちは餌が欲しくて一生懸命芸をします……
『かわいそうなぞう』のおすすめポイント
戦時中の上野動物園の実話です。
戦争は人間のみならず、ほかの生き物も犠牲になるのだ、ということがわかります。
『日・中・韓平和絵本 へいわって どんなこと?』
出典:Amazon.co.jp
作者: 浜田 桂子
出版社: 童心社
発行日: 2011年04月01日
値段:1500円+税
対象年齢:6歳から
『日・中・韓平和絵本 へいわって どんなこと?』
へいわってどんなこと。
きっとね、へいわってこんなこと。
せんそうをしない。
ばくだんをおとさない。
そしてさりげないこんなこともへいわなんだね。
『日・中・韓平和絵本 へいわって どんなこと?』
日本、中国、韓国三カ国の絵本作家とともに平和を訴える絵本シリーズの第一作です。
国を越えて子供たちのために描かれた絵本は、静かに力強く平和を訴えます。
戦争の絵本おすすめ人気作品【小学生低学年向け】
戦争であった悲しい出来事を自分なりに受け止めていきます。
だからこそ戦争の真実をごまかさずに伝えることが大切です。
『ほたる』
出典:Amazon.co.jp
作:山本 真理子
絵:佐伯 和子
出版社:岩崎書店
発行日:1982年07月
値段:930円+税
対象年齢:小学校低学年から
『ほたる』のあらすじ
特攻隊として戦争にいく前に、食堂にうどんを食べに来た宮川くん。
宮川くんは食堂のおばさんに「もう一度うどんを食いに来るよ」そう言って戦争に行きました。
けれど宮川くんは帰ってきませんでした。
その夜、ほたるがあらわれて……
『ほたる』のおすすめポイント
戦争では特攻隊をはじめ、兵士として命を失った若者たちが大勢いました。
そのことを決して忘れてはいけないことを教えてくれます。
『原爆の火』
出典:Amazon.co.jp
作:岩崎 京子
絵:毛利まさみち
出版社:新日本出版社
発行日:2000年08月05日
値段:1500円+税
対象年齢:小学校低学年から
『原爆の火』のあらすじ
ヒロシマに原爆が投下された日。
兵士だった山本さんはおじさんの消息をたずね、そのとき焼け跡にくすぶっていた火を持ち帰ります。
山本さんはふるさとでその火を絶やさず燃やし続けました。
あの日の恐ろしい惨状と、亡くなってしまったたくさんの人々の無念を忘れないために。
『原爆の火』のおすすめポイント
山本さんが持ち帰った火は、現在も福岡県八女市星野村で「平和の火」として灯され続けています。
ヒロシマのことや「平和の火」のことを後世に伝えるために、読み継がれて欲しい一冊です。
『おとうさんのちず』
出典:Amazon.co.jp
作・絵:ユリ・シュルヴィッツ
訳:さくま ゆみこ
出版社:あすなろ書房
発行日:2009年05月
値段:1500円+税
対象年齢:小学校低学年~中学年
『おとうさんのちず』のあらすじ
戦争で、ふるさとを追われた男の子は家族で知らない土地に避難します。
ある日わずかなお金でお父さんはパンを買いに出かけました。
お腹がペコペコの男の子はお父さんの帰りを待ちわびます。
でも、お父さんが買ってきたのはパンではなく、なんと世界地図でした。
『おとうさんのちず』のおすすめポイント
男の子は世界地図をみながら空想のなかで世界中を旅します。
ひとつの世界地図が子供にパン以上の豊かさを与えます。
戦争という過酷な状況の中でも、子供の想像力は強く羽ばたくことを教えてくれます。
戦争の絵本おすすめ人気作品【小学生中学年向け】
戦争はなぜ起きて、起きるとどうなってしまうのか。
絵本の物語を通して、平和のために何ができるのか考えるきっかけを作ります。
『わすれないよいつまでも 日系アメリカ人少女の物語』
出典:Amazon.co.jp
文:ヨシコ・ウチダ
絵:ジョアナ・ヤードリー
訳:浜崎 絵梨
出版社:晶文社
発行日:2013年07月
値段:1500円+税
対象年齢:小学校中学年から
『わすれないよいつまでも 日系アメリカ人少女の物語』のあらすじ
アメリカと日本が戦争をはじめると、アメリカに住んでいた日本人はみな強制収容所に送られました。
エミも住みなれた家を追い出され、収容所に入れられることになりました。
出発の日、幼馴染の親友ローリエが訪ねてきて、金色のブレスレットをエミに手渡します。
『わすれないよいつまでも 日系アメリカ人少女の物語』のおすすめポイント
ひとたび戦争が始まると大好きだった友だちとも、もう会えなくなる……
すべてを奪うリアルな戦争の現実が、精密な絵と物語で描かれます。
生きる勇気を忘れないエミの姿が胸を打ちます。
『まっ黒なおべんとう』
出典:Amazon.co.jp
文:児玉辰春
絵:長澤 靖
出版社:新日本出版社
発行日:1995年04月20日
値段:1500円+税
対象年齢:小学校低学年~小学校中学年
『まっ黒なおべんとう』のあらすじ
しげるのお母さんが作ってくれるお弁当は野菜ばかりの粗末なもの。
でもしげるには何よりもうれしいお弁当でした。
けれどしげるはそのお弁当を口にすることなく、原爆のために息絶えます。
お母さんが探し出したしげるの遺体のそばには、中身がまっくろになったお弁当箱がありました。
『まっ黒なおべんとう』のおすすめポイント
原爆資料館に展示されている、中身が炭になったお弁当箱にひめられた物語を絵本にしたものです。
お弁当を食べることも出来ずに亡くなった息子への、お母さんの深い悲しみを感じます。
『彼岸花はきつねのかんざし』
出典:Amazon.co.jp
作:朽木祥
絵:ささめや ゆき
出版社:学研
発行日:2008年01月
値段:1200円+税
対象年齢:小学生中学年から高学年
『彼岸花はきつねのかんざし』のあらすじ
也子(かのこ)の前に現れたかわいい子ぎつねは「あたしに化かされたい?」と也子に聞きました。
子ぎつねと也子はだんだん仲良くなりお互いがかけがえのない存在になります。
ほんとうはずっとずっと、いっしょに遊べるはずでした。
あの爆弾が落ちてくるまでは……
『彼岸花はきつねのかんざし』のおすすめポイント
也子と子ぎつねの交流があたたかく胸にしみます。
だからこそすべてが語られないラストにはおおきな切なさを感じます。
戦争の絵本は幼児から小学生まで人気!絵本の選び方は?
戦争を繰り返さず、その記憶を遠いものとしてはいけません。
だからこそ絵本によって子供たちに戦争が語られることは重要です。
戦争絵本を選ぶときの3つのポイントをお伝えします。
戦争の絵本の選び方①戦争の真実を見つめることのできる絵本を選ぼう!
悲惨な戦争の現実や真実を見つめることは、ときにとても苦しいことです。
でも子供たちにはありのままの真実を伝えたいものですね。
絵本から戦争の真実を知ることで、子供たちは自分なりに深く平和について考えるようになるでしょう。
戦争の絵本の選び方②平和の尊さを知ることができる絵本を選ぼう!
争いのない普通の生活がどれほどかけがえのないものか。
お友だちと遊んだり、家族でご飯をたべたり、学校に行ったり。
そんな当たり前のことは平和だからできるんだよ、ということをぜひ絵本を通して伝えましょう。
戦争の絵本の選び方③平和のためにできることを考える絵本を選ぼう!
平和という唯一無二なもの。
それを守るために自分には何ができるのだろうか。
絵本を読みながら、きっと子供たちは真剣に考えます。
お父さんやお母さんも子供といっしょにその思いを分かち合えたら素敵ですね。
戦争の絵本からかけがえのない大切なことを学ぼう
いかかでしたか?
どの戦争絵本も子供たちに大切なことを伝えなければ、というパワーに溢れていましたね。
たとえどんなにつらい内容であっても、絵本はすべての子供たちに力をくれます。
それは未来に生きる子供たちを守る力でもあります。
戦争絵本から何かを学んだ子供たちは、きっと未来を明るくするパワーをもつことでしょう。
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