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あらすじ・解説

【赤い靴】アンデルセン童話「赤い靴」は怖い?ストーリー・あらすじ、意味などを解説

赤い靴

世界中で愛されている美しくも悲しいアンデルセン童話「赤い靴」。

数々の絵本をはじめ、英語圏イギリスでバレエ映画が製作されるなど、様々な形で長くとりあげられてきました。

同じタイトル「赤い靴」で、横浜を舞台に「異人さんに連れられていっちゃった」という有名なフレーズを持つ歌も存在しています。

こちらでは、なじみ深い童話「赤い靴」について、深く掘り下げてお伝えしていきます。

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【赤い靴のストーリー】童話・赤い靴のあらすじ内容

赤い靴

赤い靴のあらすじ内容

あるところに、カーレンという女の子が病気の母親とふたりきりで暮らしていました。

貧しいカーレンがはだしでいるのをかわいそうに思った靴屋の女性が、赤い靴を作ってはかせてくれました。

その後、お母さんが亡くなり、「わたし、これからどうしたらいいの?」とカーレンはお葬式でひとり泣いていました。

同情してくれたお金持ちのおばあさんにカーレンはひきとられ、勉強やおさいほうを習って楽しく暮らすことになりました。

ある日、町に来たお姫様の美しい真っ赤な靴にカーレンの目は釘付けになります。

「なんて素敵な靴!」カーレンは、その美しさを片時も忘れることができませんでした。

何年かがたち、美しい年頃の娘になったカーレンは、靴屋でお姫様のものとそっくりな赤い靴をみつけます。

カーレンがその靴を欲しがっていることを知ったおばあさんは、その靴を買ってやりました。

「素敵な靴をありがとう。これをはいて教会へ行ってみたいわ」

おばあさんはそんなカーレンに注意します。「教会へは黒い靴をはいていくもの。そんな赤い靴をはいて行ってはいけません」

その言葉にうなずいたカーレンでしたが、しばらくたっておばあさんが病気で寝込むようになると、教会へ赤い靴をはいて行くようになりました。

人々が靴を見てうらやんでいるように思え、カーレンはうれしくなりました。

ある日、カーレンは、病気のおばあさんの看病もせずに、赤い靴をはいてダンスパーティーに出かけようとしました。

その途端、赤い靴がひとりでにダンスを始めます。

赤い靴にあやつられるままに、カーレンは外へ踊りだしました。

暗い森の中にいた気味悪い魔法使いのおじいさんが言いました。「お前が心を入れ替えないかぎり、その靴は踊り続けるだろう」

何日も踊り続けカーレンは疲れ果てますが、赤い靴は止まってくれません。

おばあさんのお葬式に出会ったカーレンは、胸が張り裂けそうになって大声で泣き出しました。

「ああ、おばあさん、ごめんなさい」

優しいおばあさんが死んでしまったのは、自分が看病をしなかったせいだと悔やんだのです。

「神さま、どうかおばあさんが天国へ行けますように。わたしはどうなってもかまいません」

その時、まぶしい光がさしこみ、その中で天使がほほえんでいました。

「おばあさんは天国に行けるでしょう。おまえの罪も許されました」

カーレンの足から赤い靴がぬげて、とうとう踊りは止みました。

赤い靴の教訓

カーレンの犯した罪。それは、みなしごの彼女をやさしく育ててくれたおばあさんへの恩を置き去りにし、美しい靴のことしか考えなかったことでした。

自分のことばかりを考えて、恩知らずな傲慢な生き方をしてはいけないということを教えられます。

また、病に苦しむ人を助け、その心に寄り添おうという同情心も、カーレンの胸に芽生えることはありませんでした。

人として一番大切な慈悲の心を持たなかったカーレンに、踊り狂う赤い靴の呪いが襲いかかったのです。

生来人間はみな弱く、誰もがあやまちを犯してしまうものですが、それでも、悔い改めれば報われる日がくるということがこの物語では示唆されています。

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【赤い靴の結末】童話・赤い靴はラストが怖い?

赤い靴

「赤い靴」の原作では、カーレンが足を切断するという衝撃的なシーンがあるため、怖いラストととられがちです。実際のところはどうなのでしょうか。

作者のアンデルセンは、厳格なキリスト教徒だったことで知られ、ほかのアンデルセン童話と同様に、「赤い靴」もキリスト教信仰を基本に描かれています。

カーレンの罪は、キリスト教における「七つの大罪」のうちのひとつにあたる「傲慢の罪」でした。

しかし、懺悔の祈りを捧げたカーレンは、最後には罪を許されて天に召されます。

そのため、キリスト教的視点でみれば、「赤い靴」はカーレンの魂が神により救われたハッピーエンドの物語となるのです。

なお、現代の子ども向けに書かれた作品では、足を切る、天に召されるなどのきつい描写は改められています。

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【赤い靴のよくある勘違い】童話・赤い靴は横浜が舞台の歌『赤い靴』とは別物!

赤い靴

横浜を舞台にした童謡「赤い靴」をご存じでしょうか。

同じタイトルのために混同されがちですが、アンデルセン童話の「赤い靴」とはまったく別物です。

童謡「赤い靴」は1922年(大正11年)に、野口雨情作詞、本居長世作曲で発表されました。

定説としては、「佐野きみ」という少女の実話をもとに生み出されたと言われています。

北海道の開拓民となったきみの母・かよは、生活の厳しさから、娘の養育をアメリカ人宣教師に託しました。

その後、きみは結核になり孤児院で亡くなりましたが、かよは娘がアメリカに渡ったものと思いこんだまま一生を過ごします。

新聞社に勤めていた野口雨情がかよと親交を深め、きみが渡米したという話を聞いて作詞をし、本居長世がメロディがつけて、名曲「赤い靴」が生まれました。

横浜山下公園の「赤い靴はいてた女の子の像」や、横浜周遊バス「あかいくつ」など、童謡は横浜文化に定着し、人々から愛され続けています。

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【赤い靴の基本情報】童話・赤い靴の原作作者は?

赤い靴

赤い靴の原作、作者

「赤い靴」の作者は、世界で最も有名なデンマークの童話作家ハンス・クリスチャン・アンデルセンです。

詩人でもあったアンデルセンは、美しい詩情あふれる約170の作品を残しており、代表作には「人魚姫」「みにくいアヒルの子」「マッチ売りの少女」などがあります。

「赤い靴」は、アンデルセン自身が堅信礼のために新しい靴を作ってもらった経験をもとに生み出しました。

嬉しくて堅信礼の最中まで靴に気をとられてしまったという反省から、虚栄心を罰する物語を書いたといわれています。

赤い靴を履いた少女カーレンはモデルがいた?

主人公・カーレンのモデルは、アンデルセンの異父姉カーレン・マリーです。

母が結婚前に生んだ私生児である姉の存在を、アンデルセンは恥じていました。

彼にとって、退廃、無知の象徴だったカーレン・マリー。

アンデルセンは彼女によって自分が貶められることを恐れていたと言われています。

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【赤い靴の意味】童話・赤い靴に出てくる靴はなぜ赤なのか?

赤い靴

タイトルでもあり、物語での重要なアイテムでもある「赤い靴」ですが、アンデルセンはなぜ「赤」にしたのでしょうか。

カーレンは生涯で3足の「赤い靴」に出会います。

1足目は、幼い頃に靴屋の女性にはだしの足のために作ってもらった「赤い靴」。この靴によって、彼女はけがから守ってもらえるようになります。

2足目は、お姫様のはいていた「赤い靴」。決して届かない憧れの存在です。

3足目は、魅せられて買った赤いエナメルの靴。美しく成長したカーレンの傲慢な心から手に入れたものでした。

郷愁と憧れをかきたてる存在だった「赤い靴」を、3度目の出会いでついに手に入れたことで、カーレンはまるで恋におちたかのように心奪われてしまいます。

ゴージャスな赤いバラが人の心を熱く妖しく魅了することからもわかるように、「赤」は情熱的で人間の感情を強く刺激する色です。

靴の色が「赤」だったからこそ、カーレンの心にも赤い情熱が燃え上がったのです。

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【赤い靴の絵本】童話・赤い靴を読むのにおすすめの絵本は?

赤い靴

長く親しまれてきた童話「赤い靴」のおすすめ絵本を2冊ご紹介します。

あかいくつ(いわさきちひろの絵本)

赤い靴

出典:amazon.co.jp

作:アンデルセン

著:神沢 利子

絵:いわさき ちひろ

出版社:偕成社

発行日:1968年8月1日

いわさきちひろの詩情豊かな水彩画に思わずひきこまれる作品です。

『にんぎょひめ』『マッチうりの少女』『おやゆびひめ』など、ちひろはほかのアンデルセン童話も手掛けているので、ぜひそちらも読んでみてください。

赤いくつ

赤い靴

出典:amazon.co.jp

作:アンデルセン

著:岩崎 京子

絵:隆矢 なな

出版社:女子パウロ会

発行日:2004年11月1日

明るい色でポップに描かれた絵が、暗く悲しい印象の物語を楽しい雰囲気に仕上げています。

小さな子どもでも喜んで読むことができる、楽しい一冊です。

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詩情あふれる美しい名作童話「赤い靴」を堪能しましょう

赤い靴

世界でもっとも愛される童話作家アンデルセンが生んだ、切なくも美しい一編「赤い靴」。

悲しい身の上を持つ一人の少女が、さらなる試練と苦難の末に、神に許されて喜びのうちに天へと召されていきます。

悲しくて怖いストーリーと思われがちですが、実際は信仰心あついアンデルセンだからこそ生み出せた、真の救済が描かれた名作です。

さまざまな絵本や、バレエや映画、舞台芸術などに触れて、この美しい物語を存分に堪能して下さい。

この記事を書いた人
ゆみうた

「おひさまパン」「バムケロ」「わたしのおふねマギーB」などたくさん読んで育った中学生の娘と息子がいます。心の栄養になってくれた絵本たちは今でも大切な宝ものです。趣味は合唱と映画・ドラマ鑑賞。

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