あらすじ・解説

【ヘンゼルとグレーテル】グリム童話・ヘンゼルとグレーテルのあらすじ内容・結末から教訓、原作についても解説!おすすめ絵本も紹介

クリスマスの時期になると作られる、ヘクセンハウス(魔女の家)。

もともとは、グリム童話のヘンゼルとグレーテルに登場するお菓子でできた魔女の家をさす言葉でしたが、時代がたつと実際にお菓子で作る小さな家もヘクセンハウスと言われるようになりました。

ヘンゼルとグレーテルを読むたびに、本当にお菓子の家があればいいのになぁ、なんて思いましたよね。

200年以上前に原作が作られており、当時の社会情勢や市民の生活などもわかる描写がそこここに見受けられます。

あらすじを振り返るとともに、そこから学べる教訓などもお伝えします。

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グリム童話・ヘンゼルとグレーテルの登場人物と名前

ヘンゼルとグレーテルアイキャッチ

ここでは、ヘンゼルとグレーテルの登場人物を紹介します。

ヘンゼル
主人公。冷静で賢い少年。
グレーテル
主人公。ヘンゼルの妹。泣き虫。
魔女
お菓子の家で子どもたちをおびきよせて食べる。
お父さん
ヘンゼルとグレーテルの父。木こり。
お母さん
ヘンゼルとグレーテルの母。2人を山に捨てることを提案した。
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グリム童話・ヘンゼルとグレーテルのあらすじ内容

あらすじ

あるところに、貧しい木こりの夫婦とヘンゼルグレーテルという名の兄妹が住んでいました。

生活は苦しく、やがてパンすら手に入らなくなりました。

ある夜、ヘンゼルとグレーテルは、お母さんがお父さんに「もう食べるものがないの。明日、みんなで森へ出かけて、子どもたちを置き去りにしましょう」と言うのを聞きました。

泣くグレーテルに「ぼくがなんとかするから」と冷静なヘンゼルは言い、庭の白い小石をたくさん集めます。

翌日、聞いていた通りに森に置き去りにされた子どもたちは、ヘンゼルが家から小石を落として目印をつけていたおかげで、家に戻ることができました。

お父さんは喜びましたが、お母さんは不満です。

その夜、またお母さんが子どもを森に置き去りにすると話していました

翌朝、ヘンゼルは集められなかった小石の代わりに、残しておいたパンをちぎって道に落として行きました

両親がいなくなってから、パンを辿って帰ろうとしますが、パンは鳥たちに全て食べられていました

森の中を歩き続けると、突然美味しそうなお菓子の家が現れました

2人が食べていると、「わたしの家がそんなに美味しいのかい」と中から優しそうなおばあさんが出てきて、2人を家へ招き入れてくれました。

翌朝、2人が目覚めると、恐ろしい顔をした魔女が現れて、ヘンゼルを檻に閉じ込めました。

昨夜の優しいおばあさんは、子どもたちを誘き寄せて食べてしまう魔女だったのです。

魔女はグレーテルにヘンゼルに与えるための料理を命じます。

「ぶくぶくと太らせてから食べてやろう」……!

1ヶ月間、魔女はヘンゼルの指を毎日触って確認しますが、ガリガリの痩せっぽっちのまま。

目の悪い魔女をあざむくために、ヘンゼルは食事の時に出てきた骨を取っておいて、それを魔女に触らせていたのです。

痺れを切らした魔女は、とうとうヘンゼルをかまどで焼いて食べることにしました

「かまどの準備ができているか確認しろ」という魔女に、グレーテルは「やり方がわからないからおしえて」と言いました。

そして魔女が熱いかまどの中に頭を入れた瞬間、グレーテルは「ドンッ!」と魔女の背中を一押し!

魔女がかまどの中へ転がると、グレーテルは鉄の扉を閉めてかんぬきをしっかりとかけました。

叫び声を上げた魔女は、かまどの中で焼け死にました

グリム童話・ヘンゼルとグレーテルの最後の結末は?

ヘンゼルとグレーテルは魔女の家にあった宝石をポケットにたくさん詰めこんで、なんとか森を抜け出して家に帰ります。

2人を置き去りにしてしばらくしてからお母さんがいなくなっており、お父さんは1人ぼっちになっていました。

「よく帰ってきてくれた!」とお父さんは泣いて喜び、それから3人は仲良く暮らしました

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グリム童話・ヘンゼルとグレーテルの意味・教訓、伝えたいことは?

教訓

冷静で賢い兄ヘンゼルと、泣き虫の妹グレーテル

最初に捨てられた時はヘンゼルの機転で家に辿り着きましたが、2度目はうまく行きませんでした。

捨てられると聞いた時も、実際に置いていかれた時も、森をさまよっている時も泣いてばかりだったグレーテル。

そして、両親から捨てられた上に、お腹をすかせている子どもたちの前に現れたのはとても美味しそうなお菓子の家です。

普段なら、冷静なヘンゼルのことですから、おそらく用心したでしょう。

けれど、簡単に甘いものに飛びついた結果、魔女に食べられそうになるという恐ろしい目に会いました。

そこで活躍したのは泣き虫だった妹のグレーテル

言いつけられた仕事をしながら、魔女をやっつける絶好の機会を逃さずに、兄を救い出したのです。

力を合わせて、危機を乗り越えたヘンゼルとグレーテル。

「甘い誘惑に負けないこと」「最後まであきらめないこと」「協力して問題を解決すること」を伝えてくれます。

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グリム童話・ヘンゼルとグレーテルの原作・初版は?作者、国や時代についても解説

原作

ヘンゼルとグレーテルは、グリム童話に収録されている作品です。

1811年に、グリム兄弟がドイツ・ヘッセン州に伝わる民話を編纂し、1812年の『子どもと家庭のメルヒェン集』に収録されました。

当時のドイツは、フランスのナポレオン・ボナパルトの占領下にありました

そのことでドイツ国内でナショナリズムが高揚し、ドイツの伝承や民話を再認識する動きが広がったのです。

ヘンゼルとグレーテルの話自体は、1315年から1317年の間に起こった、中世ヨーロッパ大飢饉の際の市民の実際の暮らしを伝えるものとされています。

大飢饉の時に食い扶持を稼ぐことができないから、という理由で捨てられた子どもたちも多かったそうで、その話がヘッセン州の民話として語り継がれていたのです。

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グリム童話・ヘンゼルとグレーテルにまつわる都市伝説や疑問について考察

考察

誰もが知る『ヘンゼルとグレーテル』の話ですが、時代によって内容が少し変わっています。

ストーリーの変遷と、少し気になるところを考察しました。

①グリム童話・ヘンゼルとグレーテルで子どもを捨てたのは誰?

グリム兄弟がヘッセン州の民話として聞き、『子どもと家庭のメルヒェン集』に収録した当初は、子どもを捨てようと画策したのは実母でした。

ところが、第4版からは実母の記述が継母に書き換えられました

食糧難に再び見舞われることがないようにと、この時期のドイツではすでにじゃがいも栽培が普及しており、「食い扶持を減らすために子どもを捨てる」ということは考えられないことで、母親たちが反発をしたのです。

子どもと家庭のための童話ですから、母親たちが読み聞かせないとなると大変です

そこで、実母から継母へと子捨てを主導した人物が書き換えられたようです。

②グリム童話・ヘンゼルとグレーテルのお父さんってどんな人?

気が強いお母さんの言いなりになって、子どもたちを置き去りにしてしまったお父さん。

お父さんは優しいけれど気が弱い、というのが一般的な見方になっていますが、実際のところはどうだったのでしょうか。

子どもたちを置き去りにする時は、「お父さんの木を切る仕事が終わったら迎えに来る」といって2人を残して行きました。

木を切る「カーンカーン」という音を聞きながら子どもたちはお父さんとお母さんを待っていたのですが、その音はお父さんが切った枝をまとめて木に吊るし、それが風で揺れて木々に当たって鳴っていた音でした。

普段は消極的なお父さんですが、子どもたちを置き去りにするのに意外と手の込んだことをしていると思いませんか?

③グリム童話・ヘンゼルとグレーテルは怖い話?

ヘンゼルとグレーテルが魔女をやっつけて無事に家に戻れたことで、この民話が語り継がれていたのだとすれば、少し考えて欲しいのです

ヘンゼルはグレーテルが作った料理をたらふく食べていたので、帰る時にはぶくぶくと太っていました。

グレーテルはザリガニの殻だけ、という描写でしたが、魔女の家にいるおよそ1ヶ月間、ザリガニの殻だけを食べていたはずもありません。

そして魔女も料理を食べるているのですから、一般家庭以上の食材が魔女の家にはありました

魔女の特徴の1つとして「人喰い」がありますが、これは中世に魔女狩りをするために利用した「罪」の1つで、魔女が実在した証拠になるわけではありませんね。

ぶくぶくと太ったヘンゼルと健康なグレーテルが、魔女とされている老婆をかまどで焼き殺して、その家にたまたまあった宝石を山ほど持ち帰ってきた……。

偶然見つけた家で、1ヶ月もの長い間親切にご飯を与えてもらったのに、宝石に目がくらんで家主の老婆を魔女に仕立て上げて殺して宝石を奪った、なんてことはないでしょうか。

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グリム童話・ヘンゼルとグレーテルのおすすめ絵本を紹介

おすすめ絵本

『ヘンゼルとグレーテル―グリム兄弟の童話から』

ヘンゼルとグレーテル―グリム兄弟の童話から画像引用:amazon.co.jp

作:ヤーコプ・ルードヴィヒ・グリム、ヴィルヘルム・カール・グリム
絵:カトリーン・ブラント
訳:藤本朝巳
出版社:平凡社
発行日:2010年3月
値段:1,500円+税
対象年齢:小学生

ヘンゼルとグレーテル―グリム兄弟の童話から』のおすすめポイント

グリム童話の挿絵を多数描いている、ドイツの画家カトリーン・ブラントによる挿絵が楽しめます。
訳も、ほぼ原作と変わらない描写をしていて、淡々と紡がれる文章が、ひときわ挿絵の力を引き出します。
白と黒を基調とした絵になっていて、黒の多さで子どもたちの不安や魔女への恐怖、白の多さで解放と幸せを表現しています。
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グリム童話・ヘンゼルとグレーテルのまとめ

民話や伝承をもとに作られているだけあって、その話ができた頃の社会の様子を知ることができましたね。

子どもを捨てるという非常な決断をしなくてはならないほど、当時のヨーロッパを襲った大飢饉。

明日どころか、今日食べるものすらないという過酷な状況で、どれほどの親たちが子どもを捨てるという悲しい選択をしたのでしょうか。

語り継がれ、読み継がれる名作は、その時代に合わせて変化していくことも少なくありません。

色々な絵本を読み比べて、子どもの年齢に合わせて選択して与えるのも大切ですね。

この記事を書いた人
谷たまき

海外で5歳と3歳の子どもを育児中。日本をバックグラウンドに持つ子どもたちが、日本文化や日本語に親しみを持ってくれるように、毎晩絵本を読み聞かせています。

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