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あらすじ・解説

【青髭】童話・青髭は本当に怖いのか?あらすじや解釈、モデルなどを解説

童話・青髭は本当に怖いのか?

童話・青髭をご存知でしょうか。

英語名は『Bluebeard』。

名前だけ聞いたことがあるけどよく知らない、怖い話と聞いて読んでみたいけど手が出ない…昔読んだけどどんなストーリーだったっけ?

今回はそんな方々のために、童話・青髭のあらすじから、解釈、モデル、作品の背景までわかりやすく解説します。

青髭について、楽しく理解ができますよ。

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【青髭のストーリー】童話・青髭のあらすじ内容

青髭のあらすじ内容

まずは、童話・青髭のあらすじ内容をご紹介します。

読んだことのある方も、もう一度物語を追ってみると、この後の情報をより面白く読むことができますよ。

青髭のあらすじ内容

青髭のあらすじ内容

むかしむかし、ある大きなお屋敷に、1人の貴族の男が暮らしていました。

男はお屋敷の倉に多くの宝石、いろいろな場所に別荘を持っていましたが、真っ青な髭が生えている顔がとても恐ろしかったので、人々に「青髭」と呼ばれて、嫌われていました。

男には奇妙な噂が立てられていました。

今までに6人いた妻が、次々と行方不明になってしまったからです。

人々は、「青髭が食べたにちがいない」と恐れていました。

ある日、青髭は近所に住む美しい娘を7人目の妻に迎えたいと思い、娘やその母親、兄弟、友だちを呼び、ごちそうを振る舞いもてなします。

もてなされた客たちは彼の別荘に何日も泊まって楽しく過ごし、青髭もやさしい笑顔を見せていました。

しばらくして娘が妻になってもいい、と言うと青髭は大喜びし、2人は結婚式を挙げました。

結婚式から数日経ち、青髭は新妻になった娘に、

「明日から大切な用事があって、旅に出かけるんだ。あなたに屋敷の鍵を預けよう」

と言い、新妻に屋敷の全ての部屋の鍵がついた束を渡します。

「これは、家具のある倉の鍵。これは、金食器や銀食器のある棚の鍵。これは、宝石箱の鍵で、これは画家の絵が入っているところの鍵。わたしが留守のあいだ、退屈したら屋敷に友だちをいくら呼んでもかまわない。好きに部屋を使ってもいい。ただし……」

急に怖い目つきになった青髭は、妻をじろりと見て言います。

「この鍵だけは、使ってはいけない」

「わかりました。でも、これはいったいどこの鍵ですか?」

妻がたずねると、

「これは、ろうかの突き当たりにある小さな部屋の鍵だ。その小部屋にだけは絶対に、入ってはいけないよ。いいね」

そう言って翌朝、青髭は出かけて行きました。

はじめのうちこそ、友だちを呼んで楽しく過ごしていた妻ですが、だんだん退屈してきてしまいます。

そして、入ってはいけないと言われたあの小部屋を覗いてみたくて、しかたがなくなりました。

「約束だから、入ってはいけないわ。……でも、少しだけなら」

妻は鍵を開け、小部屋のドアを開けてしまいます。

「ああ!」

中を見ると、ドアに立ち尽くしたままガタガタと震えだします。

彼女の目に飛びこんだのは、部屋の壁に吊るされたたくさんの女の人の死体と、床にべったりとこびりついた大量の血。

すべて、青髭の前の妻たちのものでした。

そこに……。

「ただいま」

と、青髭が帰って来ました。

妻は驚きのあまり、持っていた鍵を床に落としてしまいます。

それからあわてて鍵を拾い、ドアに鍵をかけて夫のもとに行きました。

「お、おかえりなさい……」

青髭は、にっこりと笑いかけます。

「すっかり遅くなってしまってごめんよ。おや、そんなに震えて、どうしたの?」

「いえ、べ、別に」

青髭はガタガタと震える妻を見て、急に恐ろしい顔を見せて言いました。

「預けていた鍵を、渡してもらおう」

妻は手を震わせながら鍵を差し出しますが、鍵を見た青髭は、彼女を睨みつけました。

鍵には、小部屋で落としてしまったときに、床の血がついてしまっていたのです。

「いけないよ、と言っておいたのに、見たんだな」

「どうか、お許しください!」

妻は青髭の前にひざまずき、泣いて許しを乞います。

しかし、許してもらえません。

「お前こそは、と信じていたのに……。お前も悪い女だったのか。殺してやる!」

「お許しください、どうか、どうか……」

青髭は、妻がお祈りをする間だけ、待ってあげることにします。

「神さま……」

妻は、必死で神様にお祈りをし続けます。

ところが青髭は刀を抜いて、お祈りをする彼女の首を切ろうとします。

ちょうどその時、玄関が開いて2人の男が入ってきます。

2人の男は、妻を訪ねてきた兄たちでした。

首を切られそうな妹を見た兄たちは、すぐに青髭に飛びかかり、間一髪でやっつけます。

その後、親戚のいなかった青髭のお屋敷や別荘、宝石やお金はすべて妻のものとなり、彼女は幸せに暮らしたそうです。

青髭の教訓

青髭の教訓

とても恐ろしいストーリーが展開する童話・青髭。

この物語には、どのような教訓があるのでしょうか?

童話・青髭に込められた教訓といわれるものは数々ありますが、一般的なのは「好奇心はときに身を滅ぼす」という教訓です。

娘は好奇心の魅惑に勝てず、入ることを禁じられた小部屋に入ってしまったことで、恐ろしい光景を目の当たりにすることになり、青髭を怒らせてしまいます。

その姿から、過ぎた好奇心で起こした行動によって自分が危機に陥ることがあるよ、と教えてくれているのだという説です。

ほかにも、「約束は守らなくてはならない、違反すると悪いことが起こる」、「悪いことをすると自身も同じ目に遭うことになる」、「隠し事はかならず明らかになってしまう」といった教訓が込められているという解釈もあるようです。

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【青髭の解釈】童話・青髭は本当に怖い話?なぜ青髭は妻たちを殺したのか?

童話・青髭は本当に怖い話?

読んでいるこちらまで身震いしてきそうなストーリーですが、青髭はただ怖いだけの物語なのでしょうか?

なぜ、彼は6人もの妻たちを殺してしまったのでしょうか?

ここでは、その理由について少し深堀りしてみます。

青髭は、「開けてはいけない」とよくよく伝えた小部屋の鍵を新妻に開けられてしまい、怒ります。

それは、信じていた妻に禁を破られ、裏切られた彼の失望感にもとれます。

これまでの6人の妻たちにも、信じては裏切られてきたのかもしれません。

「今度こそは」と妻に大きな期待をかけては、失望し落胆することを繰り返す青髭。

人を信じることがかなわないその姿は、哀れにも感じられてきます。

また、青髭が妻にかけた大きな期待は、彼自身の汚れなき理想とも解釈できるかもしれません。

彼は、自身の理想像を一方的に妻たちに投影し、到底守れそうにないルールを課します。

そして、禁を犯した彼女たちは、彼の理想像を犯した裏切り者となり、青髭は裏切り者を「いなかった」ことにする……。

青髭は、妻を通して自分自身のかなわない理想像とたたかっていたのかもしれませんね。

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【青髭のモデル】童話・青髭のモデルとなった人物は?

青髭のモデル

とても人間とは思えないような恐ろしさをもつ青髭にも、モデルとされる人物がいるようです。

ここでは、モデルとして挙げられている人物についてご説明します。

青髭のモデルになった人物は複数挙げられていて、いずれも論証はありませんが、一般的にはフランスの貴族・軍人であったジル・ド・レであるといわれます。

ジル・ド・レは、百年戦争のなかのオルレアンの戦いでジャンヌ・ダルクとともに活躍した英雄。

しかし、ジャンヌ・ダルクがイングランド王によって火あぶりの刑になった後は、性格ががらっと変わります。

精神を病んでしまったジル・ド・レは、錬金術や黒魔術に傾倒するようになり、子どもの血から金が作れる、と200人以上の少年たちを手にかけていきました。

一時は「救国の英雄」とまで言われたジル・ド・レの悪魔の所業により、突然消える少年の数が増えたということです。

このジル・ド・レの恐ろしい行為が、青髭のモデルとされる理由といわれています。

また、その他に、6人の妻と結婚し、そのうち2人を処刑したヘンリー8世や、千夜一夜物語に登場する、妻を次々に切り捨てていったシャフリヤール王を、童話・青髭のモデルとする説もあります。

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【青髭の原作】童話・青髭の原作、作者は?

青髭の原作

童話・青髭はどのようにできた物語なのでしょうか?

ここでは、原作や作者、成り立ちについてご紹介します。

物語の原作者は、フランスの詩人である、シャルル・ペローです。

ペローは、ヨーロッパ各地から民間伝承を集め、それをアレンジした物語たちの童話集を出版します。

この童話集に収められていた物語の1つが、『青髭』でした。

その後、グリム兄弟によって、グリム童話の第1巻にも『青ひげ』が収められます。

ただ、グリム童話に『青ひげ』が収められたのは1812年の初版のみで、2版以降は削除されました。

『青ひげ』がペローの童話と似ていたのがその理由のようで、2版以降は別の物語と差し替えになっています。

ペローの『青髭』とグリム童話の『青ひげ』では、人物設定など細部に違いがみられますが、物語の大まかな流れは同じです。

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【青髭の絵本】童話・青髭を読むのにおすすめの絵本は?

青髭の絵本

ここでは、童話・青髭に触れられる絵本を3冊、ご紹介します。

おすすめの青髭の絵本①『ペローの青ひげ』

ペローの青ひげ

画像引用;Amazon.co.jp

作者:シャルル・ペロー(文)/エリック・バトゥー(絵・その他)/池田 香代子(訳・解説)

出版社:講談社

発行日:2001年8月30日

価格:1,600円+税

 

シャルル・ペローの『童話集』から、気鋭の画家であるバトゥーにより蘇った『青ひげ』の絵本。

シンプルなイラストが、物語の不気味さを増しています。

おすすめの青髭の絵本②『ファブリこども世界名作シリーズ16 シンデレラ・青ひげのま王』

青ひげのま王

画像引用;旅する本屋 古書玉椿

作者:ペロー(作)/フェーリ(絵)

出版社:TBSブリタニカ

発行日:1977年

価格:-(絶版)

 

アンデルセン童話やグリム童話から名作が集められた童話絵本集の1冊です。

やわらかい口調ときれいな絵で描かれていますが、『青ひげのま王』の恐ろしさは際立っています。

おすすめの青髭の絵本③『青髭』

青髭

画像引用;ロシア・東欧のアート書籍専門店 イスクーストバ

作者:ヴェーラ・パヴロワ(挿絵)

出版社:ニグマ社

発行日:2018年

価格:¥2,800(税込)

 

童話・青髭が描かれた、ロシアの絵本です。

イラストの魔力を秘めたような神秘的な美しさは、一見の価値があります。

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【青髭のまとめ】童話・青髭の怖いだけではない奥深さを感じよう!

青髭のまとめ

童話・青髭のストーリーやその解釈、モデルとなった人物や、原作・作者といった成り立ちに触れてきました。

童話・青髭は、ペローが童話集を出して数百年が経ってもなお、数々のオペラや映画、戯曲の主題として取り上げられています。

ショッキングな場面などからは青髭の恐ろしさが際立ちますが、怖いだけではない何かが人々の心を揺さぶってきたのかもしれません。

ご紹介した絵本などを通じて、あらためて童話・青髭に触れてみると、その奥深さが感じられるかもしれません。

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