だれかに優しく触れてもらい、だれかに優しく触れる。
今回は、「手」に関連した絵本を年齢別に15作品紹介します。
手から、勇気や優しさをもらう絵本『てをつなぐ』や『てのひら』。
手形を押して、その形から動物を見つける絵本『てのひらどうぶつえん』。
手に障害を持って生まれてきた少女のお話『さっちゃんのまほうのて』。
すぐに手がでてしまう子に呼んでほしいお話『いなくなれ おばけのバッチン』。
どの作品も、手からあたたかさが伝わることを教えてくれますよ。
手の絵本おすすめ人気作品【0歳児向け】
赤ちゃんがまず認識するのは自分の手。
不思議そうに見つめている姿は、かわいらしいですよね。
まず、0歳の赤ちゃん向けの絵本を紹介します。
『おててだあれ?』
画像引用:amazon.co.jp
出版社:KADOKAWA
発行日:2019年8月
値段:1,000円+税
対象年齢:0歳から
『おててだあれ?』のあらすじ
ママやパパがおててを使ってできたのは、かにさん!
こんどはおおきなおててと、ちいさなおててで一緒にやってみましょう。
どちらのおてても、グーとして……。
できあがったのは、ごりらさん!
『おててだあれ?』のおすすめポイント
かわいらしいイラストと、親しみのある色使いで、小さなこどもにぴったりの手遊び絵本です。
手を開いたり、閉じたり、まずは大人が目の前でやって見せてから、子どもにも参加を促します。
子どもと大人の手を重ねて、動物を作り上げることで、読み聞かせだけ以上のスキンシップをはかります。
『おててがでたよ』
画像引用:amazon.co.jp
出版社:福音館書店
発行日:1986年6月
値段:800円+税
対象年齢:0歳から
『おててがでたよ』のあらすじ
赤ちゃんが、ひとりで服を着ようと頑張っています。
まず出たのは、片方の手。
次に頭、顔、もう一つの手。
あらら、足を出すのは、ちょっとむずかしそうですね。
『おててがでたよ』のおすすめポイント
赤ちゃんがダボっとした洋服を着ようとしています。
パッと顔が出てきたら、目や口を確認。
小さい子が頭、顔、手や足などの体の部分を覚えるのにぴったりの1冊です。
絵本を読みながら、子どもの口や手、足を触ってみてください。
とてもうれしくなって、何度も読んでとせがんできますよ。
手の絵本おすすめ人気作品【1、2歳児向け】
手を開いたり、握り込んだり。
歩き始めた子どもたちに、手をつなぐことの大切さを教えます。
次は、1歳から2歳の子ども向けの絵本を紹介します。
『わたしのて』
画像引用:amazon.co.jp
出版社:童話館出版
発行日:2002年9月
値段:1,300円+税
対象年齢:2歳から
『わたしのて』のあらすじ
わたしのては、絵を描きます。
ひもを結んで、ボタンをとめます。
てをならして音楽を奏で、犬を撫でてなだめる。
一番すてきなのは、わたしのては、ほかのひとのてを握れるということです。
『わたしのて』のおすすめポイント
シンプルに「手」にフォーカスをあてた、絵本です。
わたしの右手と左手を紹介する箇所がありますが、きちんと読み手に合わせて左右の手を描いているので、子どもが混乱することはありません。
手が持っている、シンプルで多くの可能性を教えてくれますよ。
『てをつなぐ』
画像引用:amazon.co.jp
出版社:金の星社
発行日:2017年8月
値段:1,300円+税
対象年齢:幼児
『てをつなぐ』のあらすじ
ぼくは、かあさんとてをつなぐ。
かあさんはいもうとと、いもうとはとうさんと、とうさんがつないでいるのは、やさしくてあたたかいて。
おすもうさんやはなやさん、ごみしゅうしゃの人たちもてをつないだら、地球をぐるっとまわったよ。
『てをつなぐ』のおすすめポイント
はじめはぼくの家族、そして花屋さんや配達やさん。
そしてその後は世界各国の人たちが、民族衣装を着て手をつなぎます。
次々と動物や魚も手を繋ぎ、「だれかいなければ手をつなげない」と、誰かと手をつなぐ喜びを感じとります。
世界の人たちの絵には国名も描かれているので、1人読みで国名を覚えたりと、大きくなっても楽しめる絵本です。
『てのひらどうぶつえん』
画像引用:amazon.co.jp
出版社:瑞雲舎
発行日:2007年4月
値段:1,200円+税
対象年齢:幼児
『てのひらどうぶつえん』のあらすじ
黄色の絵の具を手のひらに。
紙に手形を載せると、現れるのはライオンやトラ。
手を大きく開くか、小さく開くか、どんな色を使うか。
ぞうやニワトリやクジャクだって出てきますよ。
『てのひらどうぶつえん』のおすすめポイント
子どもが大好きな、手のひらに絵の具を塗って手形を取る遊び。
それを使って、素敵な動物園が出来上がります。
小さな子どもの手と大人の手。
大きさの違う手で、動物の家族を作ることもできますね。
たくさんのアイデアが詰まった、楽しい絵本です。
手の絵本おすすめ人気作品【3、4歳児向け】
指で数を数えることも、とても上手になりました。
ここからは、3歳から4歳の子ども向けの絵本を紹介します。
『てと てと てと て』
画像引用:amazon.co.jp
出版社:福音館書店
発行日:2008年4月
値段:1,500円+税
対象年齢:4歳から
『てと てと てと て』のあらすじ
毎日いろいろなことをするわたしたちの手。
顔を洗い、ごはんを食べ、服のボタンをはめる。
もっと素敵なことだってできますよ。
手を叩いて楽しいカスタネット遊びをしたり、指を使って点字を読んだり。
手の動きでお話だってできちゃいます。
『てと てと てと て』のおすすめポイント
手が持つ無限の可能性を教えてくれる絵本です。
手を使った日常の生活シーンから、鉄棒にぶら下がったり、砂場でトンネルを作るシーン。
たくさんの友達と手を叩くと、そこからリズムが生まれる楽しさを覚えます。
点字や手話についてもふれているので、小さなところから子どもに気付きを与えてくれる1冊です。
『手と手をつないで』
画像引用:amazon.co.jp
出版社:BL出版
発行日:2014年1月
値段:1,600円+税
対象年齢:4、5歳から
『手と手をつないで』のあらすじ
小さなねずみが伸ばした手を、大きなねずみがつなぎます。
ふたりがつないで歩く道は、雪の道や、夏の海岸。
四季のうつりかわりを感じながら、手をつないで寄り添って歩きます。
冷たい雨でも、凍える冬でも、一緒にいるから大丈夫。
『手と手をつないで』のおすすめポイント
小さなねずみと大きなねずみの関係性ははっきりと描かれていません。
親子でしょうか、きょうだいでしょうか、それとも年の離れた友達でしょうか。
小さなねずみに語りかけるような優しい言葉の数々。
読み終わった後には、手をつないで散歩に出かけたくなりますよ。
『てのひら』
画像引用:amazon.co.jp
出版社:PHP研究所
発行日:2010年2月
値段:1,200円+税
対象年齢:3歳から
『てのひら』のあらすじ
ゆみちゃんは、幼稚園にかよう3歳の女の子です。
幼稚園に行くとなると、幼稚園バスに乗るのにも、先生にご挨拶するのにも、ゆみちゃんはくちびるをぎゅっとしたまま……。
そんなゆみちゃんに、お母さんはてのひらににっこりマークを描いてくれました。
『てのひら』のおすすめポイント
新しい環境に入っていくのに、時間がかかる子どもはいますよね。
そんな子どもに、がんばれと言うのではなく、にっこりマークを描いてくれるお母さん。
そしてがんばり続ける子どもを見ると、お母さんは次は泣いてもいいよのマークを描くのです。
がんばりすぎると心が大変だから、と。
幼稚園だけでなく、小学校入学前の子どもにも読んであげたい絵本です。
『いなくなれ おばけのバッチン』
画像引用:amazon.co.jp
出版社:石田製本株式会社
発行日:2019年6月
値段:1,200円+税
対象年齢:幼児
『いなくなれ おばけのバッチン』のあらすじ
ぼく、またおとうとを叩いちゃった。
おとうとが悪いことをしてきたんだし、いやなことをしてきたんだし、ぼくは謝らない。
おとうとを叩きたいわけじゃないけれど、つい手が出ちゃうだけ。
そしたら、あれ?
なんか変なおばけみたいなやつがやってきた。
『いなくなれ おばけのバッチン』のおすすめポイント
「感情に名前をつけて客観視する」ということは、子どもが小さくても有効な手段だそう。
人をたたいたらおばけのバッチンが出てくるよ、どんどん大きくなるよ、ということで、自分の気持ちを相手に伝える手段を「叩く」ではなく「言葉にする」に置き換えます。
きょうだい間やおともだちの間で手をあげてしまう子に読んであげて欲しい絵本です。
手の絵本おすすめ人気作品【5、6歳児向け】
自分の手を使って、絵を描いたり、工作したり。
どんどんとできることが増えてきましたね。
続いて、5歳から6歳の子ども向けの絵本を紹介します。
『さっちゃんのまほうのて』
画像引用:amazon.co.jp
出版社:偕成社
発行日:1985年1月
値段:1,200円+税
対象年齢:5、6歳から
『さっちゃんのまほうのて』のあらすじ
さっちゃんの右手には指がありません。
ある日、幼稚園でのおままごとの時間に、お母さん役をしたいと言ったさっちゃん。
すると、友達の口から出たのは、「さっちゃんはおかあさんには、なれないよ。だって、てのないおかあさんなんて、へんだもん」。
お母さんになれない、という言葉が本当だったらどうしようと、さっちゃんは泣きながらお母さんに聞きます。
「小学生になったら、普通の手になるの?」
『さっちゃんのまほうのて』のおすすめポイント
指がかけた状態で生まれてきたさっちゃんは、先天性四肢欠損という障害を持っています。
さっちゃんの右手は、お母さんのお腹の中でケガをしてしまって、指だけできなかったのです。
障害と向き合うこと、それぞれが魔法の手を持っていること、言葉が凶器にも癒しにもなること。
たくさんのことを教えてくれる絵本です。
『ハルばあちゃんの手』
画像引用:amazon.co.jp
出版社:福音館書店
発行日:2005年6月
値段:1,500円+税
対象年齢:5、6歳から
『ハルばあちゃんの手』のあらすじ
海辺の小さな村で生まれ育ったハル。
ハルの左手にはほくろがあり、村の人々はそれを見て、「器用だから、幸せになる」と言いました。
何をしてもハルは評判通り、器用に手仕事をこなします。
この物語は、ハルが編んだカゴを通して1人の男の子と出会い、父や母と死に別れ、懸命に生きる姿を描きます。
『ハルばあちゃんの手』のおすすめポイント
鉛筆画で表現される、ハルのシワだらけの手や、人物の表情豊かな顔。
白黒の絵ですが、それだけにハルの長い人生の物語が、淡々と描かれているようで、深みも感じられます。
1人の人間が生まれ、さまざまな出会いと別れを繰り返して、人生の幕をおろす。
周りの人々との関係なども、子どもと語り合いながら読みたい絵本です。
『わたしの手はおだやかです』
画像引用:amazon.co.jp
出版社:エムオン・エンタテイメント
発行日:2005年8月
値段:1,400円+税
対象年齢:6、7歳から
『わたしの手はおだやかです』のあらすじ
これがわたしの手。
わたしの手は、わたしがいないと何もできません。
わたしがしたいこと、好きなこと、選ぶことと選ばないこと。
わたしの意思で手がすることを選ぶのだから、わたしの手はおだやかです。
『わたしの手はおだやかです』のおすすめポイント
鮮やかな色彩の絵に、谷川俊太郎の名訳が光ります。
シンプルで子どもにも分かりやすい言葉づかい、そして「手」以外の文字は全てひらがなで書かれています。
じっくりとかみしめるように、ゆっくりと子どもに考えさせるように読んで欲しい絵本です。
『だいじょうぶ だいじょうぶ』
画像引用:amazon.co.jp
出版社:講談社
発行日:1995年10月
値段:1,000円+税
対象年齢:6、7歳から
『だいじょうぶ だいじょうぶ』のあらすじ
ぼくがあかちゃんみたいに小さかったころ、おじいちゃんと手をつないでよく散歩に行きました。
どんどん世界が広くなって、たくさんのことを知って、ぼくはちょっと怖いものが増えました。
そんなぼくの手をにぎり、おじいちゃんが言うのは「だいじょうぶ、だいじょうぶ」というおまじないのような言葉。
『だいじょうぶ だいじょうぶ』のおすすめポイント
赤ちゃんのようだったぼくと、今よりずっと元気だったおじいちゃん。
大きくなったぼくが1人でバスに乗って向かったのは、病室のベッドで横たわり、目を開けないおじいちゃんのもと。
ぼくはおじいちゃんがしてくれたことを、病室のおじいちゃんにして返します。
成長と老い、忘れられない大切な思い出と感謝など、たくさんの感情にあふれる絵本です。
手の絵本おすすめ人気作品【小学生以上向け】
小学校では交友関係も広がり、手話や点字に触れる機会も増えますね。
自分の手が持つ可能性や力に気づく時期でもあります。
最後に、小学生以上向けの絵本を紹介します。
『彼の手は語りつぐ』
画像引用:amazon.co.jp
出版社:あすなろ書房
発行日:2001年5月
値段:1,600円+税
対象年齢:小学生以上
『彼の手は語りつぐ』のあらすじ
アメリカで、奴隷解放を掲げる北軍と、阻止したい南軍により始まった南北戦争。
黒人のピンクと白人のセイはともに15歳、北軍の軍人でした。
ある時、銃弾を受け傷つき動けずにいたセイを、ピンクは自分の母がいる実家まで介抱のために運びます。
母に危険が及ばないようにセイの傷が治れば一刻も早く家を出て北軍に合流したいピンクと、実は脱走兵で戦場には戻りたくないセイ。
2人の心の交流が始まりました。
『彼の手は語りつぐ』のおすすめポイント
セイは読み書きはできないけれど、「リンカーンと握手した」ことを自慢に思っていました。
北軍への合流は叶わず、黒人であるがゆえに処刑され、15歳の若さで命を落としたピンク。
セイが自分の子どもに語ったピンクとの物語は、子どもがまたその子どもへ、そしてまたその子どもへと150年にわたって受け継がれました。
高祖父の話を絵本にしたのは、少女期にセイと同じく読み書きに悩んだパトリシア・ポラッコ。
戦争、奴隷制度、捕虜収容所や処刑など重い言葉が並ぶ本作。
じっくりと時間をとって、向き合いたい絵本です。
『しゅわしゅわ村のどうぶつたち』
画像引用:amazon.co.jp
出版社:偕成社
発行日:2013年2月
値段:1,800円+税
対象年齢:小学生以上
『しゅわしゅわ村のどうぶつたち』のあらすじ
しゅわしゅわ村に住むどうぶつたちに会いに行きましょう。
屋台のそばにいるぶたや、トランポリンではねているうさぎ。
盆踊りの準備にはげむたぬきに、トレーニング中のくま。
どうぶつたちと一緒に、手話での表現を学びます。
『しゅわしゅわ村のどうぶつたち』のおすすめポイント
絵を見て物語を楽しみながら、自然と手話に親しめる絵本です。
動物のような名詞の手話だけでなく、「食べる」「はねる」「踊る」などの動詞も覚えられるので、文を作る楽しみも得られます。
手話の世界や、手話を使う人々に興味を持つ第一歩になる1冊です。
手の絵本は乳児から小学生まで人気!選び方は?
ここからは、手の絵本の選び方のポイントを紹介します。
手の絵本の選び方①手遊びを楽しめる絵本
手を重ねて動物を作ったり、手のひらに塗った絵の具で手形をとって遊んだり。
子どもと大人の大きさが違う手を使って、一緒に楽しむこともできますね。
自分の手から何かを作り出す面白さを知ることができますよ。
手の絵本の選び方②自分の手が誰かのためになる絵本
手助け、手当て、手を焼く、手をあげる。
子どもには、誰かを傷つけたりするような手の使い方ではなく、優しさを伝えたり温もりを与えたりするような、手の使い方をして欲しい。
そんなときには、誰かのためになる絵本を選ぶのがおすすめです。
手の絵本の選び方③手話を学べる絵本
止まれ、あっち、など普段の生活でも使っている手での表現。
手話は、ろう文化(デフ・カルチャー)でとても重要な位置を占めています。
手話を知ることは、他言語他文化を知ることでもあります。
英会話のように、手話ができると、たくさんの人たちと交流を持つこともできますよ。
【手の絵本まとめ】手を使って何をする?
手当てや手助け、手を焼いたり手をわずらわしたり、「手」を使った言葉はたくさんあります。
自分とだれかの関係をつなぐ役割をするのが、手。
やわらかく撫でたり、パチンと叩いたり、パンッとハイタッチしたり、かたく握手したり。
愛情やぬくもり、感謝や期待など、たくさんの気持ちを手で伝えていきます。
出来るなら子どもの手は、だれかに優しくすることに使って欲しい。
そんな思いでおすすめの作品を紹介しました。
ぜひ、絵本選びの参考にしてください。
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