あらすじ・解説

【死神の名付け親】グリム童話・死神の名付け親のあらすじ内容・結末から教訓、原作についても解説!おすすめ童話集も紹介

死神の名付け親アイキャッチ

子どもたちに人気の作品が多い、グリム童話。

しかし、エンディングがハッピーエンドなだけではない作品が多いのもよく知られています。

今回紹介するのは『死神の名付け親』です。

こちらは登場人物の1人がバタッと倒れて死んでしまうところで話が終わるという衝撃的な作品となっています。

死神が名付け親になるという設定や、名付け子と死神との決め事など、短編でありながらもインパクトは非常に大きいのが、この作品の特徴です。

ここから、『死神の名付け親』について、詳しく解説していきます。

ぜひ、ご覧ください。

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グリム童話・死神の名付け親の登場人物と名前

死神の名付け親

死神の名付け親の登場人物を紹介します。


日夜問わず働くが貧乏。13人目の子どもがうまれたので、困っている。最初に出会った人に子どもの名付け親になってもらおうと大通りに飛び出す。
神さま
大通りで男が最初に出会った。男に「子どもに洗礼と幸せを与えよう」と言う。
悪魔
大通りで男が2番目に出会った。男に「子どもの名付け親にすれば、子どもに多くのお金とあらゆる楽しみを与えよう」と言う。
死神
大通りで男が3番目に出会った。男の子ども(医者)の名付け親になる。子どもを将来、金持ちにし、有名にもすることを男に約束する。大きくなった子ども(医者)に薬草を与え、病人の生死を見極める方法を教える。
医者
男の13番目の子ども。病人を見ただけで治るのかどうかを瞬時に見極めることで、有名になり、金持ちの医者となる。病気の王さまのもとに呼ばれた時に、死神を出し抜こうとたくらむ。
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グリム童話・死神の名付け親のあらすじ内容

死神あらすじ

13人目の子どもが生まれた貧しい男は、名付け親を引き受けてもらえる人を探そうと外へ飛び出しました。

最初に出会った人に、この子の名付け親になってもらおう!

男が初めに出会ったのは神さまです。

しかし、男は「あんたは金持ちには多くを与え、貧乏人からは奪い取るだけだからだめだ」と言い、歩きはじめました。

次に出会ったのは悪魔です。

男は「あんたは人を騙して、道を踏み外させるやつだからだめだ」と言い、また歩き出しました。

その次に出会ったのは死神です。

「私が名付け親になろう。その子を金持ちにし、そして有名にもしてやる」

男は「金持ちにも貧乏人にも同じく死を与えるあんたは平等だ。あんたが名付け親になってくれ」と答えました。

死神はそうして子どもの名付け親になりました。

その子が大きくなった時、死神が現れ、その子を薬草がしげる森に連れていきました。

「医者になれ。お前が患者を診るときは、私がそばにいる。私が患者の枕元に立っていれば、この薬草で患者は治る。だから、必ず治る、とはっきりと言い切れ。しかし足元に立っていれば、その患者は私のものだ。もう助からない、と言え。」

やがて、その子は名医と評判になり、金持ちにもなりました

ある時、病気の王さまを診るために城へ向かった医者ですが、王さまの足元には死神が!

医者は、「死神をだませないだろうか」と思い立ち、王さまを抱きかかえてクルッと向きをかえ、死神が王さまの枕元にくるようにして、薬草を飲ませました

王さまは元気になりましたが、死神は激怒。

「私をだましたな!今回だけは許してやるが、2度目はないぞ!次はお前の身にとんでもないことが起こるぞ!」

しばらくして、今度は王さまの1人娘の姫が病気になりました。

王さまは、姫を治した者を婿とし、王さまのあとを継がせると宣言しました。

医者が姫のもとへ向かうと、死神は姫の足元に立っています。

姫の美しさと、姫との結婚、王さまの後継者ということに目が眩んだ医者は、また死神の意志に背いて……。

グリム童話・死神の名付け親の最後の結末は?

医者は、怒った死神に連れられ、地下のある場所に着きました。

そこには人の命の残りの分だけ燃えるという数多のロウソクがありました

弱々しい小さな燈のロウソクを指し、それが医者の命の燈だと死神は言います。

医者は、「大きなロウソクをその小さなロウソクの下に継いでください。そうすれば火は燃え続けるでしょう」と死神に懇願しました。

死神は大きなロウソクに手を伸ばしましたが、もとより医者の願いを聞き入れるつもりはありませんでした

医者の命の燈のロウソクをわざとコロッとひっくり返したところで、医者はバタッとその場で死んでしまいました。

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グリム童話・死神の名付け親の意味・教訓、伝えたいことは?

死神教訓

医者の父である男が、死神を子の名付け親にすると決めた理由は、死神の「公平さ」にあります。

医者も人の命を扱う以上、公平であるのが本来あるべき姿です。

医者は死神が立っている場所を見るだけで、「助かるのか助からないのか」を即座に判断し、枕元に立っていれば薬草を飲ませるだけで、たちまち治してします。

名医と称賛され、患者を診るたびに金持ちになっていくのもすべて死神のおかげでした。

それでも、患者が王さまであったり姫であったりすると、あるべき姿を忘れ、死神との約束も破ってしまいました

今までも、医者が見てきた患者の中には、なんとか助けて欲しいと祈り続けた患者の家族もいたはずなのに、自分の欲望を前にすると、命を公平に扱うことをしませんでした。

1度目は許しましたが、2度目の裏切りの際には、たとえ名付け子であっても「公平に」死を与えるのは、死神らしいですね。

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グリム童話・死神の名付け親の原作・初版は?作者、国や時代についても解説

死神解説

『Der Gevatter Tod』のタイトルで、『子供と家庭のための童話集』に収録されているのが、この『死神の名付け親』。

第1版のラストは、死神が医者を地下の洞穴に連れていき、燈が揺れる数千の命のロウソクを見せ、「見ろ!これがお前の命のロウソクだ!気をつけろ!」と叫びます

そして医者に向かって、今にも消えそうな小さな燈のロウソクを指し示す、というところで終わっています。

ところが第2版から、少し刺激的なラストが書き加えられ、医者の死をはっきりと描くように変更されました

グリム兄弟によって編纂された『子供と家庭のための童話集』ですが、版を重ねるごとに、弟のヴィルヘルム・グリムが加筆修正を行ないました。

ヴィルヘルム・グリムは性的なものや暴力的なものには配慮し修正や削除をした一方で、刑罰や復讐といった場面には寛容であったとされていますので、『死神の名付け親』のラストもそういった意味で加筆されたのかもしれませんね。

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グリム童話・死神の名付け親にまつわる都市伝説や疑問について考察

死神考察

怖そうなタイトルの『死神の名付け親』の話には、気になる点がいくつかありますね。

人気落語への翻案とされてることと合わせて、紹介します。

①グリム童話・死神の名付け親で男が神さまを拒絶したのはなぜ?

男自身、「最初に出会った人に子どもの名付け親になってもらおう」と言ったにもかかわらず、その人が神さまであったからという理由で拒否しました

この時代はペストが大流行していた暗黒時代
バタバタと人が倒れ、助けて欲しいと神さまに祈る声もそこここで聞こえていたことでしょう。
それでも人々は助からず、神さまは祈りの声を聞くことなく、死神が命を奪っていった時代です。

ペストの大流行を止めることなく、ただ見ているだけの神さまに対する恨み節なのか当て付けなのか、男は神さまの介入を拒否しました。

そのわりには神さまへの断り文句が「あんたは金持ちには多くを与え、貧乏人からは奪い取るだけだからな」というのは腑に落ちませんね。

男が最初に決めた「最初に会った人が名付け親」ということを守り通していれば、息子は一体どのような人生を歩んだのでしょうか

②グリム童話・死神の名付け親で医者が死んだ理由は?

医者の父である男が、名付けの際に一番執着したのが、名付け親となる人物が公平であるかどうかです

「最初にあった人が名付け親」と決めた自分の意志にそむいてまで、不公平な神さまではなく公平な死神を選びました。

医者となった息子は、最初の方こそ死神が見えた通りに、患者に助かるのか助からないのかを告げていました。。

しかし、まずは好奇心に、そして次には欲に負けて医者は、してはならないことをしてしまいました。

もし王さまでなかったら、もし美しい姫でなかったら、今まで通り患者に死の宣告をしたでしょう。

医者は死神を裏切ったばかりでなく、父の意思にも反していたのです。

公平に患者に対しなかったばかりに、医者は自らの命を落とすこととなりました。

②グリム童話・死神の名付け親が落語になった?

『死神』とは古典落語の演目の1つ

これは、初代三遊亭圓朝が第2版の『死神の名付け親』を翻案したものとされています。

落語ですから舞台は日本、何事もうまくいかない男が自殺しようとしていたところ、死神が現れ、男に医者になることをすすめます。

『死神の名付け親』とは逆で、死神が枕元にいれば死んでしまい、足元にいれば呪文を唱えることで治ると言いました。

男が死神の意志にそむいたのは、たった1回、けれども命のロウソクが消えることで男は死んでしまいます。

多くの落語家が、この演目のサゲ(結末)をアレンジしながら、笑いを提供してくれています。

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グリム童話・死神の名付け親のおすすめ本を紹介

死神おすすめ

ここでは『死神の名付け親』が収録されている童話集を紹介します。

『完訳 グリム童話集 2』

グリム童話集二

画像引用:amazon.co.jp
作:ヤーコプ・ルードヴィヒ・グリム、ヴィルヘルム・カール・グリム
訳:金田鬼一
出版社:岩波書店
発行日:1979年8月
値段:文庫/販売元による(絶版)、Kindle版/960円+税
対象年齢:一般

『完訳 グリム童話集 2』のおすすめポイント

日本におけるドイツ文学の第一人者であり、翻訳家でもある金田鬼一による『完訳 グリム童話集 2』に『死神の名付け親』が収録されています。
日本にグリム童話を紹介した人物でもある金田鬼一による本作は、訳者による恣意的な削除も加筆もされておらず、オリジナルに忠実です。
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グリム童話・死神の名付け親のまとめ

死神まとめ

もともとはグリム兄弟による『子供と家庭のための童話集』の中の1編であった『死神の名付け親』。

グリム童話といえば、子どもたちに人気の作品も多く、絵本化されているものも多数ですが、『死神の名付け親』は今まで一度も絵本にはなっていません。

一方で、落語『死神』の翻案となり、数多くの落語家たちに演じられ、人気の古典落語として今でもたくさんの大人たちから親しまれていますね。

2021年6月には、大人気アーティストの米津玄師が落語『死神』をモチーフにした曲を発表しています。

世界各地で長く愛されているグリム童話ですが、支持される年齢層がこれほどはっきりと分かれる作品も珍しいことです。

ぜひ、『死神の名付け親』を読んで、落語の『死神』も音楽の『死神』も楽しんでみてくださいね。

この記事を書いた人
谷たまき

海外で5歳と3歳の子どもを育児中。日本をバックグラウンドに持つ子どもたちが、日本文化や日本語に親しみを持ってくれるように、毎晩絵本を読み聞かせています。

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