【白雪姫】グリム童話・白雪姫のあらすじ内容・結末から教訓、原作についても解説！おすすめ絵本も紹介

ディズニーアニメでも大人気の物語『白雪姫』。

愛らしい白雪姫、個性的な7人のこびと、恐ろしいお后、どのキャラクターも魅力的ですよね。

原作のグリム童話には、あまり知られていない怖い内容がたくさんあることをご存じでしょうか。

こちらではあらすじと共に、初版で女王が迎える残酷な結末やストーリーの考察など、白雪姫の世界を深掘りしてご紹介します。

これまでの『白雪姫』の世界観がガラリと変わるかもしれません。

新たな魅力を発見してくださいね。

【白雪姫の登場人物】グリム童話・白雪姫の登場人物と名前

まずは『白雪姫』の物語に出てくる登場人物について、ご紹介します！

【白雪姫のストーリー】グリム童話・白雪姫のあらすじ内容

よく知られている一般的な白雪姫のあらすじをご紹介します。

白雪姫のあらすじ内容

むかしむかし、王さまと美しいお后さまがいました。

やがて授かった美しい王女は「白雪姫」と名付けられました。

しかし、それからまもなくお后さまは亡くなります。

その後、王さまが迎えた新しいお后さまは、美しいことだけが自慢でした。

お后は不思議な魔法の鏡にたずねます。

「鏡よ鏡、この国で一番美しいのはだあれ？」

「それはお后さま。あなたが一番美しい」と鏡は答えるのでした。

ところが、白雪姫が7歳になったある日、鏡はこう答えました。

「お后さま、あなたはとても美しい。でも白雪姫はあなたよりもっと美しい。」

怒り狂ったお后さまは、白雪姫を森で殺すように狩人に命じます。

しかし、狩人は愛らしい白雪姫をどうしても殺すことができず、逃がしてやります。

狩人はイノシシの子の内臓を白雪姫のものだと偽って渡し、お后はそれを信じました。

一方、森をさまよっていた白雪姫は、森の小屋にたどり着き、ダイヤモンドやルビーを掘って暮らしていた7人のこびとと出会います。

白雪姫を大好きになったこびとたちは、一緒に暮らし始めます。

白雪姫が死んだと思ったお后さまは鏡にいつものように問いかけましたが、鏡はまたもや答えました。

「この世で一番美しいのは、7人のこびとの家で暮らす白雪姫」

驚いたお后さまは、物売りのおばあさんに姿を変えてこびとの家を訪ね、毒リンゴを白雪姫に食べさせて殺してしまいます。

死んでいる白雪姫をみて悲しんだこびとたちは、ガラスの棺に寝かせました。

そんなある日、森に迷い込んだ王子さまが美しい白雪姫に魅せられ、棺をゆずってほしいと頼みます。

家来たちが運ぶときに棺が大きく揺れ、その拍子に白雪姫ののどにつまっていた毒リンゴがポロリと落ち、姫は目を覚ましました。

王子は白雪姫を花嫁に迎え、2人はいつまでも幸せに暮らしました。

グリム童話・白雪姫の原作の結末は？

日本で知られている「白雪姫」は、姫と王子が結婚するハッピーエンドですが、実際のグリム童話の結末は甘くはありません。

新婦が白雪姫とは知らずに、白雪姫と王子の結婚式を訪れた悪い継母は真っ赤に焼かれた「鉄の靴」をはかされ、死ぬまで踊らされます。

この復讐方法は、魔女の拷問の方法の一つ。魔法を使って白雪姫を殺そうとしたお后は、魔女として罰を受けたのでした。

【白雪姫の教訓】グリム童話・白雪姫の教訓、伝えたいこととは？

すぐれた童話には、さまざまな教訓や、生きる上での大切なことが語られたものが数多くありますよね。

グリム童話ではとても残酷な物語として知られている『白雪姫』。

この童話にこめられた意味や教訓について考えてみます。

①うつろいゆくものに執着する愚かさ

継母のお妃が持つ自分の美しさへの過大な執着心が、この物語の大きなカギとなっています。

魔法の鏡によって、自分よりも白雪姫の方が美しいという事実を知ったお后は、姫を殺しさえすれば、自分は再び「一番美しい女性」になれると思い込みます。

しかし、果たしてそうでしょうか？

人は必ず老いるもの。もしも白雪姫がこの世からいなくなっても、また別の美しい女性がお后をしのぐ日が必ず来たに違いありません。

うつろいゆくもの、刹那的な美しさに執着する愚かさを、この物語は戒めています。

②他者を蹴落として手に入れる栄光の脆さ

お后は「美」に執着し、1番の座を奪った白雪姫を殺そうとします。

ここでの「美」は、現実社会での「才能」「実力」「人気」などのことばに置き換えて考えることもできます。

ほかの者を蹴落として得た栄光は脆いものです。

最後に白雪姫は息を吹き返し、王子と結ばれて幸せになりますが、お后は熱く焼いた鉄の靴を履いて踊り死ぬこととなります。

③困難にあっても学ぼうとしない無知のおそろしさ

恐ろしい継母から恨まれ、命を狙われ続けた白雪姫。

しかし、狩人の人情に助けられ、やさしいこびとたちにも救われます。

白雪姫の愛らしさを前にすると、相手は思わず手をさしのべずにはいられないのです。

やはり美人は得ですよね……と言ってばかりもいられません。

いつも誰かに助けてもらってきた純真無垢な白雪姫は、その後も、毒リンゴを入れてなんと3回も継母に殺されかけます。

お后の恐ろしさを理解していながら、目の前の美しいひもや櫛、リンゴについ手を出してしまうなんて、浅はかとしか言いようがありません。

こびとたちもまた、白雪姫を一人残したまま全員そろって出かけてしまうミスを３度もおかしています。

経験から学ぼうとせず、行動を改善しなかった代償はあまりに大きいものでした。

④幸せになるためには、困難や失敗が必要

前述とは反する内容と逆説的になりますが、白雪姫が最後に幸せになれたのは、数々の困難と失敗を乗り越えたからこそともいえます。

いくつもの試練を経験した末にこそ真の幸せはやってくるというメッセージが、この童話にはこめられているのです。

【白雪姫の原作】グリム童話・白雪姫の原作・初版は？作者、国や時代についても解説

白雪姫の物語は、もともとはドイツのヘッセン州バート・ヴィルドゥンゲンの民話といわれています。

ドイツの郷土史家エックハルト・ザンダーは、白雪姫のモデルは1554年に亡くなったマルガレータ・フォン・ヴァルデックとしています。

継母のカタリーナからその美貌を嫉妬されたマルガレータは、城から追い出され、ベルギー・ブリュッセルで亡くなります。

彼女の人生と、バート・ヴィルドゥンゲンの廃坑となった銅鉱山、その近くの廃村にこびとたちが住み着いたという伝説が結びついて、白雪姫の原型ができました。

その民話をマリー・ハッセンプフルークという女性がグリム兄弟に話して聞かせ、「グリム童話」の白雪姫が誕生します。

初版が1812年に発行され、現在知られている「白雪姫」は1857年発行のグリム童話第7版。グリム兄弟がやっと仕上げた最終版にあたります。

もともとの民話や初版が残酷すぎたため、何度も書き直されることになりました。

【白雪姫の都市伝説】グリム童話・白雪姫は本当は怖い物語？！

グリム童話には残酷なものや、恐ろしい内容のものがあることはよく知られていますよね。

『白雪姫』の初版は残虐すぎたために、グリム兄弟によって書きかえられたことをご存じでしょうか？

そんなエピソードや、物語にまつわるあまり世に知られていない事実についてご紹介していきます。

ちょっとした驚きの豆知識になりますよ。

都市伝説①白雪姫は実は怖い物語？！

グリム童話・白雪姫が実は怖くて残酷な物語だということは、とても有名です。

語り部のマリー・ハッセンプフルークがグリム兄弟に話した民話では、白雪姫は森に置き去りにされ、お后が森の獣に姫を食べさせようとしたことになっています。

このストーリーはグリム兄弟によって変化。

グリム童話・初版では、お后が白雪姫を森で殺すように狩人に命じ、肺と肝臓を持ち帰らせて塩ゆでにして食べようとします。

これらの民話・初版に出てくるお后は、なんと「継母」ではなく「実母」です。

初版では、真っ赤に焼けた鉄の靴を履かされ、踊りながら息絶えたのは実の母だったのです。恐ろしいですね。

王が娘に奪われたと示唆する記述もあり、それではあまりにも残酷で教育上よくないということで、第2版から「継母」のお后に変更されました。

都市伝説②白雪姫は狩人に森で殺されかけた時、7歳だった？！

魔法の鏡が、「世界で一番美しいのは白雪姫」と答えたのは、白雪姫が弱冠7歳の時でした。

はっきりはわかりませんが、お后によって森で狩人で殺されそうになったのも7歳の時だったのかもしれません。

都市伝説③白雪姫は毒リンゴの前にも殺されかけていた！

お后の命令で襲ってきた狩人に殺されそうになったものの、人情に厚い狩人に助けられた白雪姫。

しかし、その後やってきたお后に毒リンゴを食べさせられ、息絶えます。

実はその前にも２度も殺されかけていることご存じですか？

お后は毒リンゴを持ってくる前にも、醜い老婆に変装して訪れ、白雪姫を殺そうとしています。

1回目は物売りに化けて美しい腰ひもを白雪姫に売りつけ、ひもを締めてあげるふりをして姫を締め上げます。

その後、帰宅した小人たちがひもを切り、白雪姫は息を吹き返しました。

2回目は毒を仕込んだ櫛を売り、白雪姫の頭に櫛を頭に突き刺します。

この時もまた、小人たちに救われ、難を逃れています。

3回目の毒リンゴで、お后はやっと白雪姫を殺すことができたのです。

都市伝説④白雪姫が王子さまのキスで息を吹き返すのはディズニーだけ？！

白雪姫が毒リンゴを吐き出して生き返る描写も、民話、初版、現在でかなり異なります。

民話では、医者が部屋のすみに縄をはるという呪術だけで、白雪姫を生き返らせます。

これが、グリムの初版本ではがらりと変化。重い棺をかつがされた召使が理不尽な労働にキレて、なんと白雪姫の背中をなぐります。

その拍子に毒リンゴのかけらが口からとび出して姫は息を吹き返すという、コメディタッチの展開です。

最終版では、召使が木に足をとられて棺が揺れたために、毒リンゴがのどから出てきます。

王子さまのキスで目覚めるという甘いハッピーエンドは、ディズニー作品だからこそ生まれたものです。

都市伝説⑤お后の最期にはいろいろなバージョンがある？！

グリム童話では、熱い鉄の靴を履かされて踊り死に、ディズニーでは雷に打たれて死んでしまう悪いお后。

実はそのほかにも、お后が迎える最期にはさまざまなバージョンがあります。

・白雪姫が生きていることを知って狂い死ぬ

・死んだはずの白雪姫が花嫁と知ってショック死

・怒りで鏡をたたき割り、その破片が心臓に刺さってしまう

どれもかなり残酷ですよね！

そのため、結婚式で倒れたお后を白雪姫と王子が介抱したという、やさしい内容に書きかえられたものもあります。

あなたのお気に入りの結末はありましたか？

都市伝説⑥白雪姫の物語はドイツ以外にも存在する？！

白雪姫の物語の類話は、実は世界中に存在しています。

北はアイスランドから、アイルランド、フランス、イタリア、スイス、スペイン、ハンガリーなどのヨーロッパ圏。

そのほか、ロシア、インド、アメリカ、チリなど、とても幅広い範囲に各国の白雪姫が存在しています。

ドイツやゲルマン語圏よりも、ゲール語圏（ケルト系）、ラテン語圏（ラテン系）に多く残っているのが一番の特徴です。

【白雪姫の絵本】グリム童話・白雪姫を読むのにおすすめの絵本は？

名作童話『白雪姫』には、とても素晴らしい絵本がたくさんあります。

ぜひ読んで頂きたい大人も子供も楽しめるおすすめ絵本を3冊ご紹介します。

白雪姫のメルヘンの世界をたっぷり楽しんでくださいね。

『白雪姫　グリム童話』

出典：Amazon.co.jp

『白雪姫　グリム童話』のおすすめポイント

『赤ずきん』『ラプンツェル』など数々のグリム童話作品を手がけるバーナデット・ワッツが、美しい絵をつけました。

色彩豊かな温かみあふれるパステル画が、ドイツの深い森深く、メルヘンの世界へと誘います。

『しらゆきひめ』

出典：Amazon.co.jp

『しらゆきひめ』のおすすめポイント

子どもを誰よりも愛らしく描く画家・いわさきちひろが白雪姫の世界を描いたロングセラー絵本です。

『おやゆびひめ』『あおいとり』などの名作絵本を共に手がけた立原えりかがコンビを組みました。

原作に忠実な内容で、ドイツ童話の持つ影も見事に映し出しています。

『白雪姫』

出典：Amazon.co.jp

『白雪姫』のおすすめポイント

美しく楽しいしかけ絵本です。ページを開くと何層にもなった奥行きある絵が出てきます。

きめ細やかな細工と美しい絵が素晴らしく、ずっと眺めていたくなる秀作です。

両側にある劇場の幕のようなスペースに文章が書かれており、舞台を観劇しているかのような構成になっています。

【白雪姫のまとめ】魅力あふれるおとぎ話を楽しもう！

グリム童話での『白雪姫』の世界はいかがでしたか？

残酷な面もふくめて、魅力の数々が伝わったでしょうか。

民話からはじまり、グリム兄弟が7版まで練り上げた珠玉の童話『白雪姫』。

その後もさまざまなストーリーが派生した、奥深い世界を持つ物語です。

この記事でご紹介したトリビア的な裏話をスパイスに、メルヘンの世界を深く楽しんでくださいね。