「リブロ絵本大賞」をご存じですか?
全国展開している書店チェーン・リブロが行っている良書発掘企画で、各店の児童書担当者が広く紹介したい作品を選ぶ絵本賞です。
毎年8月から翌年7月までに刊行された絵本の中から、「リブロ」「よむよむ」「パルコブックセンター」「オリオン書房」などの担当者推薦をもとに10作を選定。
その後、社内投票によって大賞が選ばれ、秋に発表されます。
こちらの記事では、これまでのリブロ絵本大賞での受賞作をご紹介します。
どれも、プロ店員さんたちの確かな目によって選ばれた名作ばかりです。
リブロ絵本大賞フェアなどで入賞作品が大きく紹介された後、大事に読み継がれている作品がたくさんありますよ。
バラエティに富んだ名作絵本を、ぜひ手に取って楽しんでくださいね。
第11回/2020年 リブロ絵本大賞受賞作品
第11回リブロ絵本大賞を受賞したのは、一大旋風を巻き起こした大ヒット絵本『パンどろぼう』です。
作者の柴田ケイコは、『おいしそうなしろくま』(第8回)に続く2度目の受賞となりました。
ほかの入賞作も個性あふれる秀作ぞろいですので、ぜひ読んでみてくださいね。
大賞『パンどろぼう』
出典:Amazon.co.jp
出版社:KADOKAWA
発行日:2020/4/16
価格:1,300円+税
対象年齢:幼児から
『パンどろぼう』のあらすじ
まちのパンやさんからとびだしたひとつのかげ。
なんと、パンがパンをかついでにげていきます。
「おれはおいしいパンをさがしもとめるおおどろぼうさ」
パンに包まれたその正体とは?
憎めないおちゃめなパンどろぼうが今日も事件を巻き起こします!
『パンどろぼう』のおすすめポイント
リブロ絵本大賞をはじめ、数々の絵本大賞を受賞した大ヒット作品です。
作者の柴田ケイコは第8回リブロ絵本大賞に続き、2回目の受賞となりました。
とにかくパンどろぼうの表情が最高!大人も子供も大笑いすることまちがいなしです。
お茶目なパンどろぼうの魅力に、誰もがメロメロになりますよ。
おいしそうなたくさんのパンの絵も楽しんでくださいね。
入賞『ねぐせのしくみ』
出典:Amazon.co.jp
出版社:ブロンズ新社
発行日:2020/7/16
価格:980円+税
対象年齢:幼児から
『ねぐせのしくみ』のあらすじ
朝起きてかがみをみてボーゼン。どこをどうしたらこうなるの?
そう思ってしまうほどのひどいねぐせ。
これはもしかして、眠っている間にアノヒトたちがきて、おなかをまるだしにされたり、いろんなねぐせをためされたりしてるのかもしれない……。
『ねぐせのしくみ』のおすすめポイント
ヨシタケワールド全開の楽しい絵本です。
子どものねぐせはもはや芸術品。
「どうやって寝たらあんなにすごいねぐせがつくの?」
そんな思いからヨシタケサンの妄想が暴走し、最高に面白い絵本が生まれました。
絵を眺めては何度もクスッ、フフッと笑ってしまいますよ。
入賞『ママはかいぞく』
出典:Amazon.co.jp
絵:レミ・サイヤール
訳:やまもと ともこ
出版社:光文社
発行日:2020/3/24
価格:1,500円+税
対象年齢:幼児から
『ママはかいぞく』のあらすじ
ぼくのママはかいぞくなんだ。
仲間とチームで「カニなんてへっちゃら号」という船に乗って、宝の島を目指して大きい波に立ち向かうんだよ。
でも船から帰ったママの顔は真っ青で、何も食べられない夜もあるんだ。
頭に巻いたきれいなバンダナが似合っているママ。
港を離れて海に出る時、ママはこわくないのかな。
『ママはかいぞく』のおすすめポイント
2018年にフランスで出版され、大きな話題となった絵本です。
傷痕や吐き気、頭に巻いたバンダナ。それらの事実から、実はママはがんと闘っていることがわかり始めます。
作者自身の実経験がもと書かれた作品で、4歳半の我が子に病のことをどう伝えるか悩んだ末、このユニークな発想を生み出したそうです。
涙なしには読めない内容を、明るく、コミカルなイラストで描き出します。
第10回/2019年 リブロ絵本大賞受賞作品
大賞の『なまえのないねこ』に加えて、10周年記念の特別賞として『たべものやさんしりとりたいかいかいさいします』が選ばれました。
そのほかベテランの加古里子作品や、常連のヨシタケシンスケ絵本などが入賞しています。
大賞『なまえのないねこ』
出典:Amazon.co.jp
絵:町田 尚子
出版社:小峰書店
発行日:2019/4/25
価格:1,500円+税
対象年齢:幼児から
『なまえのないねこ』のあらすじ
ぼくはなまえのないねこ。だれにもなまえをつけてもらってことがない。
いいな。ぼくもなまえほしいな。
そう思った野良猫はなまえをさがすことにします。
なまえのないねこがみつけた、本当にほしかったものとは?
『なまえのないねこ』のおすすめポイント
表紙には、何かをうったえかけているかのような瞳をした、顔に傷のあるキジトラ模様の猫の姿。
リアルでかわいらしいイラストに思わずひきつけられます。
自分に合う名前を探して歩く野良猫の一途さや、やさしい声を聞いて自分の本当にほしかったものに気づく姿に胸が揺さぶられます。
見返しに大集合している猫がどのページに出てきたか、子どもと一緒に探して楽しんでくださいね。
特別賞『たべものやさんしりとりたいかいかいさいします』
出典:Amazon.co.jp
出版社:白泉社
発行日:2019/3/6
価格:1,200円+税
対象年齢:3歳から
『たべものやさんしりとりたいかいかいさいします』のあらすじ
商店街で開かれることになった「しりとりたいかい」。
食べ物屋さんたちにその案内状が届きました。
おすしやさんチームにパンやさんチーム、ラーメンやさんチームなどたくさんあるお店の中から、さて優勝するのはどのお店でしょう?
『たべものやさんしりとりたいかいかいさいします』のおすすめポイント
『オニじゃないよ おにぎりだよ』で知られるシゲタサヤカの4年ぶりの新作です。
切れのあるユーモアセンスは健在。どのページもおもしろさがあふれ出しています。
続々と集まってくるたべものたちの姿は壮観です。あまりの豪華さにワクワクが止まりません。
衝撃の展開は必見。ちゃんとオチもあり、ラストには思わずほろりとさせられます。
入賞『さかさまたんけんたい』
出典:Amazon.co.jp
出版社:偕成社
発行日:2019/6/25
価格:1,400円+税
対象年齢:3歳から
『さかさまたんけんたい』のあらすじ
ようちえんから帰ってきたふみちゃん。
おへやのなかでへんなポーズをしています。
さかさまになると、いつもみているものがべつのなにかに見えてくるんです。
きょうのあそびは、さかさまたんけんたいに決まり!
『さかさまたんけんたい』のおすすめポイント
体を思い切り反らせて、頭を床につけて、上手にブリッジポーズするふみちゃんがとってもかわいい絵本です。
さかさまに見ると、カメレオンやくらげ、カッパまで大発見できるなんてすごい!
幼児の素直な感性が、柔軟に世界を見ることや、やわらかい発想の大切さを教えてくれます。
第9回/2018年 リブロ絵本大賞受賞作品
大賞『だいぶつさまのうんどうかい』の絵を担当したのは現職のお坊さんである中川学氏。
さすがお坊さん!と思わずうならされる素晴らしい絵を描いています。
大ベストセラー『もいもい』もこの年に入賞しています。
大賞『だいぶつさまのうんどうかい』
出典:Amazon.co.jp
絵:中川 学
出版社:アリス館
発行日:2017/8/25
価格:1,400円+税
対象年齢:5歳から
『だいぶつさまのうんどうかい』のあらすじ
今日は仏さまたちの運動会です。
玉入れ、まんじゅう食い競争、組体操。いろんな競技をがんばる仏さま。
1000年ぶりに立ち上がり、初めて参加した大仏さまは、大きな体のせいで失敗ばかりです。
でも仏さまがケンカをはじめたら、大仏さまが大活躍し……。
『だいぶつさまのうんどうかい』のおすすめポイント
ユニークな仏さまたちがそれぞれがんばる姿がとても楽しい絵本です。
活躍できずにしょげてしまう大仏さまの表情もなんともいえないおかしさ。
神々しい仏さまたちがなんだかかわいく見えてきます。
仏さまたちについてのコミカルな解説も楽しめます。
入賞『オレ、カエルやめるや』
出典:amazon.co.jp
絵:マイク・ボルト
訳:小林 賢太郎
出版社:マイクロマガジン社
発行日:2017/11/25
価格:1,600円+税
対象年齢:幼児から
『オレ、カエルやめるや』のあらすじ
カエルの子どもがおとうさんにいいます。
「オレ、ネコになることにするや。」
お父さんがこたえます。おまえはネコにはなれないよ、と。
「カエルやなんだよね。なんかぬれてるしさ。」
だからといってカエルはネコにはなれないんだよ、とお父さんはわが子に教えますが……。
『オレ、カエルやめるや』のおすすめポイント
生意気でかわいいカエルの子どもとお父さんとのほのぼのとした会話がおかしくて、やみつきになる絵本です。
人間の子どもも「あれになりたい!」と言うことよくありますよね。
子ども特有の変身願望がとても身近に感じられて、子どもたちがとても喜ぶ絵本です。
最後に自分を肯定するカエルの子どもの姿にみんなほっこりします。
入賞『もいもい』
出典:Amazon.co.jp
監修:開 一夫
出版社:ディスカヴァー・ドゥエンティワン
発行日:2017/7/13
価格:1,400円+税
対象年齢:0・1・2歳
『もいもい』のあらすじ
あかちゃんの視線をひきつけるキャラクター「もいもい」。
いろいろな色、大きさのもいもいが、きれいな世界を飛び回ります。
『もいもい』のおすすめポイント
科学的な研究を通して生み出された「赤ちゃんのための」絵本です。
大勢の赤ちゃんの協力のもと、もいもいという言葉や、赤ちゃんの目をくぎづけにするイラストをみつけだしました。
泣いている赤ちゃんまでがじいっとみつめずにはいられない、魔法のような絵本です。
ぜひためしに読んであげてみてくださいね。
第8回/2017年 リブロ絵本大賞受賞作品
大賞が発表される食欲の秋にぴったりな絵本『おいしそうなしろくま』が大賞に選ばれました。
ユーモラスな絵本や、心にしみいる作品など、さまざまな良作が選出されています。
大賞『おいしそうなしろくま』
出典:Amazon.co.jp
出版社:PHP研究所
発行日:2017/1/13
価格:1,400円+税
対象年齢:4・5歳から
『おいしそうなしろくま』のあらすじ
おいしいものを食べるのがだいすきなしろくまくん。
くいしんぼうのしろくまってよばれています。
ある日しろくまくんは思います。
「たべものの中にはいってみたら、どんな感じなのかな?」
想像の中で、しろくまくんはごはんの中やお味噌汁、お寿司、パンなど、色々なたべものの中に入ってみます。
『おいしそうなしろくま』のおすすめポイント
たべるのが大好きだから、たべものの中にはいってみたい!
そんな個性的な発想を持つしろくまくん。もう妄想が止まりません。
たべものの中にいるしろくまの絵はとてもシュールなのですが、どのたべものの中でもしろくまくんは本当に幸せそうなんです。
とってもおいしそうなたべものと、かわいいしろくまくんに癒される素敵な作品です。
入賞『いっさいはん』
出典:Amazon.co.jp
出版社:岩崎書店
発行日:2016/11/26
価格:1,200円+税
対象年齢:幼児から
『いっさいはん』のあらすじ
きらいなたべものがでてきたら、ぜったいに口をあけない。
はこがあったら、とりあえずはいる。
寝ると軟体動物みたいになる……などなど。
1歳半ぐらいの子どもあるあるが綴られます。
『いっさいはん』のおすすめポイント
SNSで大反響の“1歳半ぐらいの子どもの行動”が絵本になりました。
パパママにはたまらない、心わしづかみにされる一冊です。
笑いながら、我が子の小さかった頃を思い出して思わずほろりとする方もきっといらっしゃるはず。
今1歳半のお子さんがいる方も、子育てを卒業した方も、ぜひ手に取ってほしい素敵な作品です。
入賞『詩ってなあに?』
出典:Amazon.co.jp
訳:石津 ちひろ
出版社:BL出版
発行日:2017/6/12
価格:1,500円+税
対象年齢:5~7歳
『詩ってなあに?』のあらすじ
公園で「詩のはっぴょうかい」と書かれたポスターをみつけたダニエル。
「詩ってなんだろう?」
なかよしの動物たちが教えてくれる、それぞれの詩。
ダニエルは自分だけの詩をみつけられたでしょうか。
『詩ってなあに?』のおすすめポイント
少年が詩とはなにかを探求する物語。エズラ・ジャック・キーツ賞を受賞した秀作です。
動物たちが教えてくれる言葉のなんて美しいこと!
「詩っていうのは、朝露のきらめきのことなの」
「おちばのかさこそとなるおとが詩だと思うよ」
「たぶん、おひさまであたためられたすな」
珠玉の言葉を美しいイラストと一緒にじっくり味わってくださいね。
第7回/2016年 リブロ絵本大賞受賞作品
心あたたまる作品『いちばんしあわせなおくりもの』が大賞を受賞しました。
ユーモラスな大ヒット作『オニのサラリーマン』が入賞した年です。
大賞『いちばんしあわせなおくりもの』
出典:Amazon.co.jp
出版社:教育画劇
発行日:2016/4/8
価格:1,200円+税
対象年齢:3・4歳から
『いちばんしあわせなおくりもの』のあらすじ
なかよしのこりすとくまくん。
こりすはのんびりやのくまくんがだいすきです。
くまくんも、げんきなこりすがだいすきでした。
朝から晩までいつもいっしょにふたり。
だいすきなくまくんにおくりものをしたくなったこりすは、なにがほしいかくまくんに聞きますが…。
『いちばんしあわせなおくりもの』のおすすめポイント
自転車?セーター?ほしいものは何かと、いっしょうけんめいにくまくんに聞くこりす。
それに素敵なことばで答えるくまくん。
お互いに大切に思い合うあたたかな気持ちや、くまくんが教えてくれる日々の当たり前の大切さに、心癒される作品です。
本当の幸せについて、大事な人と語り合いたくなりますよ。
入賞『オニのサラリーマン』
出典:Amazon.co.jp
絵:大島 妙子
出版社:福音館書店
発行日:2015/10/10
価格:1,540円+税
対象年齢:小学校初級から
『オニのサラリーマン』のあらすじ
赤オニのオニガワラケンは、地獄カンパニーの平社員です。
今日もびしっとスーツを着て、愛妻弁当を持って、満員バスで地獄に出勤します。
エンマ大王に言われて、血の池地獄のみはりにつきますが……。
『オニのサラリーマン』のおすすめポイント
オニがサラリーマン?しかも関西弁?!
おどろきの連続で始まる物語。でもとにかくものすごくおもしろいんです。
その一方で、サラリーマンの悲哀には親近感がわいてきます。
細かく書き込まれた絵は破壊力バツグン。楽しくてじいっと見入ってしまいます。
オチにはあの文豪の作品まで出てきますよ。お楽しみに!
入賞『とんでもない』
出典:Amazon.co.jp
出版社:アリス館
発行日:2016/3/5
価格:1,500円+税
対象年齢:4歳から
『とんでもない』のあらすじ
ぼくはふつうの子。すごいところはひとつもみつからない。
よろいのようなひふを持ってるサイはかっこいいなあ。うらやましい。
そんな風に言う男の子に、サイは答えます。「とんでもない!」
ひふが重くて大変だとグチった後、ウサギみたいに身軽にはねまわってみたいとサイは言います。
でもやっぱりウサギも「とんでもない!」って言うんです。
『とんでもない』のおすすめポイント
どの動物たちもなやみ深くて、グチをこぼす様がなんともユーモラス。
読んでいて思わず吹き出してしまいますよ。
どんなにステキに見えても、本人なりの悩みがあることがよくわかります。
でもそれが実はまわりからはうらやまれるほど素晴らしいものだと知ったら、少し元気が出るかもしれませんね。
いろいろな立場の相手のことを、楽しく考えられる素敵な絵本です。
【リブロ絵本大賞歴代受賞作品まとめ】
実際に絵本を売るプロたちによって選ばれる「リブロ絵本大賞」。
受賞作には、よく知られている有名絵本もあれば、隠れた名作もあります。
さまざまな種類の絵本を選ぶための、よいきっかけになるのではないでしょうか。
逆に、自分がいいと思った絵本が、「リブロ絵本大賞」で選ばれたらそれもとても嬉しいですね。
「名作発掘」を絵本大賞とともに楽しんでみるのもいいかもしれません。
コメント