MOEという月刊誌は知っていますか?
人気の絵本や作家を巻頭特集で紹介する、白泉社が手がける絵本の月刊誌です。
そのMOEが、2008年から毎年、全国の書店絵本売り場担当者や絵本専門店員など1000人以上からのアンケートをもとにした、その年にもっとも支持を集めた新刊の絵本を発表しています。
今回は、「MOE絵本屋さん大賞」の受賞作品を最新の2020年を含め、過去5年分紹介します。
昔から読み継がれている絵本以外にも、素敵な本は毎年どんどんと出版されています。
気になる本があれば、ぜひ書店などで手に取ってみてくださいね。
第13回MOE絵本屋さん大賞2020 受賞作品
第13回MOE絵本屋さん大賞2020の受賞作品を、1位から3位まで紹介します。
1位『あつかったらぬげばいい』
画像引用:amazon.co.jp
出版社:白泉社
発行日:2020年8月
値段:1,000円+税
対象年齢:幼児から
『あつかったらぬげばいい』のあらすじ
「ふとっちゃったら……」「あつくてたべられなかったら……」「どうしてもかってほしかったら」。
たくさんの「どうしよう」と、それに対するヨシタケシンスケ流のアドバイス。
子どもからお年寄りまで、全ての人のちょっとした疑問に答えてくれます。
『あつかったらぬげばいい』のおすすめポイント
対象年齢は幼児から大人まで。
ひょうひょうとした絵柄で、クスリと笑ったり、ストンと腑に落ちたり。
子どもが楽しんでいる場面でも、大人にとってはじんわりと心に響く言葉なども散りばめられていて、年齢によって捉え方や響き方が違う絵本です。
2位『パンどろぼう』
画像引用:amazon.co.jp
出版社:KADOKAWA
発行日:2020年4月
値段:1,300円+税
対象年齢:3歳から
『パンどろぼう』のあらすじ
町のパン屋さんから、パンがパンを担いで走りでてきました。
「おれはパンどろぼう。おいしいパンをさがしもとめるおおどろぼうさ」
どろぼうにだって掟はあります。
「ふっくら焼きたてをねらう」「いただくパンはひとつだけ」「いただくときはかんしゃをこめて」
次に狙うのは、「せかいいちおいしい もりのパンや」のパンです。
『パンどろぼう』のおすすめポイント
パンが大好きなネズミが、食パンの被りものをかぶってパンどろぼうになるシュールな絵本です。
にょきっと突き出た手足や、穴からのぞく目や口で正体がバレバレですが、本人はいたって真剣です。
パン屋さんに並ぶたくさんのパンから、かくれているパンどろぼうを探す楽しいページもありますよ。
3位『の』
画像引用:amazon.co.jp
出版社:福音館書店
発行日:2019年11月
値段:2,000円+税
対象年齢:小学校低学年から
『の』のあらすじ
「わたし “の” おきにいり “の” コート “の” ポケット “の” 中 “の”……」
ことばとことばをつなぐ「の」が、どんどんと視点を変えながら物語を作り出し、不思議な世界へ連れて行ってくれます。
「の」さえあれば、どんなお話だって作れてしまいそう!
『の』のおすすめポイント
「の」でつながる物語。
女の子のコートのポケットに描かれた絵から発想がぐんぐんと膨らみ、さまざまな世界や時空を旅します。
見開きの左側に絵、右側に文章の構成になっていて、絵を楽しむことも、不思議な物語の世界を楽しむこともできるとっておきの絵本です。
きっとお気に入りのページが見つかりますよ。
第12回MOE絵本屋さん大賞2019 受賞作品
次に、第12回MOE絵本屋さん大賞2019の受賞作品を1位から3位まで紹介します。
1位『なまえのないねこ』
画像引用:amazon.co.jp
文:竹下文子
絵:町田尚子
出版社:小峰書店
発行日:2019年4月
値段:1,500円+税
対象年齢:3歳から
『なまえのないねこ』のあらすじ
ぼくはねこ、ただのねこ。
誰にもなまえをつけてもらったことがない。
町のねこたちは、みんななまえを持っているのに。
「のらねこ」「きたないねこ」「あっちいけ」なんて言われるけれど、そんなのはなまえじゃない。
『なまえのないねこ』のおすすめポイント
鼻と耳に傷があるねこの表紙が印象的です。
町のねこはみんな名前があって、それぞれの由来もあります。
なまえのないねこは、名前が欲しくて町中を歩き回りますが、本当に欲しかったのは名前ではありあせんでした。
猫好きさんにはもちろん、そうでなくても心に染み入るストーリーで、ラストには心が暖かくなりますよ。
2位『ころべばいいのに』
画像引用:amazon.co.jp
出版社:ブロンズ新社
発行日:2019年6月
値段:1,400円+税
対象年齢:4歳から
『ころべばいいのに』のあらすじ
わたしには、きらいなひとが、なんにんかいる。
みんな石につまずいてころべばいいのに、なんて思ってしまう。
イヤな気持ちになってしまった時、どうすればいい?
『ころべばいいのに』のおすすめポイント
子どもから大人まで、苦手な人やきらいな人に持ってしまうイヤな感情の処理の仕方を、教えてくれる絵本です。
イライラしたりモヤモヤしたりすることで、そのきらいな人の不幸を願ってしまうと、ますます自分にイライラする悪循環ですよね。
それでも良いんだよ、と言いながら、ちょっとした視点の変え方を示してくれる1冊です。
3位『たべものやさん しりとりたいかい かいさいします』
画像引用:amazon.co.jp
出版社:白泉社
発行日:2019年3月
値段:1,200円+税
対象年齢:3歳から
『たべものやさん しりとりたいかい かいさいします』のあらすじ
お寿司屋さんにラーメン屋さん、パン屋さんに八百屋さん。
食べ物だらけのしりとり大会が始まりました。
それぞれのお店から食べ物たちが自信満々にエントリーです。
我こそは、という食べ物たちがしりとりをつなげるために出てくるものの、「ラーメン」や「にんじん」に出てこられては、しりとりが続きませんね。
『たべものやさん しりとりたいかい かいさいします』のおすすめポイント
2009年発行の『まないたにりょうりをあげないこと』でデビューを果たして以降、次々と人気作品を送り出すシゲタサヤカの作品です。
バラエティに富んだ商品を揃える各お店の棚は、子どもが大好きな食べ物でいっぱい。
言葉を覚え始める時期の子どもにはもちろん、しりとりを楽しめるような少し大きい子どもにも楽しい絵本です。
第11回MOE絵本屋さん大賞2018 受賞作品
続いて、第11回MOE絵本屋さん大賞2018の受賞作品を1位から3位まで紹介します。
1位『おしっこちょっぴりもれたろう』
画像引用:amazon.co.jp
出版社:PHP研究所
発行日:2018年6月
値段:1,000円+税
対象年齢:3、4歳から
『おしっこちょっぴりもれたろう』のあらすじ
ぼくは、おしっこちょっぴりもれたろう。
おしっこするまえかしたあとに、いつもちょっぴりもれちゃって、お母さんに怒られるんだ。
でも、きっとどこかにぼくと同じ、もれたろうがいるにちがいないんだ。
おしっこを乾かす間、外に出てみんなに聞いてみよう。
『おしっこちょっぴりもれたろう』のおすすめポイント
パンツがちょっと濡れている、小さい男の子のあるある話が楽しい絵本になりました。
仲間のもれたろうを探しに行った男の子は、子どもたちに聞いてまわります。
彼らはもれたろうではなかったけれど、彼らの悩みもまた、子どもたちにとってはあるある話。
読んでいる子どもは共感しながら、大人はクスクスと笑いながら、一緒に楽しめる絵本です。
2位『みえるとか みえないとか』
画像引用:amazon.co.jp
出版社:アリス館
発行日:2018年7月
値段:1,400円+税
対象年齢:4歳から
『みえるとか みえないとか』のあらすじ
ぼくは宇宙飛行士。
いろんな星の調査をするのがぼくの仕事。
今まで足が長い人の星とか、体が柔らかい人の星とかに行ったけれど、今回の星は「目が3つある人の星」。
「後ろが見えないなんてかわいそう」とか「後ろが見えないのに歩けるなんて」とか言われて、ちょっと変な感じ。
ぼくは普通にしているだけなのに。
『みえるとか みえないとか』のおすすめポイント
さまざまな身体的特徴を持つ宇宙人の星に行って、少しやりにくさを感じていた宇宙飛行士のぼく。
3つの目を持つ星の人たちに「後ろが見えないなんて……」と言われましたが、その星にも生まれつき目が見えないという人がいました。
見えない人がどのように生活をしているのか、見えないということがどういうことなのかを、わかりやすく教えてくれる絵本です。
3位『ノラネコぐんだん アイスのくに』
画像引用:amazon.co.jp
出版社:白泉社
発行日:2017年11月
値段:1,200円+税
対象年齢:4歳から
『ノラネコぐんだん アイスのくに』のあらすじ
ワンワンちゃんのアイスパーラーをノラネコぐんだんが見ています。
アイスクリームが食べたいノラネコぐんだんは、アイスクリーム工場からアイスクリームが配達されているのを見て、いいことを思いつきました。
空っぽになったアイスクリーム容器に入ってしまえば、そのままアイスクリームの中に潜入できてしまうことに!
『ノラネコぐんだん アイスのくに』のおすすめポイント
毎度のことながら、彼らの悪巧みは失敗に終わり、結局は自分たちでアイスクリームを作る羽目になります。
その前に、やはりちょっと危ない目にあってしまうのもお決まりの流れですが、それでもノラネコぐんだんのドジっぷりやひょうひょうとした感じに笑いが止まりません。
みんなを巻き込んでドタバタ騒ぎをおこすこのノラネコぐんだん、なんていとおしいのでしょう!
第10回MOE絵本屋さん大賞2017 受賞作品
ここからは、第10回MOE絵本屋さん大賞2017の受賞作品を1位から3位まで紹介します。
1位『なつみはなんにでもなれる』
画像引用:amazon.co.jp
出版社:PHP研究所
発行日:2016年11月
値段:1,000円+税
対象年齢:3、4歳から
『なつみはなんにでもなれる』のあらすじ
「おかーさん!なつみはね、すごくいいことおもいついたよ!」
もう寝る時間だというのに、なつみはおかあさんに問題を出し始めました。
なんの真似をしているか当てるゲーム、ですがおかあさんはなかなか正解できません。
ポットやおにぎり、扇風機やゆですぎたブロッコリー。
なつみはなんにだってなれるんです!
『なつみはなんにでもなれる』のおすすめポイント
なつみとおかあさんの、日常風景がそのまま絵本になったようです。
ものすごく親近感がわく、という方も多いでしょうね。
小さい子どもからの突然のクイズ、しかも出題している本人しか正解しないであろうクイズ。
洗濯物をたたむ手も止まってしまって、あとちょっとなのに終わらない!
普段ありがちなこんな光景も、絵本を通して見ると、親子の素敵なコミュニケーションの時間になってますよね。
2位『いっさいはん』
画像引用:amazon.co.jp
出版社:岩崎書店
発行日:2016年11月
値段:1,200円+税
対象年齢:0歳から
『いっさいはん』のあらすじ
いっさいはんの子どもの生態をコミカルな絵で表現しています。
だっこしてほしいポーズとだっこしてほしくないポーズ。
おむつを替えようとすると暴れ出し、足でおさえこまないと歯磨きができない。
ごはんを口いっぱいにいれたら……くしゃみをします。
『いっさいはん』のおすすめポイント
今まさしく1歳半という子どもも、その時期をとうに過ぎ去った子どもも、そして子どもとともにその時期を過ごすママとパパも楽しめる、図解のような絵本です。
全ての子どもが同じように成長するわけでは、もちろんありません。
こんなことあった、これはしなかった、など肩の力を抜いて読みたい1冊です。
3位『つまんない つまんない』
画像引用:amazon.co.jp
出版社:白泉社
発行日:2017年5月
値段:1,300円+税
対象年齢:3歳から
『つまんない つまんない』のあらすじ
うーん、なんかつまんない。
今日はテレビもつまんない。
おかあさんに「ねぇ、つまんないんだけど」と言っても、「自分でなんとかしてちょうだい!」って言われちゃった。
……ていうか、つまんないって誰のせい?
つまんないってなんだろう?
『つまんない つまんない』のおすすめポイント
男の子がゴロゴロと転がりながらつまんないつまんないとボヤキの連発。
キッチンで忙しくしているお母さんに話したところで、何の解決にもなりはしません。
子どものころに「つまんない」と親に訴えたことも、親になってから子どもから「つまんない」と訴えられたことも、少なからずありますよね。
ヨシタケシンスケの絵本はそれだけでは終わりません。
どんどんと頭の中で話を広げていって、いつの間にかつまらない時間が過ぎていきます。
もし今度つまらないことがあるとすれば、同じように想像の世界を楽しんでみては?
第9回MOE絵本屋さん大賞2016 受賞作品
最後に、第9回MOE絵本屋さん大賞2016の受賞作品を1位から3位まで紹介します。
1位『もう ぬげない』
画像引用:amazon.co.jp
出版社:ブロンズ新社
発行日:2015年10月
値段:980円+税
対象年齢:3歳から
『もう ぬげない』のあらすじ
ぼくの服がひっかかって脱げなくなって、もうどれくらいたったのかしら。
もしかして、ずっとこのまま脱げないの?
でも、前はうっすら見えるし、なんとかなりそうな気もする。
うん、ぼくはこのままでいこう!
『もう ぬげない』のおすすめポイント
自分1人で服を脱ごうとしていたのに、お母さんが手伝うからこうなったんだ、という男の子。
なんでも自分でしたい盛り、けれどもこの表紙のようになってしまうのはご愛嬌ですね。
ページをめくるたびに、どんどん笑いが追加されていって、終盤あたりでは大爆笑間違いなしの楽しい作品です。
小さな子どもよりも、その頃を振り返れるくらいに大きくなった子どもや大人におすすめの絵本です。
2位『このあと どうしちゃおう』
画像引用:amazon.co.jp
出版社:ブロンズ新社
発行日:2016年4月
値段:1,400円+税
対象年齢:4歳から
『このあと どうしちゃおう』のあらすじ
しんじゃったおじいちゃんが書いていた「このあと どうしちゃおう」ノート。
中を見てみると、おじいちゃんが死んでからどうなりたいかが書いてある!
「天国ってきっとこんなところ」、「生まれ変わったらなりたいもの」、「こんなかみさまにいてほしい」……。
ぼくだったら、どうしちゃおうかな。
『このあと どうしちゃおう』のおすすめポイント
おじいちゃんが楽しさいっぱいの将来の夢ノートを残しました。
天国ではおばあちゃんにだって、有名人にだって会えるし、空を飛べるからどこへでもすぐに行けちゃいます。
男の子はおじいちゃんの真似をして、「このあと どうしちゃおう」ノートを作ろうとして思いとどまります。
生きている自分に今、必要なものとは何か。
おじいちゃんの死、という衝撃的な出来事から、自分の生き方を考えるまでの流れが素敵な絵本です。
3位『ノラネコぐんだん おすしやさん』
画像引用:amazon.co.jp
出版社:白泉社
発行日:2015年11月
値段:1,200円+税
対象年齢:1歳から
『ノラネコぐんだん おすしやさん』のあらすじ
ノラネコぐんだんがのぞいているのは、ワンワンちゃんのおすしやさん。
夜に何やら木材を運び込み、おすしやさんの店から外にゆるやかな滑り台のようなものを架けました。
回転寿司のレールにおすしが乗ると、そのままレールから滑り台へとおすしが流れてくる仕組みです。
しめしめ、と思っていたら、滑り台の途中で他のひとたちにおすしを全部取られてしまいました!
『ノラネコぐんだん おすしやさん』のおすすめポイント
大人気の「ノラネコぐんだんシリーズ」の第3弾として発表された作品です。
今回も、気になるお店をのぞいては、遠回りなやり方でお寿司を手に入れようとしますが、ドタバタの大騒ぎです。
舞台は子どもも大好きな回転寿司で、親近感があるのが魅力的です。
レーンを回っているお寿司のネタや、生け簀に入っている魚の種類を確認しながら読むのも楽しいですよ。
【MOE絵本屋さん大賞の歴代受賞作品まとめ】
2016年から2020年までのMOE絵本屋さん大賞受賞作品を1位から3位まで紹介しました。
こちらは対象年齢問わず、全国の書店員さんがおすすめするその年の新作絵本の人気ランキングなのですが、ヨシタケシンスケの人気ぶりが凄まじいですね。
なんと15作品中8作品がヨシタケシンスケの作品でした。
子どもから大人まで、幅広く楽しめ、年齢が違えば違うなりの作品の楽しみ方ができるのが、ヨシタケシンスケ作品の魅力ですね。
そして工藤ノリコの「ノラネコぐんだんシリーズ」も2作品受賞しています。
こちらは人気のシリーズもので、キャラクターグッズも数多く販売しています。
2021年のMOE絵本屋さん大賞の行方も気になるところですが、ぜひ一度月刊誌MOEも手に取ってみてください。
絵本の世界が広がりますよ。
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