童話・ナイチンゲールを知っていますか?
ナイチンゲールと聞くと、看護師の祖と呼ばれている、フローレンス・ナイチンゲールを想像する方もいるのではないでしょうか?
こちらの記事でご紹介するナイチンゲールは、看護とは全く異なり、鳥がキーポイントとなったお話です。
あまりメジャーではないお話ですが、あらすじや作者、教訓なども交えてご紹介していきますので、ぜひ参考にしてみてくださいね。
他にも、読み聞かせにおすすめの絵本などもご紹介します!
【ナイチンゲールの登場人物】童話・ナイチンゲールの登場人物と名前
ナイチンゲール(サヨナキドリ):御苑の林に住んでいる美しい鳴き声の鳥。
皇帝:中国の皇帝で、立派な御殿に住んでいる。
ナイチンゲールの声に魅了される。
童話・ナイチンゲールの主となる登場人物は2人。
小鳥と皇帝だけです。
かなり少なくも感じますが、他に多くの登場人物を出さないことで、端的に読みやすくまとめられています。
【ナイチンゲールのストーリー】童話・ナイチンゲールのあらすじ内容
むかしむかし、中国の皇帝がとても立派な御殿に住んでいました。
世界中から旅行者がやってきては、御殿と御苑の素晴らしさに感心したのでした。
中でも皆が一番賞賛したのが、御苑の林に住んでいるナイチンゲールの鳴き声。
旅行者たちは、ナイチンゲールの素晴らしさをたくさんの書物に書き記しました。
ある日、そんな書物を手にした皇帝は、ナイチンゲールの鳴き声が素晴らしいことを知ります。
ナイチンゲールの鳴き声を聞いてみたくなった皇帝は、早速家来たちに探させることにしました。
ナイチンゲールと呼ばれている鳥は、灰色の小鳥でした。
家来たちがナイチンゲールに
「その素敵な鳴き声を皇帝に聞かせてあげてほしい」
と頼むと、言葉が通じたのかその日の夜、皇帝のいる宮中に姿を現し、それはそれは美しい鳴き声で皇帝を感動させました。
皇帝は感動のあまり涙を流し、ナイチンゲールに言います。
「素晴らしい。私のそばでいつまでもその鳴き声を聞かせてはくれないだろうか。」
と。
そして、ナイチンゲールは立派な鳥かごを用意してもらい、御殿で暮らすことになったのです。
ある日、遠い国から皇帝のもとへ、宝石があしらわれた細工物のナイチンゲールが届きました。
見た目もそっくりなその鳥は、ネジを巻く限り休む間なく美しい声で鳴き続けます。
そんな贈り物のナイチンゲールをたいそう気に入った皇帝は、
「この素晴らしいナイチンゲールがいれば、他にはなにもいらない。」
と言い出しました!
その言葉を聞いたナイチンゲールは、鳥かごから抜け出し、森へと帰ってしまいました。
それから時が経つこと1年。
細工物のナイチンゲールは、急に動かなくなりました。
どうやら心棒が折れてしまったようで、もう元のように美しい鳴き声を聞くことは叶いません。
皇帝は深い悲しみに包まれました。
さらに時が経つこと5年。
皇帝は死神に取り憑かれ、もう助かる見込みはないと思われていました。
家来たちはもう先が長くないと感じ、こっそりと次の皇帝選びを始めていました。
皇帝が
「ナイチンゲールよ、もう一度あの美しい鳴き声を聞かせておくれ……」
と言うと、どこからか鈴をふるような美しい鳴き声が聞こえてきたではありませんか!
童話・ナイチンゲールの最後の結末は?
よく見るとそこには数年前にいなくなった、あのナイチンゲールの姿が……!
皇帝が病に苦しんでいると知り、お見舞いに来てくれたのです。
ナイチンゲールは皇帝が元気になることを願い、力の限り歌いました。
すると、いつしか死神の姿はなくなり、皇帝はその夜ぐっすりと眠ることができました。
翌朝、気持ちよく目覚めた皇帝は病などどこへやら。
皇帝の様子を見に来た家来たちに、
「おはよう!」
と元気に挨拶をしたのでした。
【ナイチンゲールの教訓】童話・ナイチンゲールの意味・教訓、伝えたいこととは?
ナイチンゲールとは物語中に出てくる、灰色の鳥です。
サヨナキドリとも呼ばれるその鳥は、西洋のウグイスとも呼ばれているほど美しい鳴き声で鳴くことで知られています。
漢字で”小夜啼鳥“と書くことから、同じようにタイトル表記されているものもあります。
次に、童話・ナイチンゲールの教訓について見ていきます。
まず1つ目は
“見た目の美しさだけではなく、大切なのは心の美しさ”
ということ。
細工物のナイチンゲールはネジを巻くことで美しい鳴き声を休みなく聞かせてくれましたね。
ですが、本当に皇帝が必要としたとき、そばで鳴き声を聞かせてくれたのは本物のナイチンゲールでした。
そして、皇帝に元気になってほしいと願うのもまた本物だからできることですよね。
本物のナイチンゲールの優しい心と美しい鳴き声のおかげで皇帝は助かったと言っても過言ではないでしょう。
2つ目は
“灯台もと暗し”
ナイチンゲールが住んでいたのは、御殿に隣接する御苑の林。
その存在を皇帝は旅行者たちが書いた書物を読むまで知らなかったのです。
近くにあるものほど気づかない。
まさにその通りですね。
【ナイチンゲールの原作】童話・ナイチンゲールの原作・初版は?作者、国や時代についても解説
童話・ナイチンゲールはハンス・クリスチャン・アンデルセンの創作童話の1つです。
『みにくいアヒルの子』などと共に『新童話集 第一冊』に収録されています。
初版は1843年11月にデンマークのコペンハーゲンで刊行され、アンデルセン自身が「皆から賞賛された」と言うほど評判の良い作品です。
【ナイチンゲールの都市伝説】童話・ナイチンゲールにまつわる都市伝説や疑問について考察
童話・ナイチンゲールには、まだまだ私たちが知らないことがたくさんあります。
ここからは童話・ナイチンゲールの疑問点について見ていきましょう。
①童話・ナイチンゲールは最後の恋に影響を受けて創作されている?!
生涯独身で過ごした作者アンデルセン。
何度か恋をしたがどの恋も実らず、最後に恋をした相手がジェニー・リンドでした。
ジェニー・リンドとは一体誰なのか……。
彼女は“スウェーデンのナイチンゲール”と呼ばれたオペラ歌手のようです。
作者は、人々が当時無名だったジェニー・リンドの公演よりも流行していたイタリアオペラを選んだことを擬して本作を書いています。
②童話・ナイチンゲールには派生作品があった?!
童話・ナイチンゲールの派生作品が4つありましたので、ご紹介します。
まず1つ目に、イーゴリ・ストラヴァンスキーが作曲したオペラに『夜鳴きうぐいす』というものがあります。
アンデルセンの『ナイチンゲール』をもとに、作曲者とステパン・ミトゥーソフがロシア語で台本を作成し、作られたオペラです。
他には『皇帝とウグイス』というアメリカの短編アニメーション映画や、『皇帝の鶯』というチェコスロバキアの長編映画。
そして、アメリカのオムニバス・テレビドラマである、『フェアリーテール・シアター』。
その中のエピソードの1つとしてアメリカ国内で放映されました。
③童話・ナイチンゲールはなぜこのような結末になったのか?
偽物よりも本物。
というよりは、ナイチンゲールの見た目や鳴き声だけでない、中身の美しさを作者は伝えたかったのではないでしょうか。
たとえ皇帝に必要とされなくなったとしても、皇帝が病に苦しんでいるのを見たナイチンゲールはそばに来て鳴いて見せてくれましたね。
そんな優しい心を持つナイチンゲールのおかげで、皇帝は元気になりました。
“本当に大切なものはなにか”を教えてくれるお話ですね。
【ナイチンゲールの絵本】童話・ナイチンゲールのおすすめ絵本を紹介
ここからは、童話・ナイチンゲールのおすすめ絵本を2つご紹介していきます。
おすすめポイントも合わせてご紹介していきますので、ぜひ参考にしてみてくださいね。
『ナイチンゲール』
出典: Amazon.co.jp
訳:角野栄子
絵:太田大八
出版社:小学舘
発行日:2004年8月27日
値段:販売元による
対象年齢:幼児から
『ナイチンゲール』のおすすめポイント
2005年でアンデルセン生誕200年になることを記念して、『魔女の宅急便』で有名な角野栄子が訳を手掛けた作品です。
数々の賞を受賞している太田大八が手掛ける古風なイラストにも注目して読んでみてくださいね。
『よみきかせおはなし名作3 アンデルセン童話』
出典: Amazon.co.jp
著編:千葉幹夫
出版社:成美堂出版
発行日:2005年11月15日
値段:販売元による
対象年齢:幼児から
『よみきかせおはなし名作3 アンデルセン童話』のおすすめポイント
こちらはアンデルセン童話をまとめた読み聞かせ絵本です。
『ナイチンゲール』以外にも、『裸の王様』や『人魚姫』など、有名なお話が収録されています。
初めてのアンデルセン童話に持って来いの一冊です。
【ナイチンゲールのまとめ】本当の美しさを持つ小鳥
1羽の小鳥が活躍する、童話・ナイチンゲールをご紹介しましたが、いかがでしたか?
主となる登場人物が1人と1羽しかいないお話はあまりなく、珍しいですよね。
少ない登場人物でもしっかり話をまとめ上げ、教訓まで詰め込んでくるあたりはさすがアンデルセン。
派生作品の多さからもその評判の良さ、作品の素晴らしさが分かります。
童話・ナイチンゲールは子どもへの読み聞かせにも分かりやすくおすすめなお話なので、ぜひ一度読んでみてくださいね。
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