アンデルセン童話『雪だるま』をご存知ですか?
子どもたちの手によって作られた雪だるまと鎖に繋がれた犬が繰り広げる、少し切なくなるストーリーです。
本記事では『雪だるま』のあらすじや結末、教訓やおすすめの絵本などをご紹介します。
子どもはもちろん、大人が読んでも様々な視点から感想を持つことができる、奥の深い作品。
ぜひ、親子で一緒に読んでみてくださいね。
アンデルセン童話・雪だるまの登場人物と名前

『雪だるま』の登場人物のご紹介です。
雪だるま…子どもたちの手によって作られ、ストーブに憧れている
老犬…子犬のころは家の中で飼われていたが、成犬になってからは外の犬小屋暮らし
アンデルセン童話・雪だるまのあらすじ内容

ある日、子どもたちがお屋敷のそばに雪だるまを作りました。
目は三角のかけら、手は熊手で作られています。
子どもたちは「バンザイ!」と喜び去っていきました。
自分では動くことができない雪だるまがふと空を見上げると、何かが光っています。
「あのギラギラと光っているやつはどこに行くんだ?おや?今度はまた違う方向からギラギラとしたやつが出てきたぞ」
ちょうど、お日さまが沈んで大きなお月さまが昇ってくるころ。
「あれはどうやって動くのかな?ぼくも自由に動きたいなぁ」
すると、そこに老犬がやってきて言いました。
「ワンワン!君はまだ何も知らないんだね。今君が見ているものはお月さまで、さっき消えたものはお日さまだよ。」
雪だるまは「よくわからないけれど、お日さまってやつはぼくの友だちじゃない気がするな」と言いました。
ある朝、若い男女が庭に出てきて景色を眺めています。
男が雪だるまを指差して「こいつを見られるのも冬ならではですね」と言いながら去っていきました。
「あの2人は誰なんだい?」
雪だるまが尋ねると「ワンワン!あの2人は恋人同士さ。ほかにもお屋敷の人のことなら何でも知っているよ」と老犬は答えます。
老犬は子犬のころは家の中で飼われていたけれど、飼い主に噛み付いたことで外に出されたと言うのです。
老犬は続けます。
「部屋の中は最高なんだ。ご飯はたくさんもらえるし、クッションは自分のものだしストーブだってある。ストーブは暖かくて気持ちいい!」
雪だるまはストーブがどんなものなのか、一生懸命想像しました。
すると、老犬が「君のいる場所から見えるだろ?首が長くて真鍮でできていて、炎が光っているのがストーブさ」と教えてくれました。
雪だるまはストーブを見た瞬間、何とも言えない不思議な気持ちになったのです。
「ぼくもあの部屋の中に入りたい」と雪だるまが言うと「それは無理だよ。部屋に入ったら溶けてしまうじゃないか」と老犬が言います。
しかし、雪だるまはストーブのことで頭がいっぱいで、誰の言うことも耳に入りません。
アンデルセン童話・雪だるまの最後の結末は?

雪だるまは、来る日も来る日もストーブを想っていました。
しかし、段々と温かい日が増えてきて、ある朝ついに崩れてしまいます。
そこには、ほうきの柄のようなものが。
老犬は悟ります。
「雪だるまの中にはストーブの火かき棒が入っていたから惹かれていたのか……」
季節は春になりました。
子どもたちは変わらず元気に遊んでいますが、誰も雪だるまを思い出す人はいませんでした。
アンデルセン童話・雪だるまの意味・教訓、伝えたいこととは?

“雪だるまのことを思い出す人は誰もいませんでした”の内容で終わりを迎える、少し悲しいストーリー。
『雪だるま』から読み取れる教訓は、みんな自分のことで精一杯だということです。
最初は家の中で飼われていたけれど、最終的には外に出されてしまった老犬。
子どもたちが喜んで作ったけれど、溶けてなくなるころには見向きもされなかった雪だるま。
ストーリーの中で“存在を忘れられたもの”は老犬や雪だるまでしたが、実は人間同士にも言えることなのかもしれません。
意外と相手は自分のことを大切に思ってくれない、自分の興味関心がなくなったら忘れてしまう……。
何とも悲しいことですね。
作者であるアンデルセンは、動物や物を通して人間の非情さを伝えたかったのではないでしょうか。
また、雪だるまの芯になっていた火かき棒。
雪だるまとストーブは、火と油のような関係です。
にも関わらず、雪だるまはストーブに恋焦がれていました。
このことから、相反する存在でも自分の核となる部分の共通点を見つけると、惹かれてしまうものだという教訓が読み取れます。
気持ちや感情を、科学的に証明することは不可能なのでしょうね。
アンデルセン童話・雪だるまの原作・初版は?作者、国や時代についても解説

『雪だるま』は、ハンス・クリスチャン・アンデルセンが手がけた、創作童話の中のお話です。
1861年、コペンハーゲンで刊行の『童話と物語の新集 第2巻第1冊』の中に収められています。
作者であるアンデルセンは貧しい家に生まれましたが、両親の深い愛情によって育てられ、若いころから想像力を発揮しました。
アンデルセンの童話はグリム童話のような民族説話ではなく、創作童話が多いことで有名です。
若いころからの豊かな想像力が、大いに活きた証とも言えますね。
アンデルセン童話・雪だるまにまつわる都市伝説や疑問について考察

『雪だるま』は視点を変えることで、様々な感想を持つことができる童話です。
ここでは、鎖に繋がれた老犬にスポットを当ててみましょう。
室内で飼われていた犬が外に出された真意は?!

ぬくぬくとした温かい環境で可愛がられていた犬が、飼い主の足に噛み付いたことで外の鎖に繋がれるようになった、悲しい現実。
物語上では辛い思いをしているのは犬として描かれていますが、人間に例えてみるとどうでしょうか。
実は、アンデルセンは幾度となく激しい恋をして、その度に失恋をしたという記録が残っているのです。
もしかすると、恋愛と失恋という両極端な自分自身の気持ちを、犬に投影していたのかもしれませんね。
アンデルセン童話・雪だるまのおすすめ絵本を紹介

ここでは『雪だるま』のおすすめ絵本2冊をご紹介します。
『雪だるま』

画像引用:amazon.co.jp
出版社:評論社
発行日:2005年1月
値段:1,600円+税
対象年齢:小学生頃から大人まで
『雪だるま』のおすすめポイント
“雪だるまと部屋の中にいるストーブ”
決して叶うことのない恋ですが、雪だるまがストーブを想う気持ちを繊細に表現しています。
何度も繰り返して読むことで、その時々の感情に思いを馳せることができるでしょう。
大人が読んでも大満足の1冊です。
『雪だるま』のほかにも3つのお話が収められています。
『完訳 アンデルセン童話集 5』

画像引用:amazon.co.jp
翻訳:大畑末吉
出版社:岩波書店
発行日:1984年5月16日
値段:840円+税
対象年齢:小学生頃から大人まで
『完訳 アンデルセン童話集 5』のおすすめポイント
空想的な表現の中にも、アンデルセンの波乱な生涯の一幕を感じる作品。
『雪だるま』のほかにも『子供のおしゃべり』や『真珠の飾りひも』など、計18話が収められています。
シンプルな表紙で流行に流されることなく、ずっと大切にしたくなる童話集です。
アンデルセン童話・雪だるまのまとめ

いかがでしたか。
決してハッピーエンドではありませんし、読んだあとスッキリするような内容でもありませんでしたね。
とは言え、読めば読むほど深く考えさせられる内容です。
読書をして“楽しい!悲しい!辛い!”などのいろんな感情を持つことで、豊かな心を育むことができます。
ぜひ、多くの童話を楽しんでくださいね。
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