児童書や小説を読むことはあっても、なかなか絵本を読む機会がない中学生。
今回は、中学生に読んでほしいおすすめの絵本を15作品紹介します。
人権問題や、道徳、いじめをテーマにした絵本の『しらんぷり』や『わたしのいもうと』。
大切な人のクリスマスプレゼントのために自分のものを売る『賢者のおくりもの』。
英語の授業につまずいたなら、『Zootopia』を楽しみながら自信を付けて!
文字を追いながら絵を見ることで、その作品から受けるものは倍増します。
感動も、そして悲しみも……。
中学生だからこそ楽しめる絵本、ぜひ読んでみてくださいね。
中学生に読んでほしい絵本おすすめ人気ランキング15選!
おすすめの人気絵本作品をランキング形式で紹介します。
1位『賢者のおくりもの』
画像引用:amazon.co.jp
絵:リスベート・ツヴェルガー
訳:矢川澄子(訳)
出版社:冨山書房
発行日:1983年12月
値段:1,500円+税
対象年齢:10歳ごろから
『賢者のおくりもの』のあらすじ
若い夫婦のジムとデラは、貧しいけれどお互いを思いやって暮らしていました。
ジムは祖父から伝わる金の時計が、デラは自分の美しく長い金色の髪が宝物でした。
ある年のクリスマス、どれだけ生活を切り詰めてもプレゼントを買うお金ができなかったデラは大切な髪を切り、かつら屋に売るのでした。
『賢者のおくりもの』のおすすめポイント
オー・ヘンリーの『最後のひと葉』と並ぶ有名な人気作品です。
やさしく美しい短編の物語に、国際アンデルセン賞のオーストリアの人気画家ツヴェリーがいろどりを添えています。
すれ違う2人ですが、お互いを思いやり愛を育む姿に、心が暖かくなる1冊です。
2位『100年たったら』
画像引用:amazon.co.jp
絵:あべ弘士
出版社:アリス館
発行日:2019年11月
値段:1,500円+税
対象年齢:4歳から
『100年たったら』のあらすじ
ずっと昔、広いサバンナの草原にたった1頭のライオンがいました。
そこへ降り立ったのは1羽の鳥。
怪我をして飛べなくなった鳥を、ライオンは食べず、一緒にいることを選びました。
しかしやがて、鳥は弱り、死ぬ間際にライオンに「100年たったらまた会える」と言うのですが……?
『100年たったら』のおすすめポイント
夏目漱石の『夢十夜』から着想を得た物語です。
一緒にいることを選んだ1頭と1羽。
いつしか恋をしていたふたりは、100年たつごとにあらたな命で生まれ変わり、やがて……。
何かを手にしたときに、「懐かしい」「ああ、これだ」と思うような感覚も、もしかしたらこの絵本のライオンと小鳥のような出会いなのかもしれませんよ。
3位『ヤクーバとライオン(1)勇気』
画像引用:amazon.co.jp
訳:柳田邦男
出版社:講談社
発行日:2008年3月
値段:1,500円+税
対象年齢:12歳ごろから
『ヤクーバとライオン(1)勇気』のあらすじ
少年のヤクーバはアフリカの奥地の村に住んでいます。
この日、ヤクーバは一人前の戦士として認めてもらうために、たったひとりでライオンを狩りにでかけます。
そして目の前に現れたのは、瀕死のライオン……。
ライオンは「傷ついた自分を倒しても、名誉にはならない」とヤクーバに語りかけます。
そこでヤクーバがとった行動とは?
『ヤクーバとライオン(1)勇気』のおすすめポイント
ヤクーバが住む村では、一人前の戦士であるということがとても重要視されています。
そのための儀式であるひとりでのライオン狩りですが、瀕死の相手を持ち帰ることで一人前と認められるか。
それとも傷ついた相手にとどめは刺さず、誇り高い人間として手ぶらで帰り村人に笑われるか。
自分ならどちらを選ぶのか、考えさせられる絵本です。
4位『しらんぷり』
画像引用:amazon.co.jp
出版社:ポプラ社
発行日:1997年6月
値段:1,500円+税
対象年齢:小学校高学年〜中学生
『しらんぷり』のあらすじ
ぼくのは小学6年生。
クラスメイトのゲンちゃんは、いじめられています。
ぼくはそれを知っているけれど、しらんぷりをしています。
だって、ぼくがいじめられたり、しらんぷりされたりするのはイヤだから。
『しらんぷり』のおすすめポイント
いじめをする側、される側だけではなく、その周りの子どもや大人たちにも問題を投げかける作品です。
200ページを超える大作でありながら、絵本に込められたその熱量で、どんどんと引き込まれるように読み進められます。
もし自分がいじめに気づいたら、気づいてしまったら……。
子どもだけではなく、大人もきちんと向き合いたい問題です。
5位『ぼくを探しに』
画像引用:amazon.co.jp
訳:倉橋由美子
出版社:講談社
発行日:1977年4月
値段:1,500円+税
対象年齢:一般
『ぼくを探しに』のあらすじ
なにかが足りない、それでぼくは楽しくない。
足りないかけらを、さがしにいく。
歌いながらかけらを探し、見つけたけれど、大きすぎたり小さすぎたり。
いったい足りないものとは何でしょう?
『ぼくを探しに』のおすすめポイント
少ない文字にシンプルな絵。
けれども、作者が読者に訴えかけ、質問を投げかけたいことははっきりとわかります。
完璧になるとはどういうことか、それを追い求める過程こそが重要なことではないかと、自分自身を見つめ直すきっかけになる絵本です。
6位『タイムトラベル人権号』
画像引用:大月書店
絵:木原千春
出版社:大月書店
発行日:2000年4月
値段:1,800円+税
対象年齢:小学生〜中学生
『タイムトラベル人権号』のあらすじ
ケン、リコとハムスターのジャスティーがタイムマシンに乗って、人権の歴史の旅に出ます。
フランス革命やアメリカ独立宣言、ロシア革命から始まり、世界人権宣言や日本国憲法にも焦点をあてます。
差別とたたかった人々や、人権を獲得するまでの奮闘の歴史を学びます。
『タイムトラベル人権号』のおすすめポイント
人権とは、全ての人が生まれながらにして持っている基本的な自由と生きるための権利です。
しかしその概念がなかった昔は、あまりにも簡単に他者や国家に侵されてきた歴史があります。
今でも続く、人権獲得のための戦いの歴史を教えてくれる1冊です。
7位『たいせつなこと』
画像引用:amazon.co.jp
絵:レナード・ワイズガード
訳:うちだややこ
出版社:フレーベル館
発行日:2001年9月
値段:1,200円+税
対象年齢:5歳から
『たいせつなこと』のあらすじ
それぞれがたいせつにしたいこと。
りんごにとってたいせつなことは、たっぷり丸い、ということ。
ひなぎくにとってたいせつなことは、白い、ということ。
空にとってたいせつなことは、いつもそこにある、ということ。
あなたにとってたいせつなことは?
『たいせつなこと』のおすすめポイント
ものにとって、花にとって、昆虫にとってたいせつなこと。
いつも見ているからわかりそうなものなのに、言われてみれば気づくことがたくさんあります。
アメリカで長年親しまれてきた絵本が、うちだややこの初翻訳絵本として出版されました。
日本語でもやさしく響く文章に、ゆっくりと向き合いたい1冊です。
8位『きみの行く道』
画像引用:amazon.co.jp
訳:いとうひろみ
出版社:河出書房新社
発行日:2008年3月
値段:1,700円+税
対象年齢:小学生〜一般
『きみの行く道』のあらすじ
きみには頭があって、脳みそが入っていて、靴があって、足が入っていて。
それで歩けるのだから、行き先だって自分で決めていいんです。
何があっても大丈夫、そのままどんどん進んでいけば、きみ自身も変わっていくのだから。
『きみの行く道』のおすすめポイント
現代のマザーグースを呼ばれたDr. スースが、読者の歩みが止まらないように背中を押し続けてくれています。
独特の軽やかなタッチと、優しくも力強い言葉。
何がない時にも、少し迷った時にも、折に触れて読みたくなる絵本です。
9位『ルピナスさんー小さなおばあさんのお話』
画像引用:amazon.co.jp
訳:掛川恭子
出版社:ほるぷ出版
発行日:1987年10月
値段:1,300円+税
対象年齢:5歳から
『ルピナスさんー小さなおばあさんのお話』のあらすじ
海が見える高台の小さな家に住んでいる、ルピナスさん。
今では小さなおばあさんのルピナスさんですが、子どものころにはルピナスさんのおじいさんからたくさんの遠い国の話を聞かせてもらいました。
その時ルピナスさんはいつも、「大きくなったら遠い国に行って、おばあさんになったら海のそばに住んで、世の中をもっと美しくしたい」と言っていました。
『ルピナスさんー小さなおばあさんのお話』のおすすめポイント
おばあさんのルピナスさんにだって、子どもの頃があって、夢だってありました。
遠い国々にも行ったし、海のそばにも住んでいるルピナスさんがやり残したことは世の中を美しくすること。
水彩絵に鉛筆画、という優しいタッチで描かれているこの作品は、小さなおばあさんの生き方や暮らしぶりを通して、人生の出会いの素晴らしさを教えてくれます。
10位『はじまりの日』
画像引用:amazon.co.jp
絵:ポール・ロジャース
訳:アーサー・ビナード
出版社:岩崎書店
発行日:2010年2月
値段:1,600円+税
対象年齢:小学生〜一般
『はじまりの日』のあらすじ
きみが手をのばせば、しあわせに届きますように。
流されることなく、流れをつくりますように。
毎日が、きみのはじまりの日。
今日も明日も、あたらしいきみのはじまりの日。
『はじまりの日』のおすすめポイント
ボブ・ディランの人気楽曲である「Forever young」が絵本として刊行されました。
ボブ・ディランの曲を繰り返し聴いたというポール・ロジャースは、ボブ・ディランが影響を受けたであろう人々を絵本の中に登場させています。
詩と絵本を楽しんだあとはもちろん、原曲を聴いてみてくださいね。
巻末には英語の歌詞も掲載されています。
11位『わたしのいもうと』
画像引用:amazon.co.jp
絵:味戸ケイコ
出版社:偕成社
発行日:1987年12月
値段:1,200円+税
対象年齢:小学校中学年から
『わたしのいもうと』のあらすじ
「わたしをいじめたひとたちは、もうわたしを忘れてしまったでしょうね」
「遊びたかったのに。勉強したかったのに」
この子は、わたしのいもうと。
小学校4年生時の転校先でいじめを受けていらい、こちらをむいてくれなくなった、わたしのいもうと。
『わたしのいもうと』のおすすめポイント
いじめた子達は中学生になり、高校生になり、しかし妹はひっそりと亡くなりました。
いじめはいけないこと、それを無視するのもいけないこと。
それはわかっていても、いじめられたらどうすればいいのでしょう。
この絵本から伝わるのは、姉や家族が自分たちの無力さを嘆いている姿です。
衝撃的な話ですが、「死なないで欲しい」という強烈なメッセージは伝わるはずです。
12位『終わらない夜』
画像引用:amazon.co.jp
絵:ロブ・ゴンサルヴェス
訳:金原瑞人
出版社:ほるぷ出版
発行日:2005年8月
値段:1,600円+税
対象年齢:小学生以上
『終わらない夜』のあらすじ
ねむりと目覚めの間のふわふわした浮遊感。
夢か現実かわからない、ちょうどさかい目のあの感じ。
どこからか列車がやってきて乗り込むと、不思議な旅へと連れて行ってくれます。
『終わらない夜』のおすすめポイント
カナダの画家、ロブ・ゴンサルウェスの絵にインスパイアされた詩人が、絵にぴったりの静かな詩をつけました。
ほぼ言葉がない絵本ですが、どの絵もだまし絵になっていて、読む側によって次々と絵本の解釈が変わってきます。
聞こえないはずのバイオリンの音さえも聞こえてきそうな、不思議な絵本です。
13位『たくさんのドア』
画像引用:amazon.co.jp
絵:ユ・テウン
訳:なかがわちひろ
出版社:主婦の友社
発行日:2018年2月
値段:1,300円+税
対象年齢:小学生〜一般
『たくさんのドア』のあらすじ
あなたはまだ知らない、自分がどれほど強いかを。
あなたはまだ知らない、自分がどれほど勇ましいかを。
これから先、あなたはたくさんのドアを見つけて、自分の力で開けていくのです。
そして向こうには、たくさんの新しいことが待ち受けていますよ。
『たくさんのドア』のおすすめポイント
子どもから大人まで、人生の岐路に立った時に読みたい大人気作品です。
入学や卒業、留学や就職、転職や結婚。
自分で決めたはずなのに、あと1歩が踏み出せないこともありますよね。
そんな時、背中を押してくれるメッセージがつまった勇気がでる1冊です。
14位『Zootopia』
画像引用:amazon.co.jp
絵:RH Disney
出版社:Golden/Disney
発行日:2016年1月
値段:550円+税
対象年齢:5歳から
『Zootopia』のあらすじ
まるで楽園のようなズートピアに住む動物たちは、人間のような暮らしをしています。
警官のうさぎのジュディは、夢みがちでお人好し。
ある日、夢を忘れたひねくれ屋の狐のニックに出会い、完璧なはずのズートピアの謎に迫ることになりました。
『Zootopia』のおすすめポイント
ディズニー映画で大人気の「Zootopia」が絵本作品になりました。
ストーリーを知っていれば、出てくる英単語や言い回しを覚えることは難しくありませんね。
すこし英語の授業に苦手意識を持っているなら、知っている作品を英語で読むというのは良い方法ですよ。
15位『Dr. インクの星空キネマ』
画像引用:amazon.co.jp
出版社:幻冬社
発行日:2009年1月
値段:2,500円+税
対象年齢:小学生〜一般
『Dr. インクの星空キネマ』のあらすじ
眠ると夢が始まります。
夢の話は一体だれが作っているのでしょう。
実は、世界の奥の奥のそのまた奥にいるDr. インクという脚本家が、世界中の人々が毎晩見る夢の脚本を書いているのです。
ではもし、Dr. インクが仕事をできなくなったらどうなってしまうのでしょうか。
『Dr. インクの星空キネマ』のおすすめポイント
『えんとつ町のプペル』で一躍有名絵本作家となった西野亮廣が描いた、初期の作品です。
4つのストーリーが収録されていて、それらが微妙に絡み合い、1冊の絵本として成立しています。
黒い線のみで描かれた絵は、少し難解でありながら、見るたびに新しい発見をさせてもくれます。
中学生に読んでほしい絵本の選び方は?
ここでは、中学生に読んでほしい絵本の選び方ポイントを紹介します。
中学生に読んでほしい絵本の選び方①自分自身と向き合う絵本
中学校に行きだしてから、自分自身のあり方に迷いが出たり、自信がなくなったりすることも増えますね。
本当はどうしたいのか、どうなりたいのか。
じっくりと絵本を読む時間を作って、自分自身と向き合う時間を作ることは、簡単なことですがとても重要なことでもあります。
中学生に読んでほしい絵本の選び方②他人との関わり方を学べる絵本
自分の本心を隠すことが上手になった中学生。
それは自分だけではなくて、友だちやその他の人々だって同じです。
言葉ひとつで、行動ひとつで、それまでの関係が変わってしまうことだって少なくありませんよね。
自分ならどうするのか、あの人ならどうして欲しかったのか。
それぞれの立場で考えるクセをつけるのも、人間関係には大切です。
中学生に読んでほしい絵本の選び方③将来への希望を抱く絵本
小学校時代の伸び伸びした生活とうってかわって、毎日勉強や部活動、習い事に忙しい日々。
その中で、将来のことを明るく前向きに考えることはできていますか?
今の忙しい日々も、将来の道を開くためには必要なことかもしれません。
それでも少し不安な時は、背中をそっと押してくれる絵本を読むことをおすすめします。
【中学生に読んでほしい絵本まとめ】個性も可能性もひとそれぞれ
子どもは明るく活発に、なんていっても中学生になるとそうはいきません。
じっくりタイプ、ゆっくりタイプ、せかせかタイプに、うっかりタイプ。
それぞれの個性が集まって、1つの教室が出来上がっています。
似たもの同士で集まることもあれば、違うタイプなのに気が合う友だちができることもありますよね。
もちろん、今はクラスに友だちがいなくても、1人の時間を楽しむタイプもいます。
大切なことは、本人がそれを望んでいてまわりの迷惑になっているのでなければ、それぞれがそれぞれでいい、ということです。
少し、息苦しいなと思った時、今回紹介した絵本が少し息に気をするきっかけになれば嬉しいです。
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