あらすじ・解説

【ブレーメンの音楽隊】グリム童話・ブレーメンの音楽隊のあらすじ内容・結末から教訓、原作についても解説!おすすめ絵本も紹介

ブレーメン

グリム童話の中でも名の知れたブレーメンの音楽隊。

子供向けの歌もあり、動物たちの愉快な物語のイメージがありますよね。

この記事ではそんなブレーメンの音楽隊の登場人物やあらすじ、教訓、疑問を紹介します。

意外な結末や、ブレーメンはどんなところなのかといった気になる情報もありますよ。

また、ブレーメンの音楽隊が楽しめる絵本も紹介しています。

有名な童話館から出版されているものや、英語で読めるものなど必見です!

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グリム童話・ブレーメンの音楽隊の登場人物と名前

森

ここではブレーメンの音楽隊に登場する人物を紹介します。

ロバ:老いて役に立たなくなり、飼い主から餌がもらえなくなったことをきっかけにブレーメンの音楽隊に入ろうと決意します。

イヌ:猟犬として役に立たなくなり、主人に殺されそうになります。主人から逃げてきたところでロバに出会い、一緒にブレーメンを目指します

ネコ:ネズミが捕れなくなり引退を考えていましたが、主人に溺死させられそうになります。主人の元から逃げてきて途方に暮れていたところ、ロバとイヌに出会い旅の仲間となります

ニワトリ:主人の客人に明日スープにされふるまわれるというときにロバたちに出会い、一行に入ります。

泥棒一味:家で食事中、おなかをすかせたロバの一行に襲われます

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グリム童話・ブレーメンの音楽隊のあらすじ内容

ブレーメン

昔、働き者のロバがおりました。

彼は粉ひき場へ袋を運ぶ仕事をしていたのですが、老いて力がなくなり働くのが難しくなりました。

エサがもらえなくなったロバは、家を出てブレーメンを目指すことにしました。

そこで音楽隊に入ろうと思ったのです。

しばらく歩くと、疲れた猟犬がいました。

「いったいどうしたんだい?」とロバが聞きました。

すると、イヌは答えました。

「私が年をとって猟に行けないものだから、主人が私を殺そうとしたんだ。そこで逃げてきたんだが、この先どうしたものかなあ。」

それを聞いたロバは、イヌにこう言いました。

それならわたしと一緒にブレーメンへ行って音楽隊に入ろう。」

イヌはロバに賛同し、旅のともとなりました

その後2匹はネズミが捕れなくなって厄介払いされたネコと、スープにされそうになっていたニワトリ仲間に入れました

ロバは彼らに言いました。

「それならわたしたちと一緒にブレーメンへ行こう。どこへ行ったって生きていけるさ。」

こうして4匹はブレーメンを目指して歩きました。

長い間歩いたものの、その日はブレーメンに着く前に暗くなってしまいました

みんなが森の中で眠りに着こうとしていた時、ニワトリが遠くに明かりを見つけます。

「それならそこまで行ってみよう」とロバが言いました。

明りに近づいてみると、1軒の家でした。

どうやら泥棒がごちそうを食べている最中のようです。

おなかが空いていた彼らは、泥棒をおどかしてごちそうにありつくことにしました

そこでロバの上にイヌが、イヌの上にネコが、ネコの上にニワトリが乗り、いっせいに鳴きながら窓ガラスに突っ込んだのです。

泥棒たちはびっくり仰天!

おばけがやってきたと勘違いして森の中へ逃げ出しました。

動物たちは残ったごちそうをがつがつ平らげ、それぞれ眠りにつきました。

真夜中になると、冷静になった泥棒は手下に家の様子を見に帰るよう命令します。

ところが動物たちの反撃にあい、恐ろしさのあまり怪物に襲われたと思った手下は逃げてしまいました。

その後、動物たちはそこに住み着き幸せに暮らしました

グリム童話・ブレーメンの音楽隊の最後の結末は?

リュート

ブレーメンの音楽隊の結末ですが、なんとブレーメンに着くことなく、音楽隊になることもなく終わっています。

音楽隊になることを夢見ていた彼らでしたが、新しい住処と仲間たちを手に入れたことで満足してしまったのですね。

拍子抜けしてしまうラストですが、ロバたちにしてみればハッピーエンドです。

しかし、泥棒たちからすればとばっちりもいいところですね。

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グリム童話・ブレーメンの音楽隊の意味・教訓、伝えたいこととは?

犬と猫

この物語の動物はみんな年をとり、主人から必要とされなくなりました。

そんな彼らが新たな天地を求め旅をし、目的地に到達せずに幸せになるという物語にはどんな教訓があるのでしょうか

それは2つあります。

1つ目は、弱いものでも力を合わせれば困難を乗り越えることができるというもの。

年老いて仕事ができなくなった彼らも、ごちそうにありつきたいという目標が一致したときには大きな力を発揮しました。

人との協力の大切さを教えてくれます。

2つ目は、あきらめずに自分の居場所を探せば幸せになれるというものです。

ロバたちは今まで一生懸命働いてきた分、飼い主の思惑を知った時にはとても悲しくみじめな思いをしたに違いありません。

それでもロバが言うように「どこへ行ったって生きていけるさ」と旅を続けたことで新たな安住の地を見つけました。

自分の居場所は1つではないこと、うまくいかなければほかに行ってもいいということを教えてくれます。

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グリム童話・ブレーメンの音楽隊の原作・初版は?作者、国や時代についても解説

ドイツ

『グリム童話集』とは

『グリム童話集』とは、19世紀ドイツで活躍した兄ヤーコプ弟ヴィルヘルムが編纂したメルヒェン(口伝えの物語)集です。

初版は1812年に発行され、『ブレーメンの音楽隊』は1819年に発行された2版から掲載されました。

作者のグリム兄弟はどんな人?

作者のグリム兄弟は裕福な家庭に生まれましたが、早くに父を亡くしました。

伯母の援助を受けて大学まで進学し法学を志しますが、知己を得てドイツの古い文学にも興味を持ち、のちに国文学者として大成しました。

どんな背景があったの?

当時はフランスのナポレオンがヨーロッパを席巻していました。

フランスの脅威の中、ドイツ国内でも自国の文化を大切にする機運が高まっていたのです。

グリム兄弟は古くから伝わるメルヒェンの聞きとり調査を行うことで、その中にドイツのかつての姿を見出し、残そうとしたのでした。

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グリム童話・ブレーメンの音楽隊にまつわる都市伝説や疑問について考察

ロバ

ここまであらすじや作者のグリム兄弟について書いてきましたが、ブレーメンの音楽隊についてまだ疑問に思うことはありませんか?

ここからはブレーメンの音楽隊の不思議について迫りたいと思います。

①実はブレーメンには行っていない!

ヴェーザー川

あらすじでも触れましたが、ロバの一行はブレーメンには着かずに物語は終わります。

よく考えると不思議な題名ですね。

ドイツ語の題名も『die bremer stadtmusikanten(直訳するとブレーメンのタウンミュージシャン)』なので、もしかしたらドイツの人も同じ感想を持つのかもしれませんね。

ブレーメンには到着せず、旅は終わっている!

②ブレーメンはどんなところ?

ブレーメン

では、ロバたちが目指したブレーメンとはどのような場所なのでしょうか。

ブレーメンは北ドイツに位置し、ブレーメン州の州都です。

中世にはハンザ同盟という都市同盟の中心となり、海運、交易で栄えた都市でした。

その土地柄、さまざまな人が行きかう自由な場所というイメージがあったのでしょうね。

ブレーメンの市庁舎の横には音楽隊の像が立っており、ロバの前足を触ると幸運が訪れるといわれています。

物語が生まれた当時、貿易で栄えたブレーメンは自由な憧れの土地だった!

③別バージョンが存在する!?

にわとり

メルヒェンは人々によって口伝えに語られてきました。

伝播していく中で物語が変わってしまい、同じような話でも結末が変わってしまうものもありました。

ブレーメンの音楽隊にも、別の地域では以下のようなお話が伝わっています。

4匹の動物は強盗を襲うのではなく、穏やかに彼らを訪れ、音楽を奏でることでごちそうをしてもらうのです。

とっても平和的なお話ですね。

メルヒェンにはその土地ごとにいろんなバリエーションがある!

④本当にハッピーエンドなのか?

疑問

このお話を読んだとき、「強盗して幸せになるのはどうなんだろう?」とは思いませんでしたか?

実はNHKがこの疑問に答えるように制作した番組があります。

昔話法廷』という番組です。

昔話をモチーフに視聴者に判決を委ねる法廷ドラマなのですが、ブレーメンの音楽隊も扱われているのです。

仲間をけしかけ盗人を襲ったことで、強盗致傷の罪に問われるロバ。

それぞれの陳述にもドラマがあり、原作にない深みが足されています。

ほかにもブレーメンの音楽隊をモチーフにしたさまざまな作品があるので、探してみてください。

ブレーメンの音楽隊をモチーフにしたほかの話を見ると、新しい発見がある!
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グリム童話・ブレーメンの音楽隊のおすすめ絵本を紹介

読書

ここからはブレーメンの音楽隊の魅力がつまった絵本を紹介します。

『The Bremen Band ブレーメンの音楽隊』

岩崎書店

出典:amazon.co.jp

文・絵:いもとようこ
英訳:Soshi Uchida
出版社:岩崎書店
発行日:2013年9月30日
値段:1,500円+税
対象年齢:幼児から

『The Bremen Band ブレーメンの音楽隊』のおすすめポイント

英語でブレーメンの音楽隊が読める絵本です。

簡単な単語、文法を使っているので英語学習の導入におすすめです。

巻末には日本語訳もちゃんと載っています。

音読CDがついているのもうれしいですね。

殺す→追い出すなど表現もマイルドなので、小さい子も安心して読めます。

挿絵はいもとようこで、優しく温かみがあり子どもにも親しみを持ってもらえます。

『ブレーメンのおんがくたい』

童話館出版

出典:amazon.co.jp

絵:ポール・ガルドン
訳:晴海耕平
出版社:童話館出版
発行日:1999年9月1日
値段:1,300円+税
対象年齢:6歳から

『ブレーメンのおんがくたい』のおすすめポイント

動物たちの生き生きした表情が魅力の絵本です。

ロバをはじめとした動物たちは当初は悲しい顔をしているのですが、仲間を得ると楽しそうな表情に変わっていきます。

また、泥棒たちは迫力満点のこわもてに描かれているのですが、動物たちの奇襲にびっくりする様子は滑稽で笑ってしまいます。

訳も丁寧で原作に忠実です。

本物のグリム童話に触れることができる1冊です。

『ブレーメンのおんがくたい』

BL出版

出典:amazon.co.jp

作:ゲルダ・ミューラー
訳:ふしみみさを
出版社:BL出版
発行日:2015年10月1日
値段:1,700円+税
対象年齢:6歳から

『ブレーメンのおんがくたい』のおすすめポイント

作者の出身地であるオランダのような美しい風景が印象的な絵本です。

ロバが旅する風景は風車が遠くに見え、なだらかな丘が広がっています。

森の中のシーンでは不気味さもありながら、満月が光る静かで美しい様子が描かれています。

空の様子も時の経過と登場人物の心情を巧みに表していて、みごとです。

美しい挿絵を求めるならおすすめの1冊です。

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グリム童話・ブレーメンの音楽隊のまとめ

森林

いかがでしたか。

役に立たなくなった動物たちが自らの力で居場所を見つけるというお話のなかには、たくさんの教訓がありますね。

子どもたちにはよい仲間と巡り合い、あきらめなければ道は開けるというメッセージを伝えたいものです。

また、教訓だけでなく物語の面白さを感じてもらえると読書の幅も広がりますね。

ぜひ親子でグリム童話を味わってみてください。

この記事を書いた人
藤野セイ

大学で美術史を専攻。事務職を経て、現在は1児の母。絵本の読み聞かせサークルで活動中。好きな絵本は『ラチとらいおん』。読み聞かせが大好きな2歳の娘とともに、素敵な絵本との出会いを探す日々です。

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