グリム童話・星の銀貨を知っていますか?
同じグリム童話の中でも、他の童話に比べると少しマイナーなお話かもしれませんね。
星の銀貨はグリム童話の短編の中でも、とても短く、端的にまとめられていて読みやすいお話です。
この記事では、グリム童話・星の銀貨のあらすじや登場人物、初版などをご紹介していきます!
おすすめの絵本や都市伝説などもご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてくださいね。
【星の銀貨の登場人物】グリム童話・星の銀貨の登場人物と名前
女の子:心優しい性格の女の子。
出会う人に自分のものをあげてしまう。
男の人:お腹が空いた男の人。
小さな子ども:頭が寒いと言う子ども。
また別の子ども①:上着を着ていない子ども。
また別の子ども②:ワンピースが欲しいと言う子ども。
また別の子ども③:下着を欲しがる子ども。
グリム童話・星の銀貨には、名のある登場人物はいません。
“◯◯が欲しいと言う子ども”
というように、その人物の特徴で表現されています。
作者は、登場人物を名前を用いずに抽象的に表現することで、より読者に物語の内容に目を向けさせようとしたのかもしれませんね。
【星の銀貨のストーリー】グリム童話・星の銀貨のあらすじ内容
昔、あるところに両親を亡くした女の子がいました。
女の子はとても貧しく、住む場所や眠る場所、食べるものもありません。
唯一持っているのは情け深い人がくれたほんの少しのパンと、着ている服だけ。
そんな貧しい生活を強いられていても、彼女は信心深く、とても優しい女の子でした。
行くあてもない女の子は森に向かって歩いていました。
すると、1人のお腹を空かせた男の人に出会います。
男の人は、
「何か食べるものをください。とてもお腹が空いています。」
と言うのです。
女の子は、唯一持っていたほんの少しのパンをすべて男の人にあげてしまいました。
すると男の人は女の子に、
「神のご加護がありますように。」
と言って去って行きました。
すると今度は小さな子どもがやってきて、
「とても頭が寒いの。何かかぶるものをください。」
と言います。
女の子は、自分の帽子を子どもにあげることにしました。
さらに進むとまた別の子どもに出会いました。
子どもは上着を着ておらず、寒さに震えているようです。
かわいそうに思った女の子は、自分の着ていた上着をあげました。
また先へと進むと今度はワンピースが欲しいと言う別の子どもに出会いました。
ここでも女の子は、自分の着ていた服をあげてしまいます。
女の子が来ているのはあと下着だけ。
やっとの事で森へついた頃にはもうあたりは真っ暗。
すると別の子供がやってきて、今度は下着が欲しいと言うのです。
女の子は少し迷いますが、
「あたりは日が暮れてもう暗いし、誰も見ちゃいないだろう。」
と、下着まであげてしまいました!
女の子はついに着るものがなくなり、裸になってしまいました。
もちろん食べるものもあげてしまってありません。
グリム童話・星の銀貨の最後の結末は?
女の子が裸で立っていると、突然空から星が降ってきたではありませんか……!
落ちてきた星をよく見てみると、それは星ではなくキラキラと光る銀貨だったのです。
女の子は服をすべてあげてしまい裸だったはずなのに、上等な肌着を身につけています。
そして落ちてきた銀貨を拾い集め、裕福になった女の子は、生涯幸せに暮らしました。
【星の銀貨の教訓】グリム童話・星の銀貨の意味・教訓、伝えたいこととは?
グリム童話・星の銀貨の意味について考えてみましょう。
後半に出てきた
“星が降ってきたと思ったら銀貨だった”
というシーンがそのままタイトルになっていますね。
人々に自分の大切な服をあげてしまった女の子に空から降ってきた銀貨。
作者は
「人のためにいいことをすれば、自分へと返ってくる。」
ということを伝えたかったのかもしれませんね。
のちにご紹介する教訓にもこの言葉は出てきます。
このような意図から、最後に女の子が幸せに暮らしていくきっかけとなった、キーアイテムをタイトルに使ったのではないでしょうか?
次に、グリム童話・星の銀貨の教訓について考えていきます。
自分自身が大変貧しい生活をしているにもかかわらず、困っている人たちに出会うと必ず助けてあげる心優しい女の子。
女の子は自分の持っているすべてのものを人にあげてしまい、裸になってしまいますが、そのあと空から銀貨が降ってきて裕福になりましたね。
このお話から見て取れる教訓といえばやはり
「人にいいことをすると、自分に返ってくる。」
ではないでしょうか?
日本では同義語で、“情けは人の為ならず”とも言いますね。
キリストの教えでは、“与えなさい。そうすれば与えられます。”というものがあるそうです。
作者は、女の子のように住むところも食べるものもないような貧しい生活の中でも、思いやりの心や優しさを忘れてはいけないということを伝えたかったのかもしれませんね。
【星の銀貨の原作】グリム童話・星の銀貨の原作・初版は?作者、国や時代についても解説
グリム童話・星の銀貨の初版は、1812年にドイツで刊行されたものです。
初版のタイトルは現代のものとは異なり、『かわいそうな女の子』というタイトルでした。
第2版以降はタイトルが『スターンターラー』、すなわち『星の銀貨』に変更されています。
著者はグリム兄弟とありますが、グリム童話はグリム兄弟が書いたものではなく、故郷ドイツのおとぎ話を収集して再編集したものだと言われているので厳密には異なります。
初版刊行から45年経った1857年。
第7版『スターンターラー』が最終版と言われています。
第2版、第3版……となってくと、内容も改訂されながら受け継がれていくことが多いもの。
しかし、グリム童話・星の銀貨はその内容がほとんど変更されておらず、“変わったのはタイトルだけ”ということで有名です。
【星の銀貨の都市伝説】グリム童話・星の銀貨にまつわる都市伝説や疑問について考察
ここからはグリム童話・星の銀貨の都市伝説や疑問点について見ていきましょう。
改めて考えるとこうだった……!
という点に注目してみてみてくださいね。
①グリム童話・星の銀貨は実は怖い話?!
さらっとあらすじをお伝えしてきましたが、改めて読むと怖いと感じるシーンがあったのではないでしょうか?
まずは、下着を欲しがる子ども。
そして自分の下着をあげてしまう女の子。
貧しい国や地域では当たり前のことなのかもしれませんが、どうしても下着を欲しがるということに違和感を感じてしまいます。
日本ではまずありえない光景ですね。
子どもが人のものを欲しいと言うことはあっても、これは少し極端な表現のようにも感じます。
次に、空から星だと思ったら銀貨が降ってきた。
というシーン。
いやいや、普通に危ないし怖いですよね。
“たくさんのお金が降ってきて、貧しかった女の子は裕福に暮らした”というシーンだけ見ていればハッピーエンドかもしれません。
でもそれがたくさんの銀貨となると……。
ちょっと恐ろしい表現です。
②グリム童話・星の銀貨はなぜこのような結末になったのか?
残酷な展開や結末が多いグリム童話。
しかしグリム童話・星の銀貨はハッピーエンドで終わります。
敢えて残酷な最後にしなかった理由としては、やはりとても貧しかった女の子を最後くらいは幸せにしてあげたいという、作者の意図でしょうか。
銀貨を降らせるあたりはさすがグリムですが、人のためにいいことをして女の子が幸せになれる結末は、見ていて自分も思いやりの心を大切にしようと思わせてくれますね。
③グリム童話・星の銀貨には金貨バーションがあった?!
『星の金貨』という作品があるのをご存知ですか?
とても似たタイトルの作品ですが、こちらは童話ではありません。
類似作品……というわけでもありません。
『星の金貨』は1995年に日本テレビ系列で放送されていた日本のテレビドラマなんです。
タイトルが似ているため混同されがちですが、内容は全く異なるので注意が必要です。
【星の銀貨の絵本】グリム童話・星の銀貨のおすすめ絵本を紹介
ここからは、グリム童話・星の銀貨のおすすめ絵本を2つご紹介していきます。
おすすめポイントも合わせてご紹介していきますので、ぜひ参考にしてみてくださいね。
絵本に加え、アプリで読めるものもありますよ。
『ほしのぎんか』
出典: Amazon.co.jp
絵:丸山明子
訳:西本鶏介
出版社:チャイルド本社
発行日:2003年9月
値段:761円+税
対象年齢:幼児から
『ほしのぎんか』のおすすめポイント
日本の有名な児童文学作家である西本鶏介が訳を手掛けたグリム童話・星の銀貨。
丸山明子が手掛ける柔らかいイラストも心優しい女の子のイメージにぴったりです。
初めての子どもへの読み聞かせにもおすすめの絵本ですよ。
『グリム童話 ほしのぎんか』
出典: 森のえほん館
絵:ajico
編集:森のえほん館編集部
出版社:森のえほん館
値段:アプリ定額で読み放題
対象年齢:幼児から
『グリム童話 ほしのぎんか』のおすすめポイント
絵本として発売されているものではなく、アプリで読める星の銀貨です。
アプリの利用は定額制となっていますが、0〜3歳向けの有名な童話や人気絵本など500冊以上が読み放題!
たくさんの本を買うのは大変だけど、子どもにはいろんな絵本を読んであげたい。
そんなお父さん、お母さんにおすすめです。
【星の銀貨のまとめ】優しい女の子にほっこり
あまりメジャーではないグリム童話・星の銀貨。
あらすじや教訓などをご紹介してきましたがいかがでしたか?
とても短いストーリーからは、人への優しさや思いやり、貧しい中でも温かい心を持って生きることの大切さなど、たくさんのことを学ぶことができますね。
ドイツに伝わるおとぎ話が元となった、グリム童話・星の銀貨ですが、現代の子どもにも教訓やことわざと合わせて読んであげたいお話です。
絵本だけでなく、アプリから読む方法もありますので、ぜひお手に取りやすい方法で一度読んでみてくださいね。
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