浦島太郎というと「助けたカメに連れられて……」の童謡でもおなじみの昔話ですね。
竜宮城などは、あこがれの場所として例えられることもありますが、はたして本当はどこにあり、どんな場所だったのでしょう。
浦島太郎がおじいさんになってしまうという物語の最後は何を意味するのでしょうか。
こちらでは浦島太郎のあらすじや登場人物、そしてどんな教訓が込められているのかなどをご紹介します。
浦島太郎ってひょっとして、怖い話だったの……? そんな都市伝説や裏話めいたエピソードの紹介やおすすめの絵本まで。
浦島太郎の世界を堪能してみてくださいね。
昔話・浦島太郎の登場人物
それではまず浦島太郎の登場人物をご紹介します。
亀:子供たちにいじめられていたところを浦島太郎に助けられ、お礼に竜宮城に連れて行く。
亀をいじめた子供たち:浜辺で亀をいじめていた子たち
乙姫:竜宮城に住んでいる美しい姫。別れる時に浦島太郎に玉手箱を渡す。
昔話・浦島太郎のあらすじ内容
浦島太郎の物語にはいくつかの雛型が存在しますが、ここでは広く親しまれている一般的なあらすじをご紹介します。
むかしむかし、海辺に浦島太郎という若者がおりました。
太郎は漁師をしながら年老いた両親と暮らしていました。
ある日、太郎が浜辺に行くと、村の子供たちが亀をいじめているのを見つけます。
「こら!亀をいじめるな」
太郎は子供たちから亀を助けると海にかえしてやりました。
しばらくして太郎が海に船を出していると、あの時の亀があらわれました。
「あの時は助けてくれてありがとうございました。私の主の乙姫様もお礼がしたいと言ってます。私と一緒に竜宮城に来てください」
そう言って亀は太郎を背中に乗せるとどんどん海の底へもぐっていきます。
すると海の底に立派なお城が見えてきました。
「あれが竜宮城ですよ」
龍宮城に着くと見たこともないような美しいお姫様が太郎を出迎えました。
「私は乙姫と言います。亀を助けてくれてありがとう。どうぞ私たちのもてなしを受けてください」
そういって乙姫はたくさんのごちそうを振る舞い、めずらしいタイやヒラメの踊りで太郎をもてなしてくれました。
「このままずっと龍宮城にいてください」
乙姫の言葉に太郎は頷き、やがて二人は夫婦になり、楽しく毎日を過ごします。
そして気がつけば3年の月日がたっていました。
ある日、太郎は竜宮城の中を散歩していると、四方の壁に大きな窓のある部屋を見つけます。
乙姫に聞くと、ここは4つの季節が巡るめずらしい部屋だと説明しました。
東の窓を開けると春の景色。
南の窓を開けると夏の景色。
西の窓を開けると秋の景色。
北の窓を開けると冬の景色が見えました。
太郎はそれを見ているうちに急にふるさとが恋しくなり、乙姫に言いました。
「一度ふるさとに帰って両親に会ってきたい」
乙姫はそれを聞くと、泣いて太郎を止めましたが、太郎の気持ちは変わりませんでした。
乙姫は太郎に玉手箱を渡すと言いました。
「この玉手箱を大事に持っていてください。そうすればまた龍宮城に戻れるかもしれません。でも決してこの箱を開けてはいけませんよ」
そうして太郎は海の底の龍宮城から自分のふるさとに帰りました。
昔話・浦島太郎の最後の結末は?
さて、ふるさとに戻った太郎はどうしたのでしょうか。
ふるさとに戻ってみると村の様子はすっかり変わり果て、自分の両親はおろか知ってる人は一人もいません。
一人の村の老人に太郎はここにあった浦島太郎の家を知らないかと聞きます。
老人は、それは300年前に海に出て戻らなかった人の名前だと言いました。
なんと太郎が龍宮城に行ってから300年もの月日がたっていたのです。
すっかり落ち込んでしまった太郎は開けてはいけないと言われた玉手箱を開けてしまいます。
すると箱の中から白い煙が立ちのぼり、太郎はあっというまに白髪のおじいさんになってしまったのでした。
昔話・浦島太郎から与えられる教訓とは?
浦島太郎から読み取れる教訓は多くあります。
昔話によくある「タブーを破ったために罰を受ける」という内容は、人の住む世界とは違う他界への畏怖を忘れてはいけないという強い戒めでもあります。
古来の人々はこの世とは違う世界があることを信じていたので、この世ならざる世界への畏れを常に抱いていたのでしょう。
単純に人との約束を破ってはいけないとも、もちろん受け止められますね。
また太郎は乙姫と出会ってからは年老いた両親のことも忘れ、毎日働きもせず、ただ楽しく過ごしていただけでした。
それは日々一生けん命働いている人たちから見ればとんでもない話です。
そう考えると働かずに楽をして遊んでばかりいてはいけない、だから浦島太郎は罰を受けたのだ、と読むこともできますね。
昔話・浦島太郎はどこのお話?由来や原作は?作者やモデルとなった人物はいる?
浦島太郎の物語は、御伽噺23篇のうちのひとつになり作者は未詳です。
古来は万葉集にも日本書紀にもその原型があり、どちらかというと神話的な香りの高い物語であり、現在広く知られている物語は室町時代に原型が成立したと言われています。
さらには明治時代に入り、子供が読んでも楽しめる現在の形になりました。
全国的には丹後半島を中心に、横浜市の蓮法寺、長野県木曽郡や埼玉県まで、さまざまに20ほどの伝承が残されています。
また「竜宮神社」と名のつく神社も北海道の小樽から鹿児島県まで幅広く存在します。
その不可思議な物語性ゆえに多くの文学者も惹きつけ、幸田露伴や森鴎外などが解釈を試みています。
浦島太郎の物語は、他郷滞在、禁忌(タブー)を破る、時の超経過の3つがモチーフと言えます。
中でも時の超経過部分は、まるでタイムパラドックス小説のようで、そこからさまざまな都市伝説や裏話なども語られています。
亀をいじめた子供たちの一人が実は浦島太郎だった!など。
太郎はそうやって永遠に時の輪の中を巡っているという、ちょっと怖い話ですね。
昔話・浦島太郎のおすすめ絵本を紹介
それでは浦島太郎のおすすめ絵本をご紹介します。
『うらしまたろう』
出典:honto公式サイト
絵:町田 尚子
出版社: あかね書房
発行年月:2010年5月
値段:1000円+税
対象年齢:幼児から小学生
『うらしまたろう』のおすすめポイント
こちらは釣りあげたけれど太郎が逃がした亀が、本当は乙姫だった、というバージョンのお話です。
乙姫の父の竜王も出てきて、浦島太郎がふるさとに戻る時に玉手箱を渡すのも乙姫ではなく、父の竜王の方になっています。
繊細で優美なイラストは日本の昔話というよりも、なにか西洋的な雰囲気を漂わせ、浦島太郎の不可思議な雰囲気をよく表現しています。
文章は子供も読みやすくわかりやすい浦島太郎の絵本です。
『よみきかせ日本昔話 うらしまたろう』
出典:honto公式サイト
絵:たなか 鮎子
出版社: 講談社
発売日:2012年05月24日
値段:1300円+税
対象年齢:5、6歳から
『よみきかせ日本昔話 うらしまたろう』のおすすめポイント
こちらは一般的な子供たちが亀をいじめてそれを浦島太郎が助けるタイプのお話です。
美しく素朴な絵柄が昔話の雰囲気を盛り上げており、簡潔でリズムの良い文章が読み聞かせにぴったりで親子で楽しめます。
また巻末には、おはなしもうひとつ、というおまけが付いており、浦島太郎以外の昔話を読むことができます。
昔話・浦島太郎のまとめ
いかがでしたか。
なんだか浦島太郎の不思議な世界に浸って、まるで龍宮城にいったような気分になったのではないでしょうか。
昔話は古い時代の人々の縦横無尽な想像力から作られています。
考えられないような突飛な内容も多くありますが、それがいまも語り継がれていることに感慨深いものを感じませんか。
浦島太郎の絵本を読みながら親子で昔話の魅力についてぜひ語り合ってみてくださいね。
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