『ごんぎつね』(1986)のあらすじ・口コミと評判【後世に残したい不朽の名作絵本】

絵本

やわらかく幻想的な絵と美しい日本語が紡ぐこの絵本は、日本を代表する児童文学作家、新美南吉さんの代表作です。

子供たちが親しみやすいように絵本として発売されたのは1986年ですが、初出はなんと1932年。

80年以上にわたり、日本人の心に深く刻み込まれる不朽の名作を、ご紹介いたします。

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『ごんぎつね』とはどんなお話【概要とあらすじを紹介】

小学校の国語の教科書に掲載されていて、だれもが一度は目にしている絵本。

それでも、絵本を手元におきたいと思わせる魅力を持っています。

美しい日本の風景の中に、ごんの毛の感触をつややかに表現する黒井健さんのイラストで、表紙に描かれているのはじっと何かをみつめるごん。

その表情を見ただけで、胸の奥がじんと熱くなる方もいるのではないでしょうか。

『ごんぎつね』の概要

出典:Amazon.co.jp

作:新美 南吉
絵:黒井 健
出版社:偕成社
発売日:1986/10/1
価格+税:1,540円

『ごんぎつね』のあらすじ

両親のいないこぎつね、ごんはとてもいたずら好き。

近くの村へ出かけていっては、いたずらをして村の人々をこまらせていました。

ある日、兵十(ひょうじゅう)が川で魚を捕っているのを見かけたごんは、いたずらで兵十が捕った魚やウナギを逃がします。

それからしばらくして、兵十の母親が亡くなったことを知り、自分のいたずらのせいだと思ったごん。

それから毎日、山で拾った栗やまつたけを兵十にもっていきます。

ひとりぼっちのきつねの、いじらしく、悲しいお話です。

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『ごんぎつね』の内容要約

いたずらばっかりしていたごん。

兵十と出会うことで少しずつ変わっていくごんの様子を、もう少し詳しくみてみましょう。

要約1.いたずら好きのごん

両親がいなくてひとりぼっちのごんは、毎日のように村へいき、いたずらをしては村人をこまらせていました。

ある秋の日、2~3日雨が続き外へ出られず、穴の中にしゃがんでいたごん。

やっと雨が上がり、外へでかけると兵十が川で魚を捕っているのを見つけます。

いたずら心をくすぐられたのでしょうか?

ごんは、兵十がいなくなったすきに、つかまえていた魚を逃がしてしまうのです。

最後に、ウナギを逃がそうとしたとき、ウナギがあばれてごんの首に。

戻った兵十に見つかり、あわてたごんは、ウナギを首に巻き付けたまま横っ飛びで逃げ帰ってしまいます。

要約2.兵十の母の死

それからしばらくしてごんが見たのは、兵十の母親の葬式。

いつも元気のいい兵十がしおれているようすを見て、ごんは頭を引っ込めます。

そして、病気の母親の為に捕まえた魚を自分が逃がしたせいだと悟り、「あんなこと、しなけりゃよかった」と後悔するのでした。

ゴンは盗んだ鰯をあげることで、兵十に償いをしようとするのですが…。

鰯どろぼうと間違われた兵十は、鰯屋に殴られケガをしていました。

そこで、またごんは「これはしまった」と申し訳なく思い、それからは自分でひろった栗やまつたけを兵十に届けることにします。

要約3.すれちがうふたり

毎日兵十の家に栗やまつたけをもっていくごん。

ある日、兵十の会話を耳にします。

このところ毎日、栗やまつたけを誰かがくれるのだと、不思議そうに話していました。

「それは神様のしわざだ、神様にお礼をいえよ」と言われ、それを信じる兵十。

ごんは、「割に合わないや」と思いながらも、次の日も兵十の家へ栗を届けに行くのです。

ところが、ごんが家の中に入ってきたことを知った兵十は「ウナギをとった、泥棒狐だ!」と、火縄銃を手に取ります。

ドン!

ばたりとたおれたごんと、そこにおかれた栗を見て兵十は何を思ったのでしょうか。

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『ごんぎつね』の口コミ・評判

20代 女性
20代 女性

口コミ・評判:★★★★★

悪いことをした…だから何かしたい、何かしなきゃと思ったごんの気持ち。それが、こんな形で終わりをむかえるのは、とても寂しいです。いろいろなことを考えるきっかけになりました。いつまでも読み継がれてほしい絵本。

30代 女性
30代 女性

口コミ・評判:★★★★★

ちょっとしたタイミングのズレや何かのきっかけによっては、わかりあえる関係になれる可能性が充分にあった二人。悲しいけれど、最期の一瞬、心が通じあった。その余韻が名作たるゆえんなのでしょう。絵も、幻想的であたたかくて優しくて、素晴らしい。

30代 女性
30代 女性

口コミ・評判:★★★★★

4歳の誕生日プレゼントに購入しました。情景がひとつひとつ美しく、子どもも幼いながら発見があるようです。日々想像する絵本の世界が豊かになる様子が伺えます。こんなに素晴らしい本だったのかと、親になって初めて気がつきました。

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『ごんぎつね』の主題・テーマは?

ごんと兵十、ふたりの悲劇は何度読んでも涙を誘います。

作者はなぜこのような悲しい結末を選んだのでしょうか。

とりかえしのつかない”いたずら”

ごんは、ちょっとしたいたずらのつもりで、軽い気持ちで、兵十の捕った魚を逃がします。

ところが、兵十の母親が死んでしまったものですから、ごんは思いをめぐらせます。

きっと、兵十の母親が病床についていて、ウナギが食べたいといったのだろう。

それなのに自分がいたずらをしてしまったから、母親はウナギを食べられなかったことを悔やみながら、死んでしまったのだと。

「あんないたずらを、しなけりゃよかった」

こぎつねのごんは、はじめてこんな気持ちになったのではないでしょうか。

一人ぼっちのふたり

「おれと同じ一人ぼっちの兵十か」

そういって、兵十のために毎日栗やまつたけを持っていき、物置の前に置いて帰るごん。

鰯で失敗したことも反省し、ごんなりに一生懸命考えた償いだったのでしょう。

偶然見かけた兵十のあとを、影法師をふみふみついていく場面は、ごんのいじらしさが出ていてとても印象的です。

兵十に心を寄せていく様子が伝わってきますね。

両親のいないごん、母親をなくした兵十。

次第に、ごんの中で兵十との距離が近づいていきます。

そんな時、「栗を持ってくるのは神さまじゃないか」と言われて兵十がそれを信じていることを知るのです。

すれちがいの悲劇

栗を持ってくるのは自分なのに、神さまにお礼を言うんじゃつまらないなぁと思いながらも、次の日も栗を持っていくごん。

その日は物置に兵十がいたこともあり、裏口から家の中に入ってしまいます。

栗を置いたのは神さまじゃない、自分なのだと気づいてほしかったのかもしれません。

「ごん、おまいだったのか。いつも栗をくれたのは」

一人ぼっちの兵十とごんの、やっと心が通い合った瞬間です。

ばたり、と落とされた火縄銃と、筒口から細く出る青い煙。

兵十の驚きと後悔が伝わってきて、胸を締め付けます。

悲劇に終わってしまったからこそ、人々の心に深く刻まれるのではないでしょうか。

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【ネタバレあり】感想とレビュー

この絵本には、多くの悲しみの声がよせられています。

さまざまな視点からみた、ごんと兵十への言葉をご紹介しましょう。

偏見や誤解が生んだ悲劇

本当は、寂しがり屋なのにいたずらばかりしていたごん。

つぐないに、毎日毎日くりやまつたけを届けたごん。

兵十のかげぼうしを踏み踏みついていったごん。

素直に自分の気持ちを表せばよかったのに。

偏見や誤解や、コミュニケーション不足が生んだ悲劇が哀しく胸を打つ。

本当は誰よりも仲よくなれたかもしれないのにね。

柔らかで幻想的な絵と透き通るような文章

黒井健さんの柔らかに霞んだ幻想的な絵を通して、さまざまな思いに揺れる一匹の狐が描かれる。

ページをめくるたびに見せる孤独でいじらしいごんの姿。

幼い頃のおぼろげな記憶を、絵で再現したような印象も受けます。

絵と文章が織り成す妙を堪能させてくれる、素晴らしい絵本です。

来世での幸福を願う

可愛そうな兵十。

たったひとりの理解者であり支持者の正体がわかった途端、それを自らの手で殺めたことを知るのだ。

この先、兵十はどれだけの孤独と悔恨を抱えながら生きていかなければならないのだろう。

運命の力によって今世で幸福な関係をもてなかったごんと兵十には、来世で仲良い者同士に生まれ変わって欲しいと望まずにはいられない。

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『ごんぎつね』は、こんな方におすすめ!

児童文学として読み継がれていて、国語の教科書にも乗せられている絵本。

他人を思いやる心や命のはかなさ、世の無常、などが美しい日本語で書かれており、小学生のお子様にはきっと何か感じ得るものがあるはずです。

そして、親になって子供に読み聞かせる立場になったとき、もう一度読んでいただくと、子どものころとはまた違った感動を得られます。

ごんの純粋さ、残された兵十の無念、孤独なふたり。

子供の成長を見守る親として、読み進めるにつれて、ふたりへの感情がおしよせてきて心を揺さぶられることでしょう。

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