「さくらほいくえんには こわいものが2つあります。
ひとつはおしいれで、もうひとつはねずみばあさんです。」
そんなセリフから始まる小さな冒険ストーリー。
1974年に発行されて以来、世代を超えて愛されてきた79ページにわたる大作絵本です。
『おしいれのぼうけん』(1974)とはどんなお話【内容とあらすじを紹介】
「おしいれが怖い…」。
小さい頃にそう感じたことはありませんか?
このストーリーが展開される舞台はその“おしいれ”。
一体どのようなお話なのでしょうか?
『おしいれのぼうけん』(1974)の概要
作:古田 足日・田畑 精一
出版社:童心社
発行日:1974年11月1日
価格:1430円+税
出典:https://www.amazon.co.jp/
『おしいれのぼうけん』(1974)のあらすじ
お話の舞台はさくらほいくえん。
保育園の“みずのせんせい”は、注意しても静かにしない子がいると、おしいれにいれてしまいます。
その時子どもたちはみずの先生が大嫌いになってしまうものの、先生たちが行う人形劇を見るとたちまち先生のことが大好きになるのです。
さくらほいくえんの子どもたちが怖いのは2つ。
おしいれと、その劇に出てくる“ねずみばあさん”です。
その日おしいれに入れられたのは、お昼寝の時間に騒いでいたさとしくんとあきらくん。
2人はなんとかおしいれから出ようと試みるものの、出ることができません。
持っていたミニカーと機関車を交換して励まし合いますが、次第におしいれのシミがあの“ねずみばあさん”に見えてきます。
おしいれのぼうけんのはじまりです。
2人で一生懸命ねずみたちやねずみばあさんから逃げようと大奮闘。
さあ、2人はおしいれから出られるのでしょうか?
『おしいれのぼうけん』(1974)の内容と要約
さくらほいくえんの恐怖のおしいれにいれられてしまった2人。
おしいれの中で、どのような冒険が繰り広げられるのでしょうか?
『おしいれのぼうけん』のスリルと友情あふれる世界を掘り下げて読み解いてみましょう。
要約1:厳しくも優しいみずの先生
さくらほいくえんのみずの先生は、悪いことをした人をおしいれに入れます。
おしいれに入れられた子どもは怖くて泣いてしまいますが、外に出ると決まって「せんせい、ごめんね。」と謝ることができるのです。
それには、先生もホッと一安心。
でも、その日にいたずらをしでかしたさとしとあきらは、おしいれに入れられてしまいます。
要約2:恐怖に負けそうになる2人
おしいれに入れられてしまった2人はお互いに励まし合います。
汗でべとべとの手を握り合ったり、持っていたミニカーと蒸気機関車を交換したり。
でも、次第に恐怖心に負けそうになってしまいます。
おしいれのベニヤ板は、トンネルやねずみばあさんの顔に見え、何千匹ものねずみをお供につれたねずみばあさんが現れ思わず持っていたミニカーから手を放しして驚く2人。
歯をグッと食いしばってねずみばあさんから逃げ、高速道路や下水道などあっちこっち走り続けます。
決してつかまらないぞという強い思いを持って。
要約3:決して負けない・折れない強い気持ち
「ぼくたちわるくないもん。ごめんなさいなんて いうもんか。」
あっちこっち逃げ回った末、2人の“正義”をねずみばあさんに言ってのけます。
もうだめだと思ったその時、赤いミニカーと機関車は大きくなって2人のことを助けます。
機関車の蒸気と車の光で、ねずみばあさんも逃げ出します。
2人の正義がねずみばあさんに勝ったのです。
『おしいれのぼうけん』(1974)の口コミ・評判

口コミ・評判:★★★★★
小さい頃に幼稚園の先生に読んでもらったのを思い出して、5歳の息子に買いました。ちょっと怖かったみたいで、ねずみばあさんが出てくるシーンは真顔で見ていました(笑)少し長いので「さあ、読むぞ!」というときに読むのがベストです。

口コミ・評判:★★★★☆
本屋さんで子どもが自分で選びました。しっかりした表紙で折れたりヨレたりしないのが嬉しいです。持ち歩きには不便ですが。年長の息子に買いましたが、かなり夢中になっており、お気に入りの1冊になりそうです。

口コミ・評判:★★★★★
懐かしの1冊です!ネットで見つけて興奮して即購入。子どもたち3人ともハマってしまい、おしいれがあそび場に(笑)家のおしいれには変な模様がないので物足りないようですが。
『おしいれのぼうけん』(1974)の主題・テーマは?
2人の男の子が手を取り合う表紙が印象的な『おしいれのぼうけん』。
興味をそそるストーリーに秘められたテーマやメッセージとは、一体何なのでしょうか?
ハラハラドキドキ、2つの怖いもの
暗いおしいれに気味の悪いねずみばあさん。
悪いことをしたらおしいれに入れられるという、今の時代には少しミスマッチな要素も多いかもしれません。
でも、いつの時代でも暗いところと化け物は子どもにとって怖いもの。
恐怖が訪れながらも冒険する2人を、ドキドキしながら見入ってしまいます。
協力すれば頑張れる
真っ暗なおしいれやねずみの大群、ねずみばあさんの光る目と、たくさんの恐怖と向き合うあきらとさとし。
1人だったらくじけてしまいそうな場面も、2人だから乗り切ることができました。
思わず「がんばれ!」と応援したくなるような2人の奮闘ぶり。
友だちの大切さを教えてくれます。
折れない心とブレない自分
“ぼくたちは悪いことはしていない。ねずみばあさんには謝らない。”
そんな自分たちのポリシーを子どもながらに貫きとおしたあきらとさとし。
さくらほいくえんの2大恐怖に負けそうになる場面ももちろんありますが、折れない心を持って立ち向かいます。
2人はおしいれのぼうけんを通して心の成長を遂げたのです。
自分の思いを貫きつつ、おしいれから出た後は迷惑をかけたお友だちにしっかりと謝ることができました。
【ネタバレあり】『おしいれのぼうけん』(1974)の感想とレビュー
『おしいれのぼうけん』の内容やテーマについてご理解いただけたでしょうか?
3世代で読んでいるというご家庭もあるこちらの絵本は、たくさんの感想や口コミが寄せられている作品でもあります。
小学2年生の子どもを持つ筆者も、本書の1ファンとして読んでみた感想をレビューしていきたいと思います。
3世代で楽しんでいる絵本
『おしいれのぼうけん』は、絵本としてはページ数が多く、隙間時間に読むというよりは、じっくりと時間のある時に読み聞かせたい1冊です。
そのゆったりとした時間の中で、悪いことをしたらどうすればよいか、絵本を通して親子で学ぶことができます。
この本は、自分が子どもの頃に親や保育園の先生に読んでもらった思い出の絵本。
今は、3世代で楽しんでいます。
えんぴつ描きのリアルな世界
この絵本の臨場感を掻き立てるのが、えんぴつで描かれたイラスト。
繊細なタッチで描かれたキャラクターやおしいれの暗闇、不気味な街並みは、子どもも大人をも惹きつけます。
時々、出てくる色とりどりのイラストにも引き込まれてしまいます。
『おしいれのぼうけん』(1974)は、こんな方におすすめ!

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