何か悪いことをしてしまったとき、思わず言い訳をしてしまったことはありますか?
きっと、誰にでも思い当たるところがあることでしょう。
絵本『りゆうがあります』は、あまり褒められないクセを指摘された男の子が、苦し紛れに理由を説明して、言い訳を並べていく作品。
こう聞くと、「主人公は卑屈なのかな?」と思うかもしれませんが、実はそんなことはありません。
男の子が話す「理由」は、想像力に満ちていて、子どもならではの視点がたくさんです。
苦し紛れだった言い訳がお話を盛り上げていくのは、読んでいてワクワクしますよ!
大人にも子どもにもおすすめの一冊ですので、ぜひ参考にしてみてくださいね。
『りゆうがあります』(2015)とはどんなお話【内容とあらすじを紹介】
『りゆうがあります』の概要を紹介していきます。
子どもに大人気の絵本作家、ヨシタケシンスケならではの世界観が広がっていきますよ!
『りゆうがあります』(2015)の概要
出版社:PHP研究所
発行日:2015/3/6
価格+税:1430円
『りゆうがあります』(2015)のあらすじ
男の子には、悩みがあります。
それは、鼻をほじってしまうくせがあり、よくお母さんに叱られること。
お母さんは「お行儀が悪いから」という理由で叱るのですが、男の子は「それなら、理由があれば鼻をほじってもいいのではないか」と思います。
男の子が考えた理由は、大人には想像もつかない、独創的なもので……。
鼻をほじるだけでなく、さまざまなことに対して男の子がその想像力を生かして、理由を作っていくというストーリーです。
『りゆうがあります』(2015)の内容要約
ここからは、『りゆうがあります』のストーリーを、もう少し掘り下げて、解説していきます。
ネタバレを含む内容なので、まだ読んだことのない方は注意してくださいね。
要約1.鼻をほじるのには理由がある!
無意識に鼻をほじってしまう男の子。
それを見ていたお母さんは、当然やめさせようと指摘します。
その理由は、お行儀が悪いから。
男の子はこう思います。
「鼻をほじるのにも理由があれば、鼻をほじってもいいんじゃないかな?」
そう考えた男の子は、鼻をほじる理由をお母さんに言います。
「鼻の中にスイッチがあって、それを押すと周りがウキウキするんだ!」
それを聞いたお母さんは、げんなり。
「お母さんは十分楽しいから、これ以上ビームを出さないでくれる?」
要約2.ご飯をこぼしちゃうのにも、廊下を走るのにも、理由があります!
まだまだ、男の子の言い訳は続きます。
爪を噛むのは、ゴミ捨て場のカラスに、大人には聞こえない音を聞かせて追い払うため。
また、びんぼうゆすりは地中のモグラと会話するためだそうです。
これらの言い訳をどんどん並べていく男の子。
最初は、言い訳で済むようなレベルでしたが、どんどん話が大きくなっていきます。
「ストローを噛むのは、選手権で優勝してその賞金で船を作って、世界を旅するため!」
そう言った男の子は、ついに大きな船に乗る想像をするのでした。
要約3.ついやっちゃうことって、お母さんにもあるよね
言い訳を繰り返していた男の子は、ついに反撃に出たのでした。
「でもさ、大人だってついやっちゃうこと、あるでしょ?」
そう言った男の子は、このように指摘します。
「お母さんが髪の毛をいじるのはどうして?」
お母さんは少し考えたあと、こう答えます。
「毛先に小さくメニューが書いてあるから、これを見て夕飯のメニューを決めているの!」
この受け答えは、さすが親子ですよね。
『りゆうがあります』(2015)の口コミ・評判
口コミ・評判:★★★★★
読んでみて、笑っちゃいました。まさかこんな内容とは思わず、いい意味で裏切られた絵本です。子どもたちも大好きで、繰り返し読んでいますよ。
口コミ・評判:★★★★
これを読んでから、息子が少し生意気になったような気がします。もちろん悪いことではないですし、成長を感じました。幼稚園生くらいから自分で読めるし、下の子が大きくなったらまた与えてみようと思います。
口コミ・評判:★★★★★
男の子のお母さんの、納得していない顔がおもしろかったです。子育てしている最中は笑いごとじゃないですが、これを読んですっと心が楽になりました。親にもおすすめですよ。
『りゆうがあります』(2015)の主題・テーマは?
『りゆうがあります』は、一見ただ男の子が言い訳をしているだけの作品に見えます。
しかし、そこにはいくつか隠されたテーマや教訓があり、読み込んでいくとさらにおもしろく感じられることでしょう。
この絵本の主題・テーマを紹介していきます。
想像力を広げることの楽しさ
主人公の男の子は、とにかく想像力が豊かです。
「ストローを噛む」ことの理由が、「ストロー噛み選手権で優勝して、その賞金で船を作って、世界中を旅したいから」だなんて、誰が思いつくでしょう。
これは、作者のヨシタケシンスケならではの発想ですが、子どもたちはこんな想像が大好き。
きっと、『りゆうがあります』を読んだら、想像力が刺激されてしまいますよ。
身近なことに対する理由を、親子で探ってみるきっかけになるかもしれませんね!
大人だって同じことをしている
『りゆうがあります』に登場しているお母さんの表情は、とにかく不満のありそうな顔。
息子の言い訳に対して、信じず、うんざりしているような表情です。
親になると、子どもからの言い訳にうんざりして、このお母さんのように、嫌になってしまうこともあるでしょう。
しかし、ストーリーの最後に、お母さんは男の子と同じような言い訳をします。
「さすが親子!」と言いたくなるような、見事にそっくりな言い訳です。
このように、大人だって苦しくなれば言い訳をすることもありますよね。
子どもよりも巧妙な言い訳を考えられるのだから、タチが悪いくらいです。
「自分も言い訳をするから」と考えれば、子どもの言い訳にも少し寛容になれそうではないですか?
よくないことを客観的に理解する
子どもは、何か悪いことをしたとき、それを指摘されたのをきっかけに、言い訳してくることがあります。
それはよくあることで、大人がうっとおしいと思ったとしても、言い訳自体は悪いことではありません。
しかし、危険なこと、周囲に迷惑をかけることが、言い訳に負けてしまい是正できないというのは問題ですよね。
この絵本を読むことで、一般的によくないとされていることを、子どもたちは簡単に知ることができます。
どうしていけないのか、大人からの理由の説明を添えながら読んでみるといいでしょう。
客観的に見れば、どうしていけないかの理解も早いかもしれません。
【ネタバレあり】『りゆうがあります』(2015)の感想とレビュー
『りゆうがあります』は、子どもから大人まで大人気の作品です。
感想やレビューで、絵本を選ぶ際にぜひ参考にしてみてくださいね!
子どもの想像力を侮ってはいけないです
主人公の男の子が特別に賢いようにも見えますが、子どもってこういう知恵はすごくはたらくものですよね。
それがいけないというわけではなく、子どもならではの想像力を大切にしてあげたいな、と思えるような絵本です。
中でも、一段高いところに上ることは猫を助ける訓練だ、というのにはほっこりしました。
これも、純粋な子どもたちが考えそうなことで、さすが子ども心をわしづかみにする、ヨシタケシンスケならではの想像力です。
理由を考えたくなってしまう
この絵本で語られていることは、すべて言い訳でしかありません。
しかし、挙げられている理由の秀逸さには驚かされます。
世の中、言い訳に使う以外にも、大抵のことには理由があります。
この絵本を読むと、無意味なこと、理解しがたいことに対しても探求心が湧いてきそうですよね。
想像力の豊かな子どもたちは、「自分の知らない理由があるはず」という気持ちが芽生えると、それを探りたくなってしまいます。
『りゆうがあります』を読んだ子どもたちは、探求心に火が付くかもしれませんね。
子どもはこの作品を読むとどんな気分になるんだろう?
『りゆうがあります』では、男の子がひたすらお母さんに、自分がやってしまったことに対する言い訳を並べています。
この男の子のようなレベルの言い訳をされたら、現実の大人は納得したふりをして、引き下がるしかできないですよね。
実際の子どもたちだって、クオリティはともかくとして、言い訳をしてくることもあります。
そんな少し生意気な子どもたちが、この絵本を読んだらどんな気持ちになるのか気になりますよね。
自分を客観的に見直す子、それともちょうどいい言い訳の材料を見つけたと張り切る子など、その子の個性によって異なってきます。
読み終わったら、親子で感想を言い合いたい絵本です。
『りゆうがあります』(2015)は、こんな方におすすめ!
この絵本は、親子での会話がしっかりできるようになってきた、年少さんから年長さんくらいの子におすすめです。
ひらがなとカタカナで書かれているので、自分で読める場合はぜひ読んでみていただきたいです。
また、ちょっと子育てに疲れた大人にもおすすめ。
言い訳をする子どもは我が子だけではないですし、悩みすぎる必要はないと教えてくれる絵本です。
かわいらしいイラストと、軽快なテンポで笑わせてくれるのは、ヨシタケシンスケの絵本ならでは。
ぜひ、親子で読んで、男の子とお母さんのやりとりをマネしていただきたいです!
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