洋服がひっかかって、脱げなかった経験はありますか?
大人になればそんな恥ずかしいことは起こりにくいですが、小さいころに経験がある方は多いはず。
そんなとき、どうやって対処したか覚えているでしょうか。
自分で頑張って脱いだ?
それとも、ママに引っ張ってもらったのかも。
『もう ぬげない』は、そんな「子供あるある」をテーマにした絵本です。
せっかく一人で着替えをしようとしたのに、首元で洋服がひっかかって、身動きが取れなくなってしまった少年のお話。
少年は首に衣服をひっかけながら、「このままずっとぬげなかったらどうしよう」と、想像の世界へ足を踏み入れていきます。
かわいらしいイラストと、ヨシタケ シンスケ流のギャグセンスが、お子さんの心をグッとつかみますよ!
『もう ぬげない』(2015)とはどんなお話【内容とあらすじを紹介】
『もう ぬげない』は、数々の賞を受賞した、さまざまな世代から愛されている作品です。
くすっと笑える要素が盛りだくさんのこの絵本は、お子さんウケはバツグン。
お子さんが「また読んで!」とおねだりしてくる、この作品の秘密を探っていきましょう。
『もう ぬげない』(2015)の概要
出版社:ブロンズ新社
発行日:2015/10/8
価格+税:1078円
『もう ぬげない』(2015)のあらすじ
主人公の少年は、間もなくお風呂の時間を迎えます。
意地でも自分で洋服を脱ぎたかった少年。
洋服を頭上に引っ張るようなかたちで洋服を脱ぎますが、なんとヘンなところで引っかかってしまいました。
そうなるとさあ大変。
転がってみても、いろんなポーズをしてみても、洋服は脱げません。
「このままずっとぬげなかったらどうしよう」「ぼくはこのままおとなになるのかな」
うっすらと前も見えるし、何とかなるかもしれないと、少年の想像が広がります。
奮闘する少年の前に、いよいよ救世主があらわれて……!
少年は無事に洋服が脱げたのでしょうか?
『もう ぬげない』(2015)の内容要約
それでは、『もう ぬげない』のストーリーを、もっと掘り下げていきましょう。
ネタバレを含むので、まだ読んだことのない方は注意してくださいね。
要約1.とにかく脱げない!
主人公の少年は、お風呂の時間を前にして、1つのチャレンジを試みます。
それは、「ひとりで洋服を脱ぐ」こと。
Tシャツを上に引っ張ってみたはいいものの、首と腕が抜けません。
振り回してみても、回ってみてもびくともしない洋服。
でも、誰かに頼りたい気持ちを抑えて、自分で頑張ります。
だって、お母さんに「ひとりでぬぐからだいじょうぶ」と言ってしまったんだもの。
奮闘しつつも、時間だけが過ぎていきます。
「このままずっとぬげなかったらどうしよう」そう思った少年ですが、意外と楽天的。
要約2.ずっと脱げなかったら、どうしよう?
とにかく脱げなかった少年は、「ぼくはこのままおとなになるのかな」と少し不安になります。
しかし、もし脱げなかったとしても生きていけるのではないか、と想像が膨らんでいきます。
洋服越しにうっすら前は見えているし、このままでも何の問題もない。
多少の不便も、知恵を使えばどうにでもなる、と気付きました。
ついには「うん!だいじょうぶ!ぼくはずっとこのままでいよう!」と納得しますが、そこでふと我に返ります。
要約3.最後はやっぱり最強の、お母さん!
一度は脱げなくてもいいや、と思った少年ですが、「でもくやしいからじぶんでぬぐ!」と一念発起。
しかし、さっきと同じように、どんなに暴れても脱げないのには変わりません。
そこで少年は思います。「さきにズボンをぬいじゃえばいいんじゃない?」
そう思ったのが運の尽きでした。
ズボンは手を使わずとも途中までは脱げたものの、足首のところから動かなくなってしまったのです。
「やんなきゃよかった……」
そこに登場した救世主、お母さん!
お母さんに簡単に脱がされ、連れられ、少年はお風呂でバシャバシャと洗われたのでした。
『もう ぬげない』(2015)の口コミ・評判

口コミ・評判:★★★★★
「あるある」ですよね、こういうの!子供をお風呂に入れるときに、なかなか自分で脱いでくれなくてイライラしちゃうけど、この絵本を読んだら「子供だって頑張っているんだなあ」って、なんだか納得しちゃいました。

口コミ・評判:★★★★★
息子がイヤイヤ期真っ最中の我が家には、この絵本はぴったりでした。うちの子はなんでもやりたがるタイプで、手出しすると怒るんですよね。共感するところがあるみたいで、じっと眺めていますよ。

口コミ・評判:★★★★
ちょっとうちの娘には早かったですが、これはおもしろい!日常でよくあることをおもしろおかしく描いていて、大人でも笑っちゃいました。オチも最高です。
『もう ぬげない』(2015)の主題・テーマは?
大人でもくすっと笑ってしまう絵本、『もう ぬげない』。
この作品は、日常の一部を切り取って絵本にしただけです。
それにもかかわらず、世代を問わず夢中にさせる理由は、どこにあるのでしょうか。
作品の主題やテーマについて解説していきます。
小さな事件でも、子供にとっては大ピンチ!
お子さんにとっては、日常の些細なことでも大事件になりますよね。
「洋服が脱げない」ことも、そんな事件になり得ることがあります。
大人の方も記憶にありませんか?
「なんであのときはあんなに悩んでいたんだろう」という、小さいころの記憶。
今のお子さんたちも、きっとそれは同じですよね。
毎日、小さな悩みと必死になって戦っているのは、今も昔も変わりません。
『もう ぬげない』は、大人の気付かない、お子さんの小さな悩みに焦点を当てたお話です。
想像をどんどん広げる楽しさ
服が脱げない少年は、「このままずっとぬげなかったらどうしよう」と思ったあと、脱げなかった場合のビジョンを思い浮かべます。
町を歩き、ステージでスピーチをして、最後は山に登ってしまって。
結論は、「ぼくはずっとこのままでいよう!」つまり、脱げなくてもなんとかなるだろう、というなんとも楽天的な答えでした。
日常の些細なピンチから、想像力だけで人生を達観してしまうなんて、子どもならではの発想ですよね。
ピンチはチャンスとも言い切れませんが、少年のように想像を膨らませていくことで、日常は少しだけ楽しいものになるのではないでしょうか。
笑いは最高の親子のコミュニケーション!
『もう ぬげない』のもっとも素敵なところは、みんなを笑わせてくれるというところでしょう。
ヨシタケ シンスケの作品は、軽快なテンポで笑いを誘うものが多く、『もう ぬげない』も同じようにテンポよく笑わせてくれます。
大人とお子さんとでは笑いのツボが違ったりしますが、どの世代の笑いも誘ってくるのが絶妙です。
読み聞かせでも、お子さんが自分で読むのでも構いません。ぜひ一緒に読んで、おもいっきり笑ってください!
【ネタバレあり】『もう ぬげない』(2015)の感想とレビュー
『もう ぬげない』は、たくさんのお子さんに読まれてきた、人気の作品。
ここからは、絵本の感想やレビューを紹介していきます。ぜひ参考にしてみてくださいね。
日常の1ページのはずなのに
内容はほんとうに、いたって普通の内容。
服を脱いで、お風呂に入って、というのは毎日の習慣ですよね。でも、もちろん思い通りにいかないことだってあるわけです。
それをおもしろおかしく描いてあるというのだけで、みんな大喜びです。
服を中途半端に脱いで、少年の真似をしてみるのもおもしろいかも。
お母さんが服を無慈悲にはぎ取るところまでセットで、家族みんなで笑いながら再現したいですね。
イヤイヤ期に入ったお子さんにもぴったりの作品です!
オチも最高!
「けっきょくいつもおかあさんのいいなりだ」という少年の言葉に、少しハッとさせられますが、そのあとのオチがまた秀逸です。
さっきはせっかく脱げたのに、また引っかかっちゃった。
今度はパジャマを自分で着ようとチャレンジしたのがきっかけで、パジャマが頭にはまって、動けなくなっちゃうのです。
背表紙にいるお母さんの「なにをやっているんだか」という顔も、親世代からすると「わかるー!」と共感してしまいますよね。
大人も笑っちゃう、「あるあるネタ」
日常を描いた作品なので、「あるある」と共感する場面が多く、読んでいて飽きません。
お子さんの短い手足では、頭にはまった洋服を自分で脱ぐのは難しいです。
それを脱がすために大人は上から引っ張って、お子さんが宙に浮いてしまうというのもわかりますよね。
そんな日常を描いた絵本だからこそ、夢中になって笑えてしまうのかもしれません。
「こんなこと、この間あったよね!」とコミュニケーションを取りながら読み聞かせたい絵本です。
『もう ぬげない』(2015)は、こんな方におすすめ!
『もう ぬげない』をいちばんおすすめしたいのは、イヤイヤ期のお子さんをもつご家庭です。
なんでも自分でやりたい、お母さんの手を借りたくない、という意地からはじまったストーリーなので、お子さんもきっと共感できます。
また、全編ひらがなとカタカナなので、読み書きの練習をはじめたお子さんにもぴったりですよ。
上の子から下の子に読み聞かせてあげるというのもおもしろいでしょう。
今回は、『もう ぬげない』という絵本について紹介しました。
日常の「あるある」をおもしろおかしく描いた作品で、さまざまな世代に大人気の絵本。
ぜひ、家族でゲラゲラ笑ってくださいね!
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