子どものころに、「大人ってずるい!」と思った経験はありませんか?
たとえば、夜遅くまで起きていたり、好きなものばかり食べているように見えたり……。
でも、実際大人になってみるとどうでしょう。
ずるいことばかりしている自覚はありますか?
そんなことはありませんよね。
きっと、大人にとっての当たり前は、子どもにとってはすごくうらやましいことなのでしょうね。
それは、今の子どもにとっても同じこと。
子どもたちは、毎日大人への不満をくすぶらせているかもしれません。
今回は、子ども目線から大人のずるさにクレームをつけるというのがテーマの絵本、『ふまんがあります』について紹介していきます。
主人公の女の子からの指摘を、調子よく返していくお父さんのキャラにも注目ですよ!
『ふまんがあります』(2015)とはどんなお話【内容とあらすじを紹介】

『ふまんがあります』は、絵本作家ヨシタケシンスケの作品です。
ヨシタケシンスケの絵本は、子どもの心をぐっとつかむギャグセンスと、可愛らしくてどこかとぼけたイラストが特徴。
『ふまんがあります』も、そんな作者のカラーが色濃く出ている絵本です。
まずは、作品の概要とあらすじを紹介していきます。
『ふまんがあります』(2015)の概要

出版社:PHP研究所
発行日:2015/9/18
価格+税:1430円
『ふまんがあります』(2015)のあらすじ

「わたしは いま おこっている」
そんな、女の子の言葉から始まる絵本は、子どもから大人への不満にあふれています。
寝転がっているお父さんに、「わたしは ふまんが あります!」と、ついに訴えに。
それは、「どうして夜遅くまで起きていてはいけないの?」「お風呂に入る時間を大人が決めちゃうのはなぜ?」など、子どもによくある不満がたくさん。
子どもにとって、大人はずるいことばっかりで、それについて女の子は怒りつづけて……。
『ふまんがあります』(2015)の内容要約

『ふまんがあります』は、終始怒り顔の女の子が主人公の絵本。
女の子とそのお父さんの掛け合いがおもしろく、クスっと笑えるのがこのストーリーの特徴です。
ここでは、『ふまんがあります』の内容を掘り下げて紹介していきます。
ネタバレを含みますので、まだ読んだことがない方は注意してくださいね。
要約1.私には不満があります!

どうして、女の子が不満に思って怒っているかというと、大人はずるいからです。
子どもは早く寝ないといけないのに、大人は夜遅くまで起きていること。
嫌いなグリーンピースを、食べなければならないのはどうして?
毎日、そんな些細な不満があふれています。
しかし、お父さんは女の子の不満たちに打ちのめされるわけではありません。
早く寝ないといけないのは、サンタさんが抜き打ちチェックに来るから。
グリーンピースは、木星の主食だから、宇宙旅行に行くためにも食べられた方がいいんですって。
納得はできない女の子ですが、何となく言いくるめられていきます。
要約2.お父さんは自分勝手?

このように、女の子を丸め込んでいくお父さんですが、徐々にお父さんの自分勝手さが浮き彫りになっていきます。
どうして、パパがイライラしていると自分まで怒られるのか、と問いかける女の子。
こんなの、女の子は悪くないですよね。
でも、お父さんは女の子を言いくるめていきます。
「それはイライラ虫のせいなんだ」
後半は、そんな怪しいやりとりが続くけれど、女の子はどんどん納得させられてしまいます。
要約3.子どもだってずるいことはあるよね?

「大人って大変なのね」と、納得する女の子。
対して、「パパも昔子どもだったからわかるよ」と、歩み寄るお父さん。
これで仲良し、めでたしめでたし……とはいきませんでした。
そこで、お父さんのひと言は、「子どもだってずるいことあるよね?」
女の子は、休みの日は朝早く起きてお父さんを起こすけれど、学校の日は起こしてもぜんぜん起きないようです。
女の子は、機転を利かせてこう答えます。
「学校のある日の朝には夢に神様が出てくるから、毎日パパが元気でいられるようにお祈りしているんだ!」
それを聞いたお父さんは、何も言いません。
でも、その表情がお父さんの気持ちを物語っているのでした。
『ふまんがあります』(2015)の口コミ・評判


口コミ・評判:★★★★★
息子に読み聞かせてみました。最初は意味が理解できていないようでしたが、最近は私や夫に向かって「ずるい!」を連発するように。世の中のいろいろなことに疑問を持つきっかけに、適した絵本だと思います。

口コミ・評判:★★★★
お父さんのキャラがおもしろいというか、軽薄というか……。でも、このお父さんって親たちの鏡だと思うんです。もっと子どもたちに対して誠実にならなきゃな、と少し反省しました。

口コミ・評判:★★★★★
これはおもしろいし、今までになかったテーマですね。親が子どもを適当にあしらっているのが描写されているけれど、最後はきれいに意趣返しされてしまっているのが、また笑えます。
『ふまんがあります』(2015)の主題・テーマは?

『ふまんがあります』は、女の子がただお父さんにクレームをつけるだけの絵本ではありません。
大人も昔は子どもで、大人に対して同じような不満を持っていたということを思い出す、あるいは子どもたちに伝えるきっかけになる作品です。
『ふまんがあります』の主題やテーマを紹介していきます。
子どもの不満はいつだって同じ

絵本の中の女の子は、ずっと不満を語っています。
でも、この不満は女の子だけのものではないはず。
大人の方も、小さいころに「なぜ大人は遅くまで遊んでいるのに、私たちは早く寝ないといけないの?」と思ったことはありませんか。
大人になったら生活リズムなどの関係で、夜更かしなんかたいしたことでもないと思いますよね。
しかし、今の子どもたちにとってはどうでしょうか。
きっと、遅くまで起きている大人を見て、ずるいと感じていますよ。
いつの時代だって、子どもが大人をずるいと思うのは変わらないというのは、大人になっても忘れないでおきたいですね。
大人って、本当にずるいんです

この絵本は、大人のずるさがダイレクトに描かれている作品です。
登場人物のお父さんは、本当にずるくて自分勝手に見えますが、これは世の親の平均くらいのお父さんといえます。
大人だって好き嫌いがあっても当たり前だし、虫の居所が悪いこともあれば、仕事が忙しくて子どもと遊べないことだってありますよね。
しかし、これは大人だから「わかる!」と共感できるだけであって、子どもにとっては理不尽に思えます。
この絵本を読んだら、子どもたちは「大人だって完璧じゃない」と理解してくれるかもしれませんね。
不満があっても、けんかしても、親子はやっぱり親子!

女の子がお父さんに不満をぶつけるだけで終わらないのが、この作品の魅力。
最後にさんざん不満をぶつけられたお父さんが、可愛らしい反撃をするのですが、それをまた女の子が可愛らしくお返しするシーンがあります。
「このお父さんにこの娘あり!」というのが、よくわかる描写でした。
絵本に出てくるお父さんと女の子は、どちらも頭の回転が速くて、ひねくれているけれど人間らしく、よく似ています。
また、それぞれを想い合っているというのが伝わってくる作品です。
この作品を読んでいる親子も、このお父さんと女の子のように、顔だけでなく性格もそっくりかもしれませんよ!
【ネタバレあり】『ふまんがあります』(2015)の感想とレビュー

『ふまんがあります』は、ユーモアにあふれていて、子どもにも大人にも人気の作品です。
実際に読んでみての感想とレビューをまとめていきますので、絵本を選ぶ際の参考にしてみてくださいね。
大人はずるくてごめんね、ちょっと申し訳なくなりました

この作品を読んだら、ちょっと子どもに申し訳なくなってしまいました。
だって、このお父さんって自分そのものというか、世の親を具現化したような存在という気がして。
子どもに完璧を求めるわけではないですが、なるべく早く寝て欲しいし、好き嫌いなく食べて欲しいし、きっと親はみんなそう思っていますよね。
でも、これって子どもにとってはまだまだ理解できないことです。
だから、このお父さんのように都合よく言いくるめちゃうことだってあります。
ちょっと罪悪感をくすぐられる、そんな絵本でした。
笑っちゃうけど、真剣に考えなくちゃいけないテーマ

ヨシタケシンスケらしく、テンポよく進んでいく作品。
もちろん、笑いを忘れていない絵本で、言葉の選び方やユーモアのセンス、そして味のあるイラストで笑わせてくれます。
子どもはもちろん大喜びですが、やっぱり気になるのはこの「言いくるめられた感」ですよね。
早く寝ないといけない理由など、それを正しく理解してもらうのは大切なことです。
この絵本をきっかけに、親子で話し合ってみるのもいいでしょう。
子どもに教えたくないけど、教えたいとも思える絵本

他の作品に比べて、大人と子どもの関係性にかなり踏み込んだ内容だな、という絵本です。
子どもに与えると、手の内を明かすような気がして、気が進まないかもしれません。
しかし、あえて大人の手の内を明かしていくというのも、素晴らしいことです。
子どもはそもそも、言動に表裏があるようなことは少ないので、大人が手の内を明かすことで、より絆を深めることができるでしょう。
「大人は完璧じゃないし、ずるいことだってしている」というのを受け入れられそうな子どもたちには、ぜひ読んであげたい絵本です。
『ふまんがあります』(2015)は、こんな方におすすめ!

『ふまんがあります』は、最初に大人が読んでみることをおすすめします。
親の目線で読んでみて、昔のことを思い出したり、子どもたちに対する自分の行動をふりかえるきっかけにしてみたりしてください。
そうしたら、次に子どもたちに読み聞かせてあげましょう。
「大人が話すことがすべて正しい!」ではなく、「大人だって完璧じゃない」という目線で読めるといいですね。
子どもが自分で読むのは、5歳くらいからがおすすめ。
漢字も使われていますが、ふりがながふってありますので、ひらがなが読めれば問題なく読めるでしょう。
今回は、『ふまんがあります』を紹介しました。
特徴のあるテーマで描かれた絵本なので、家庭内での話題性はバツグンです。
ぜひ、家族みんなで読んで、大人目線と子ども目線で感想を言い合ってみてくださいね。

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