今回、とりあげる絵本はとにかくパワフルなお母さん。
パワフルさの裏には、子どもたちへの愛情がたっぷり隠されていて、お母さんの真意に気付いたときには、感動してしてしまいます。
元気いっぱいで破天荒なお母さんと、それに振り回される子どもを描いた、『おかあちゃんがつくったる』について、詳しくご紹介します。
『おかあちゃんがつくったる』(2012)とはどんなお話【内容とあらすじを紹介】

『おかあちゃんがつくったる』は、独特な絵柄と、感動のストーリーが特徴の絵本です。
作者、長谷川義史さんの自叙伝的な絵本で、『てんごくのおとうちゃん』の続編にあたる絵本作品ですが、この絵本だけでも楽しむことができますよ!
『おかあちゃんがつくったる』の概要とあらすじを紹介していきます。
『おかあちゃんがつくったる』(2012)の概要

出版社: 講談社
発行日:2012/4/27
価格+税:1650円
『おかあちゃんがつくったる』(2012)のあらすじ

小学三年生のぼくは、お母さんとお姉さんとの3人暮らし。
お母さんは、ジーンズやかばんなど、子どもが欲しがったものを何でもミシンで作ってしまいます。
その作品たちは、少しへんてこで、クラスのみんなに笑われてしまうことも、しばしばありました。
『おかあちゃんがつくったる』には、お父さんが亡くなってから、家族を背負って頑張るお母さんが描かれています。
お父さんが欠けてしまったという、暗い雰囲気はそこにはなく、お母さんのパワフルなパワーで笑わせてくれる絵本です。
『おかあちゃんがつくったる』(2012)の内容要約

次に、『おかあちゃんがつくったる』の内容を詳しく紹介していきます。
ストーリーのネタバレになってしまいますので、まだ読んだことがない方は、注意して読み進めてくださいね。
要約1.なんでも作ってしまうお母さん!

小学一年生のころに、お父さんを亡くしてしまった主人公の男の子は、今は小学三年生。
お父さんが亡くなっても、お母さんとお姉さんと3人で、元気に過ごしていました。
ある日、男の子はミシンの仕事をしているお母さんに、こう言います。
「まさひろくんみたいな ジーパン こうてえな」
それに対して、お母さんはこう言います。
「おかあちゃん ミシンで つくったるわ」
次の日には、袴の生地で作ったジーパンが完成しますが、それはなんだか微妙にジーパンとは異なった洋服。
学校にはいていってみると、みんなに笑われてしまいます。
要約2.作品のクオリティは微妙ですが……?

その後も男の子は、お母さんにいろいろなものを作ってもらいます。
体操服のメリヤスの生地が厚いから、ワイシャツのような生地で体操服を。
クラスの子が持っているような、かっこいいカバンだって、お母さんにとっては朝飯前です。
しかし、どの作品もやっぱりちょっとヘン。
かっこいいはずのカバンなんて、なぜか「よしお」と大きく名前が刺繍されています。
男の子は、毎回身に付けて学校に行きますが、そのたびにクラスメイトたちに笑われてしまうのでした。
要約3.お父さんはミシンで作れる?

物語の最後では、父親参観のお便りを男の子が持ち帰ってきます。
「来なくていい」という男の子に対して、お母さんは「絶対に行く」と譲りません。
心にもないことを言って、お母さんを傷付けてしまう男の子。
訪れた父親参観の当日、誰も来ていないと思いながらも後ろを振り向いた男の子は、息が止まるような思いをします。
なんと、他のお父さんと同じように背広を着た、お母さんが立っていたのでした。
お母さんは背広を引っ張って、こう言います。
「ミシンで つくってん」
『おかあちゃんがつくったる』(2012)の口コミ・評判


口コミ・評判:★★★★★
お父さんを亡くしながらも、明るく過ごそうとする家族がけなげで、感動しました。作者さんの自叙伝で、実際の話をもとに作っているというのも、感動するポイントですね。

口コミ・評判:★★★★★
お母さんのセンスが微妙というか、毎回息子のニーズとずれているのに笑ってしまいます。でも、お母さんが作ったり、選んであげたものって、こういうズレがあったりしますよね。

口コミ・評判:★★★★★
嫌な予感がしつつも、毎回お母さんの作品をちゃんと学校に持っていく息子、偉い!そういう姿からも、残された家族で身を寄せ合って生活している雰囲気がわかって、少し悲しくなりました。
『おかあちゃんがつくったる』(2012)の主題・テーマは?

『おかあちゃんがつくったる』は、コミカルなイラストやストーリーの裏に、お母さんの苦労や子どもたちへの愛情が隠れている絵本です。
どんなテーマで描かれているのか、紹介していきます。
お母さんの愛情

『おかあちゃんがつくったる』のいちばんのテーマは、お母さんから子どもたちへの、惜しみない愛情ではないでしょうか。
お父さんが亡くなってしまって、お母さん自身も深く傷ついているはず。
それなのに、一家の大黒柱として、子どもたちが不自由しないように奮闘しています。
お母さん兼お父さんとして、子どもたちに2倍の愛情を注ごうとしている姿に、心打たれます。
それを、コミカルな雰囲気で描いているというのが、この絵本の特徴でしょう。
いじっぱりだけど、優しい息子

主人公の男の子は、お母さんが作った作品が何となくヘンであることに、すぐ気付きます。
それをわかっていて、あえてきちんと学校に持っていく姿は、小学三年生という年齢に見合わないほどの、優しさを感じます。
本来なら、どんなに親が苦労して作ったものでも、気に入らなければ「こんなのいらない!」と、投げ出してしまう年齢ですよね。
それをせずに、お母さんの気持ちを無駄にしないようにしている男の子は、心優しい子どもです。
『おかあちゃんがつくったる』は、頑張っている親の気持ちは、しっかり子どもに伝わるということを描いている絵本です。
楽しく振る舞っていても、心の傷を癒すのには時間がかかること

この家族のお父さんが亡くなったのが、男の子が小学一年生のとき。
まだ2年しか経過しておらず、家族は元気に過ごしていても、まだまだお父さんを思い出すこともあるでしょう。
しかし、「寂しい」「生活が大変」というのを理解しつつも、口に出さず生活する彼らは、尊敬に値する家族です。
普段は問題なくても、感極まったときはぽろっと寂しさが出てしまうこともあります。
男の子も、ふとした時に「お父さん」という言葉を出してしまっていました。
身近な人物が亡くなってしまうというのは、心に深い傷を与えてしまうということが、読み取れる絵本です。
『おかあちゃんがつくったる』(2012)の感想とレビュー【ネタバレあり】

『おかあちゃんがつくったる』は、楽しい内容ながら、日々の当たり前に感謝したくなるストーリーで、幅広い世代に読まれている絵本です。
実際に読んでみての、感想やレビューを紹介していきます。
なんだかんだで優しい主人公

まるで被害者のような男の子ですが、そこまで不幸を感じさせない語り口が素敵です。
小学校3年生の男の子といえば、思春期に入る前とはいえ、なかなか多感な時期。
友達にからかわれるのだって、きっと恥ずかしかったことでしょうね。
しかし、「よしお」と大きく刺繍されたうえ、なぜかハートマークまで描かれてしまったカバンを律義に学校へ持っていく男の子が、微笑ましいです。
思春期でなくたって、嫌がる子は多いですよね。
そんな優しい男の子の姿から、お母さんへの愛情を感じます。
闇を抱えながらもけなげに頑張る家族

男の子からお母さんへの、「ジーパンを買ってくれ」や、「かっこいいカバンが欲しい」は、子どもから大人へのおねだりとしては、とても可愛いものです。
しかし、この家庭ではおそらく、経済的な余裕もそこまでなかったのでしょう。
何でもかんでも作ってしまうお母さんの、お値段でなくアイデアで勝負するところに、好感が持てます。
また、父親参観のくだりも、お母さんの頑張りを感じます。
センスがちょっとずれていたって、お母さんなりに最大限の努力をした結果なんだと思うと、なんだかほっこりしました。
理不尽なことがあっても頑張ろうと思えます

カバンに「よしお」と刺繍されている男の子ですが、本名は「よしふみ」。
なぜ、こんなことになっているかというのも、作中で語られています。
その理由があまりにもひどいというか、子どもにとってこんな理不尽なことってあるでしょうか。
でも、それに文句も言わず受け入れている男の子は、達観しているのか、どうでもいいと思っているのか。
この絵本が事実をもとにして描かれたものと知って、作者さんの心に寄り添いたくなりました。
ちょっとくらい理不尽なことがあっても、この男の子のように、笑い飛ばせるようになりたいですね。
『おかあちゃんがつくったる』(2012)は、こんな方におすすめ!

『おかあちゃんがつくったる』は、絵本の登場人物の気持ちが読み取れるようになってきた、小学校低学年くらいからの年代の子どもたちに、おすすめですよ。
お母さんの大変さや、子どもたちへの愛情を読み取ることができれば、きっと感動するはず。
今回は、『おかあちゃんがつくったる』という絵本について紹介しました。
親から子への愛情は、さまざまな形があるということを、おもしろおかしく伝えてくれる絵本です。
親子で読んで、登場人物の気持ちに想いを馳せてみましょう!

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