
世界中に様々な品種があり、ジャムやワインに加工されることもあるぶどう。
ツルの先にたわわな実をつける姿や、「葡萄色」と言われることもあるそのカラーが、子どもにも人気の果物のひとつでもあります。
一粒ずつ房からはずしながら口に運ぶことに、食の楽しみを覚える子どもも多いのではないでしょうか。
ぶどうをテーマとした絵本は、そんなぶどう好きな子どもはもちろん、大人も一緒に楽しむことができる作品ばかり。
今回は人気のぶどう絵本10冊を、おすすめ度に合わせたランキング形式でご紹介します。
ぶどう絵本の人気おすすめランキングを紹介
「お気に入りのぶどう絵本に出会いたい」絵本を好きな方ほど、作品を選ぶ際にはそのように思われるのではないでしょうか。
何度も読み返したくなる一冊に出会うためにも、おすすめしたいのは次の3つの選び方です。
ぶどうだけでなく、果物や食べ物をテーマとした絵本を選ぶ際にも、ぜひ参考にしてみてくださいね。
ぶどう絵本の選び方
ぶどうに関する専門的な知識に溢れた絵本
ブドウ科の木になるぶどうは、その成長過程について知られることの少ない果物です。
ぶどうについての専門的な情報が紹介されている絵本は、大人から子どもまで幅広い年代で楽しむことができます。
分かりやすい絵本でぶどうについての知識を学ぶことは、子どもの食育にもつながることになるでしょう。
絵本が伝えたいテーマで選ぶ
図鑑と違い、ストーリー性のある絵本を選ぶ際には、そのテーマに注目したいもの。
特に、ジャムやワインに加工されることもあるぶどうが登場する絵本には、親子や友だちの長年の繋がりをテーマとした作品が多く見られます。
絵本のテーマに注目すれば、「親子で読みたい」「友だちへのプレゼントにしたい」といった希望も叶えることができますね。
好みに合わせたイラストで描かれた絵本
実物を思わせる写実的なイラストや、ページに溢れる色鮮やかなぶどう色。
やさしい雰囲気のクレヨン画や美術的な影絵など、ぶどう絵本は様々なテイストで描かれています。
好みの絵柄で描かれた絵本であれば、より一層その世界観に浸ることができるでしょう。
ぶどう絵本の人気おすすめランキング10選
Amazonのレビューや絵本好きの口コミを参考に、人気のぶどう絵本をランキング形式でご紹介していきます。
お子さんの年齢や、絵本を読むシチュエーションを思い浮かべながら、ぜひお気に入りの一冊を見つけてみてくださいね。
第10位『イソップ絵本キツネとぶどう』
イラスト:さこ ももみ
出版社:岩崎書店
発行日:2017/3/8
価格+税:1,320円
ぶどうとキツネをテーマにしたイソップ絵本
おなかをすかせたキツネさん。ある日、木にぶらさがったおいしそうなぶどうを見つけました。「やっとたべるものをみつけたぞ!」キツネはよろこんで飛びつきますが、なかなか手が届きません。助走をつけたり、あれこれ工夫をするけどうまくいかないキツネさんが取った行動とは…?古くから語り継がれる有名なイソップ物語。
主人公は、いつもきれいな服を着て取り澄ましているキツネです。
お腹を空かせたキツネがブドウを取ってやろうと試行錯誤する姿には、どこか人間らしさを感じずにはいられません。
きれいな服を脱ぎ捨て、どれだけ努力しても手に入らなかったぶどう。
「あのぶどうはきっとすっぱかったんだ」キツネはそう思い込むことにしたのでした。
小学校教諭を経てイラストレーターになった、さこももみさんの絵がどこかユーモラスで愛らしく、努力や信念について考えるきっかけにもなる一冊です。
第9位『野心家の葡萄』
出版社: ニジノ絵本屋
発行日:2018/4/7
価格+税:1,650円
ぶどうと一緒に新しい世界へ出かけよう
むかしむかし、あるところに果物屋のおじいさんがいました。おじいさんはひとりで果物を育て、お店に並べてのんびりと暮らしています。しかし、おじいさんに育てられた葡萄は大いなる野心家。このまま自分の一生が果物屋さんで終わっていくことに我慢がならないのでした。
「野心を持った葡萄」というユニークな世界観を描き出すのは、本作が絵本作家デビューとなる吉家千陽さん。
果物屋から飛び出してきたいという想いを持ったぶどうは、カラスにさらわれることでその願いを叶えます。
様々な出会いと別れを繰り返し、世界を旅するぶどうの物語は、まるで昔から親しまれている民話のよう。
子どもから大人まで、その不思議な世界にひたることができます。
横長の絵本は、ワインバッグにすっぽりとおさまるミニサイズ。ワインが好きな方へのプレゼントとしてもぴったりですね。
第8位『ブドウの絵本』
作:さわだ としき
出版社:農山漁村文化協会(農文協)
発行日:2002/3/31
価格+税:2,750円
ぶどうを深堀りした専門的絵本
今から5000年以上前から栽培されてきた、甘くておいしい果物、ぶどう。その育て方から、ワインやジャム、干しぶどうの作り方まで丁寧に解説。鮮やかなイラスト満載の「そだててあそぼう」シリーズの人気作です。
オクラやトマト、イネといった野菜から羊や鯉といった生き物まで。
「そだててあそぼう」は、70種以上発行されている人気シリーズです。
発行元は農業や教育、健康の分野に長けた書物を出版している農山漁村文化協会。ぶどうをテーマとした本作にも、専門的な情報がぎゅっと詰め込まれています。
ぶどうと人との歴史の始まりから、ぶどう栽培に欠かせない棚の作り方まで、ぶどう入門書とも言える情報を完全網羅。
絵本の枠を越え、ぶどう栽培の入門書としても高く評価されている一冊です。
子どもと一緒に楽しめば、スーパーに並ぶぶどうを見る目も少し変わって来そうですね。
第7位『ぶどうのたね』
出版社:文芸社
発行日:2007/5/1
価格+税:1,210円
夜空を見上げたくなるぶどう絵本
池の脇に立つぶどうの木。その年はとてもたくさんのぶどうが実り、全て池の中に落ちてしまいます。ある夏の夜、池の水はぶどうジュースに大変身。その後にのこったぶどうのたねが願ったこととは…。
こんどうまさよさんの淡い水彩画で描かれるのは、夜空に浮かぶ「ぶどう座」が生まれるまでのファンタジックな物語。
ぶどうが落ちて池の水がぶどうジュースになってしまうなんて、子どもも大喜びのストーリーですね。
すっかり飲み干されたぶどうジュースの後に残ったのはぶどうの種。
「いっしょにつれていってください」ぶどうの種はお星さまにお願いをします。
夏の夜の読み聞かせにもぴったりの、ぶどうをテーマにした夢のある絵本です。
第6位『葡萄色のノート』
イラスト:広野 多珂子
出版社:あかね書房
発行日: 2002/9
価格+税:1,430円
ぶどう色のノートに語り継がれる少女の想い
梢がおばあちゃんから預かったのは、葡萄色をした一冊の古いノート。そこには、戦時中に朝鮮へ渡った少女たちの手記が綴られていたのでした。少女たちの喜びや悲しみ、亡き父や祖国への愛が語られた一冊。
葡萄色のノートは、朝鮮半島に渡った少女「すず」から始まり、代々直系の少女たちが想いを綴ってきたノートです。
そこには朝鮮へ渡ることになった悲しみや現地での仕事の辛さ、日本に引き揚げてから受けた辱めなど、当時の少女でしか分からない感情が溢れています。
物語に登場する現代の梢のように、読者はページを読み進める中で過去の歴史を追体験することに。
大人が改めて読む物語としてはもちろん、梢と同世代の子どもたちにもぜひおすすめしたい絵本です。
親子で読書を楽しみたいと言う方にもぴったりのぶどう絵本と言えるでしょう。
第5位『ぶどう』
イラスト:斎藤 雅緒
出版社:フレーベル館
発行日:2007/8
価格+税:1,100円
おいしそう!と言いたくなるリアルなぶどう絵本
身近な自然を科学的な目線で取り上げ、鮮やかなイラストと共に分かりやすく紹介している人気シリーズ「フレーベル館だいすきしぜん」。ぶどうをテーマとした本作では、ぶどうの秘密に迫っていきます。幼児への読み聞かせから小学生の自由研究まで、幅広く親しむことのできる絵本。
ぶどうにはどんな花が咲くの?そのあとどうやって実がなるの?
そんな素朴な疑問に分かりやすく答えてくれるのが、フレーベル館の「ぶどう」です。
ぶどうには様々な種類がある事、ぶどうを使って作られるものなどについて、大人でも初めて目にするような内容が紹介されています。
斎藤雅緒さんのイラストはまるで本物のぶどうのように鮮やかで、思わず手に取って食べてしまいたくなるよう。
ぶどうが大好きな子どもにおすすめしたい、図鑑にも引けを取らない大満足の絵本です。
第4位『ぶどう畑のアオさん』
出版社:こぐま出版
発行日:2001/5/1
価格+税:1,320円
おおらかなお馬のアオさんに心温まる
アオさんは、青い色をした心優しいお馬さん。ある日アオさんは、夢の中で見たぶどう畑を本当に見つけます。「みんなにはないしょにしよう」というネコさんに、「みんなでたべた方がおいしいよ」というアオさん。20年ぶりの作品でもあると同時に遺作となった、馬場のぼるさんの優しい物語。
作者である馬場のぼるさんは「11ぴきのねこ」シリーズで有名な絵本作家。
本作に登場するネコさんも、11匹のねこを思い起こさせる楽しいキャラクターです。
ぶどう畑を秘密にしようというネコさんに対し、優しい提案をするのは主人公のアオさん。
穏やかで心優しく、あたたかみのあるアオさんの存在は、まるで作者の人柄を表しているかのようです。
ぶどう畑にやってきたオオカミに吠えられても、「こわいかおだねぇ」なんて言ってしまうアオさんの心の広さには、こちらも思わず笑顔になってしまいます。
「みんなでたべた方がおいしいよ」
「オオカミくんもきて、いっしょに食べればいいのに」
さりげないアオさんの言葉には、相手を思いやることや喜びを分かち合うことの大切さが溢れています。
ページの一面にはぶどう色が使用されており、読後には思わずぶどうを食べたくなってしまうことでしょう。
第3位『さあちゃんのぶどう』
イラスト:ふくだ いわお
出版社:くもん出版
発行日:2001/2/1
価格+税:1,320円
ぶどう大好きさあちゃんの優しいお話
おうちのお庭に植えられているのは、さあちゃんのだいすきなぶどうの木。大きくなって、甘くなるのをさあちゃんは毎日楽しみに待っています。物語を考えたのは、ぶどうが大好きな4さいの女の子です。さあちゃんのやさしい想いに溢れた、心温まるぶどう絵本。
「子ども創作コンクール最優秀作品」を絵本化した本作は、ぶどうが大好きな4歳の作者の目線で描かれた物語です。
お庭の木にぶどうが実り、青色から紫色に変わり段々と食べごろに育つ様子から、さあちゃんの待ち遠しい気持ちがひしひしと伝わってきます。
ところが待ちに待った土曜日、さあちゃんが楽しみにお庭に出ると、動物たちが食べてしまいぶどうはほとんど残っていません。
悲しくなってぽろぽろと涙を流すさあちゃん。
しかし、「来年はちょっとずつ分けてあげるからね」と来年をまた楽しみにすることに決めるのです。
さあちゃんのように、ぶうどうが大好きな子どもと一緒に読みたくなる、心温まるぶどう絵本です。
第2位『ぶどう酒びんのふしぎな旅』
イラスト:藤城 清治
出版社:講談社
発行日:2010/4/13
価格+税:3,142円
いつまでも手元に置いておきたい上質な一冊
老婆の飼う、鳥の水飲み用に使われている古びたぶどう酒びん。老婆が美しい少女だったころ、ぶどう酒びんは婚約の席で空けられた、上等なワインでした。使われて、捨てられ、また拾われて…。アンデルセンの名作を、藤城清治さんの美しい影絵で描き出した一冊。
光と影を操る作者の藤代清治さんは、日本を代表する影絵作家。本作は作者の愛するアンデルセンの名作を選び、描き下ろされた初の絵本作品です。
少女が結婚を約束した相手は、航海先の海で遭難することに。恋人は少女への手紙を空のぶどう酒びんに託します。
ぶどう酒びんは、二人が幸せだった時期から、年老いた少女と再会するまでの旅を静かに語ります。
喜びと悲しみが交差する重厚なストーリーが美しい4色の影絵で表現された本作は、大人のための上質な絵本とも言えるでしょう。
どんな人にも、どんな物にも愛と人生を吹き込み歴史を描き出す。
そんなアンデルセン童話の真髄ともいえる作品をじっくりと楽しむことのできる銘本となっています。
第1位『きつねとぶどう』
イラスト:いもと ようこ
出版社:金の星社
発行日:2005/10/1
価格+税:1,540円
親子で読みたいきつねとぶどうの物語
お腹をすかせたこぎつねのために、ぶどうを取りに出かけたおかあさんぎつね。ところが、その日からおかあさんは帰ってこなくなってしまいます。いもとようこさんの優しいイラストで描かれる、愛と切なさに溢れたストーリー。
「大人になっても忘れたくない名作絵本」と銘打った本作は、子どもを想うおかあさんぎつねの姿が胸を打つ作品です。
猟師が来て危ないことを、自分の危険を顧みず、大きな鳴き声で知らせるおかあさんぎつね。
それ以来戻らないおかあさんを、こぎつねは一生懸命探します。
やがて、ひとりで立派に育ったこぎつねは、おかあさんの残したぶどうの木を見つけます。
「おかあさん、ありがとうございました」
こぎつねがおかあさんの優しい想いに気付き、そう言葉にするシーンには親子の情愛を感じずにはいられません。
親子でゆっくりと読みたくなる、きつねとぶどうをテーマとした名作絵本です。
優しいテーマに溢れているぶどう絵本
可愛らしいフォルムと甘酸っぱい味が、幅広い世代に愛されるぶどう。
ぶどうをテーマとした人気絵本には、切なさの中にも誰かを想う優しさが溢れています。
子どもと一緒にぶどう絵本を楽しむことは、ぶどうを食べる時間をより一層豊かにしてくれます。
また、芸術性の高い絵本やコンパクトなぶどう絵本は、ワインと共に大切な相手にプレゼントする品としてもぴったりですね。
今回ご紹介した10冊を参考に、ぜひ豊かなぶどう絵本の世界を満喫してみてください。