幾重にも重なる美しい緑色の体に、赤いお顔をもったかわいいあおむし。
エリック・カールの代表作でもある「はらぺこあおむし」は、誰もが一度は目にしたことのある絵本なのではないでしょうか。
世界中の人々に愛されてきた本作は、プレゼントに贈りたい絵本や読み聞かせに選びたい絵本としても大人気。
その人気の理由をひとつひとつ紐解くと、そこには作者が作品に込めたテーマが現れています。
今回は、生命のたくましさと豊かな色彩に溢れた、エリック・カール「はらぺこあおむし」の世界へとご案内いたします。
『はらぺこあおむし』(1976)とはどんなお話【内容とあらすじを紹介】
世界中の人々の間で読み継がれるベストセラー絵本『はらぺこあおむし』。
ここで改めてその内容を振り返ってみましょう。
『はらぺこあおむし』(1976)の概要
翻訳:もり ひさし
出版社:偕成社
発行日:1976/5/1
価格+税:1,320円
『はらぺこあおむし』(1976)のあらすじ
にちようびの朝に生まれた小さなあおむしは、おなかがぺっこぺこ。
月曜日は、りんごをひとつ。火曜日は、なしをふたつ。
たくさんたくさん食べてふとっちょになったあおむし。最後は美しい蝶へと変身します。
発行以来、世界中で愛されているエリック・カールの代表作。
『はらぺこあおむし』(1976)の内容
一度ページをめくれば、読む者の心を捉えて離さないはらぺこあおむしの世界。
そこには、作者であるエリック・カールのセンスとアイデアが随所に溢れています。
要約1.ちいさな子どもが夢中になるしかけ絵本
月曜日、火曜日、水曜日…と、おいしい食べ物を次々に食べていく、はらぺこあおむし。
あおむしが食べたページには、なんと実際に小さな穴が開いているのです。
まだ字を読む事の出来ない小さな子どもも、穴に指を入れたりページをめくり返してみたり…。
子どもの遊び心を刺激するしかけに、たちまち夢中になってしまいます。
その喜びは「絵本がぼろぼろになるほど繰り返して読んだ」という多くの口コミにも表れています
要約2.エリック・カールの描く美しい世界
「はらぺこあおむしをきっかけに、エリック・カールのファンになった」という声も多くかれるように、本書はエリック・カールの代表作となる作品です。
小さなあおむしを照らす、ページ一面に描かれた明るく大きな太陽。
思わず手が伸びてしまいそうな、カラフルな食べ物たち。
色彩の魔術師とも言われるエリック・カールの豊かな世界観は、読む者の心を喜びに満たすことでしょう。
要約3.あおむしから美しい蝶への成長ストーリー
たまごから生まれたはらぺこあおむしは、次々と食べ物を口にしてやがてさなぎへと成長します。
りんごにいちご、チョコレートにアイスクリームと、登場するのは子どもたちの大すきな食べ物ばかり。
しかし、はらぺこあおむしの一番の醍醐味はラストシーンに隠されているのです。
「ちょうちょになりました」の一文の後に見開きページに現れるのは、今までの可愛らしさとは違う魅力を持つ、美しい蝶々。
生き物の成長という壮大なストーリーを、エリック・カールならではの美しい色彩で描き出しています。
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『はらぺこあおむし』(1976)の口コミ・評判
口コミ・評判:★★★★★
メロディをつけて歌う読み聞かせが楽しい!
子どもだけでなく、いつのまにか自分も大好きな絵本になりました。
「ちょうちょになりました」のページでは、いつも子どもと一緒に嬉しい気持ちでいっぱいになります。
口コミ・評判:★★★★★
ページをめくりながら話を行き来したり、穴に指を入れたりと子どもが大好きな絵本。
何よりもエリック・カールのデザイン性の高いイラストが秀逸です。
口コミ・評判:★★★★★
大勢の読み聞かせにもぴったりの絵本です。いつのまにか大人の方が夢中になって、今ではお家にはらぺこあおむしグッズがたくさん並んでいます。
『はらぺこあおむし』(1976)の主題・テーマは?
はらぺこあおむしは、幅広い年齢層から高い支持を得ている絵本です。
誰もが一度は見聞きしたことのあるベストセラー絵本は、どのようなテーマで描かれているのでしょうか。
さわれる本、読めるおもちゃ
はらぺこあおむしは、作者であるエリック・カールの「さわれる本、読めるおもちゃが作りたい」という想いから生まれた絵本です。
そのテーマを代表しているのが、小さな穴のしかけや、幾重にも色を重ねた立体的なコラージュにあると言えるでしょう。
絵本とおもちゃを融合させた本作は、小さな子どもだけでなく、大人にもわくわくとした胸躍る体験を与えてくれます。
おでかけのおともには、持ち運びに便利なサイズのボートブック版もおすすめです。
自然に身に付く数字や曜日
はらぺこあおむしのストーリーは、土曜日の満月の夜から始まります。
太陽のもと日曜日に生まれ、月曜日にりんご、火曜日になしと、元気に一週間を過ごすあおむし。
「1」このりんご、「2」このなし、「3」このすももと、カラフルな果物と共に描かれる数字を目にするうちに、子どもは自然と数に親しむことになります。
作中には、おいしそうな食べ物もたくさん登場するので、曜日感覚や数字だけでなく、食べ物の名前も自然と覚えることができますね。
成長することのよろこび
太陽のもとに生まれ、食べ物を口にし、美しい蝶へと姿を変えるあおむし。
その姿からは、この世に生まれてから大きく成長していくことの喜びを感じることができます。
子どもの成長を見守る大人はもちろん、子ども自身にも「大きく成長する」ことへの安心と期待感を与えてくれます。
【ネタバレあり】『はらぺこあおむし』(1976)の感想とレビュー
その人気の高さから、ポップアップブックやボートブック、CD付きの絵本と表現の場を広げている「はらぺこあおむし」。
実際に寄せられている感動と喜びの声をぜひお聞きください。
いつまでも手元に置いておきたい思い出の絵本
娘のファーストブックに選んだ絵本です。
破れにくいボートブックもあったのですが、あえてこちらの原本を選びました。
案の定、穴に指を入れたり何度もめくったりして絵本はくたくたに。
でも、破れをテープで補強するたびに絵本への愛着が湧いてくるように思います。
娘との思い出のいっぱい詰まった、我が家の大切な一冊です。
数字と曜日を覚えた絵本
エリック・カールの絵って、大胆なようでいて繊細で、なんでこうも魅力的なんだろうと何度読んでも思います。
土曜日にはケーキやアイスクリームを食べすぎてお腹が痛くなっちゃうなんて、まるで人間の子どもと同じだなと思うことも。
最後のページは、蝶がはばたくように本をひらひらとさせるのが息子のお気に入り。
気付けば簡単な数や曜日はこの絵本から教えてもらっていました。
ウキウキしながら娘と歌っています
「チョコレートケーキとアイスクリーム…」とにかくこの歌が大好きな娘です。
あまりにも気に入って、CDがセットになったバージョンも購入したほど。
そしてやっぱり、絵本にあいている穴には興味津々なんです。
緑色の紙で小さなあおむしを作ってあげたらこれが大正解。今では自分で穴にあおむしを通しながら楽しんでいます。
『はらぺこあおむし』(1976)は、こんな方におすすめ!
大胆な構図と豊かな色彩で、多くの人々の心を捉えてきたエリック・カールの世界。
その代表作でもある「はらぺこあおむし」には、この世に生まれた命の喜びを背景に、絵本で子どもを喜ばせたいという作者の願いが込められています。
その魅力は、小さな子どもから小学生、そして大人まで年月を経ても色あせることはありません。
歳を重ねるごとに様々な発見と喜びを与えてくれる絵本は、家族の思い出を彩る大切な一冊となることでしょう。
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